鏡に向かってあっかんべー 舌であなたの健康チェック
日常生活の中で自分や他人の舌、べろをじっくり見ることなんてまずないと思います。でも、いちど鏡に向かってあっかんべをしてみて、ご自分の舌を観察してみてください。そこからいくつかの情報が読み取れます。実は舌を見るというのは漢方診察でもよく行われ、その所見を処方選択の参考にしたりしているのです。
舌全体を見てその舌自体の色を見てください。正常とされるのは薄いピンク色でいかにも健康的な感じがします。これが紫色や少しくすみがあったりしていると血の巡りが悪いのではないかと考えます。そんなときは舌の裏側を見ると、盛り上がった静脈が見えることもあります。またピンクを通り越して赤色と感じるような場合は体が乾燥して熱を持っているのかもしれません。普段からご自分の舌の色を観察しておいて変化があれば少し気をつけてあげてください。
舌の先っぽのところが他のところより赤くなっているということがあります。これは睡眠不足の時に起こることが多いのですが、ストレスがたまってイライラしているなど情緒が不安定になっている時にも見られます。私はこういう人を見ると加味逍遙散や抑肝散を思い浮かべます。
また舌の表面の苔の具合もちょっと観察してみましょう。正常だと薄く白い苔が付いていることが多いと思います。この苔が分厚くなってきたりすると胃腸がお疲れさんのサインです。食べ過ぎや飲み過ぎに注意しましょう。
また厚くついた苔の色が黄色っぽくなっていることがあります。ここまでくるとかなり胃腸に負担がかかっています。体の中に水分をため込むとともに熱も溜まってしまっていることが多いようです。お酒や脂っこいもの、激辛食品などばかり食べていると胃腸を弱らせてこのような舌の色になることがあります。また怒りっぽくなってイライラしていると言うような時にも黄色っぽくなることがあるようです。
舌の両サイドに歯の跡がついたように凸凹していることがあります。こういうときには体の中に余分な水分が溜まってむくんでいる、水毒の状態である可能性があります。むくみは体の水分バランスの乱れです。水分の取り方にもちょっと注意が必要かもしれませんが、やはり休養が必要な際と考えるのが良いでしょう。
他のサインもありますが、それらも含め漢方薬を決めるときのヒントとなります。気を補ってあげるのか、血の巡りを良くしてあげるのか、水分代謝を整えてあげるのか、そんなことを舌が教えてくれます。
人に向かってするアッカンベーは心の中でひっそりと、でも鏡の前の自分にはしっかりアッカンベーをして、健康チェックに役立ててください。その時ついでにいろいろな表情筋も動かしてあげると、顔のむくみが取れてスッキリした顔になるかもしれませんね。
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