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漢方入門① 「漢方とは」

漢方とは、日本の伝統医学です。中国医学を基に発展したものですが、日本人の体質や風土に合わせた形で発展し、日本独自の要素や考え方も含まれてきました。

約2000年前の古代中国の医学書である傷寒論などを源流とする中国医学は、仏教と同じ頃に日本に伝わって来ました。江戸時代には様々な議論が行われ、さらに蘭学(オランダから伝えられた西洋医学)の影響も受けながら、発展してきました。そして、現代の漢方は、保険適用されるなど日本の医療制度に組み込まれています。

漢方治療が良い選択肢になるのは、現代医学では原因や病態が明確にわからない場合、現代医学の治療方法が限られている場合、診断が付かないが症状はあるといった場合、現代医学による治療で十分な効果が見られない場合などです。

漢方薬を選択する際には、漢方の見方によって患者さんの状態を判断します。その際には体を見るだけでなく、心身一如の考え方から心と体の状態全体を見て、患者さんに適した方剤を決定していきます。

漢方の考え方の中で重要なのが、「気」という目に見えない概念です。目に見えないものや取り出して確認できないものなどは科学的な学問において扱いにくため、現代医学に「気」という発想はありません。漢方における気は、生命エネルギーと言い換えることもできますが、それだけでは言い表せないのかもしれません。「元気をもらった」という表現を使う際の元気なるものは見えませんけれど、確かにあるように思いますよね。そのような漢方の見方が納得できないというのは科学的発想では正しいのかもしれませんが、人をどのように見るかという見方の一つと考えて、素直に漢方の発想を取り入れると、それはそれで豊かな世界が広がるように思います。

実際に、現代医学による治療で今一つといったときや、病気でない、つまり診断がつかないといった場合、漢方診療で調子が良くなることは少なくないことなのですから、それを一概に否定するのも科学的とはいえないと考えられます。

体調の良し悪しは、日々の生活に大きな影響を与えます。私たちは少しでも良い体調で日々を過ごしたいですよね。そうであれば、漢方を実生活に取り入れると良いと思います。ここでは漢方入門として漢方を紹介し、実生活に役立つ漢方薬についても紹介していきます。セルフメメディケーションの役にも立つと思いますが、自分に合いそうな漢方薬を試す前に、医師や薬剤師に相談することをお勧めします。漢方薬にも副作用がありますから、専門家に相談することが、自分に合った漢方薬を見つける早道です。

次回は、気・血・水についてお話します。

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