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心を冷まして覚ます日本庭園 足立美術館
こんにちは。
日本庭園が好きです。
かなり以前に借景の記事を書かせていただきました。
借景とは、庭園の背景に人の手が加わっていない厳荘なる山々の頂きを借りて、庭園の一部の景色とすることです。
風光明媚な山岳が多い日本らしい考えと、それを巧み取り入れる実直さは、とても興味が湧きます。
歩き疲れる位に広く管理の行き届いた日本庭園はあっぱれですが、境内にある小さな庭園も好きです。人手不足で管理ができず、風化しそうな日本庭園の侘しさや寂しさにも、日本人特有の情緒が見られます。よって、こちらも好きで見入ってしまいます。
日本庭園の何がいいのかと考えます。木が生え、苔が生え、砂利が敷かれ、池があり、錦鯉が泳ぎ、雲が流れ、青い空が映える・・・、一つ一つを文字に表すと少しの退屈や倦怠があります。しかし、それらは高貴なる退屈や倦怠であります。古来、日進月歩と時の流れを表現していましたが、もうそれは過去の言葉。
現在の時の流れは急流がごとく。
もう速すぎて、なかなか一息つく暇がありません。一息つこうものなら、社会から弾き出されるかも知れません。
そんな時の急流に堰を作るのが、日本庭園の役割だと考えます。ですから、多くの人々は国籍問わず日本庭園を鑑賞しハッとする。ホッとする。
先日、島根県にある足立美術館を訪れました。私は2回目の訪問です。
帰巣本能の動くミツバチになった気分で車を走らせていると、雪を被った大山が私を歓迎してくれました。
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大山は格好良い!! 山の形が好きなのです。いつかは登山します!!
それから足立美術館で日本庭園鑑賞。
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変わらずの景色に安堵。色々な世情で、永遠なものはないはずなのですが、この景色は永遠に継承されるような気がしてなりません。そのためには、多くの人々のご尽力がないといけないのですが、それは私が足立美術館を訪れたように、来場客は「なぜか行きたくなる」「行かねばならない」、経営者は「継承したい」「継承せねばならない」と言ったミラクルが続くような・・・。
足立美術館のもう一つの目玉は、勿論横山大観の日本画の鑑賞です。私は事前に調べておらず些細な失敗をしてしまいました。横山大観の「紅葉」を見たかったのですが、これは常設ではないようで見ることはできませんでした。残念。
ですが、それ以外にも横山大観の多くの日本画に触れて、心の教養を得ました。
名画「紅葉」は以下のリンクを参照ください。
山陰を訪れの際は、ぜひ足立美術館をコースに入れることをお勧めします。
日本は本当に素敵な場所がたくさんあります。海外に素敵なところがないわけではありませんが、今は円安ですので中々行きずらいでしょう。
とりあえず私は、国内旅行して日本の風を感じて生きたいと思っております。
最後になりますが、足立美術館の創立者である足立全康氏と横山大観の絵の関係を記し、筆を置きます。
「(株)大和利器製作所」を譲渡し、大阪の福島に腰を据える。焼け跡の中を終日、自転車で走り回る毎日が続く。ある日、心斎橋筋の骨董屋(バラック建て)の店先で、横山大観の『蓬莱山』を見て感激する。これが大観の絵との最初の出会い。都会の雑踏の中で胸がすうっとするような荘厳な気持ちになり、毎日、何遍も自転車で通ってはその絵をじっと眺めていた。そして「いつか必ず大観の絵を買ってやるぞ!」と決意する。
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花子出版 倉岡 剛
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