日本人だから知ってるでしょ?テスラ価格のフルーツ
日本の外で暮らしていると、急に日本関連情報や日本の話題で気になったことを人から尋ねられることがあります。
あなたは会話の波乗りを楽しめるでしょうか?私はいつも溺れています。
目の前にその気になってたことの国から来た人がいるんだから、その人に疑問をぶつけるのは自然なおこないとして理解できます。
ただ、自然な反応に対して、私が充分な対応ができるかというと残念ながら往々にして無力です。
急に胸に日の丸の刺繍が付けられても、噴き出る脇汗と、日本人特有の曖昧な答えと愛想笑いしか返すことができません。
ある時「日本のメロンは何十万円もするんだよね!」とスペイン語で話しを振られたことがありました。
あなたならどう反応しますか?
私は「メロン?何十万円?」と一瞬何のことかわからなかったのですが、その人が「テレビで見た」と言っていることを聞いて、「ああ、贈答用の夕張メロンのことか」と思いました。
そのような話題が海外ニュースとして報道されているのですね。
海外で話しかけられた時、自分がまだ少しでもまともに話せる言語なら(英語とか)、自分が説明したいことを少しでも相手に伝えることができるのですが、自分がおぼつかない言語での会話となると、言葉が口から出てこないことに苦悶します。
頭に言いたいことはあってもそれは全く声になって出てこない。3日くらい便秘しているような苦しさです。美しくない例えでごめんなさい。
「日本のメロンは何十万円もするんだよ。知ってる?すごいよね。クレイジーだよね」みたいな話をしているスペイン人に、
「日本人がそんな高いメロン普段食べてるわけじゃないです。それは贈答用のメロンの話で、毎年ニュースになるけど、とても特別なもので、一般的に庶民に食べるメロンの話じゃありません。」
なんて、込み入ったことは私の言語力では言えるはずもなく。
「それはスペシャル、ノーマルは違う」
というぶつ切りの言葉しか私は発せられず、真意が伝わったのかは謎のままです(伝わっていないでしょう)。
今これを書きながら調べてみたところ、「夕張メロン、世界一高額なメロン40,000ユーロ」という2023年のスペインの記事を見つけました。
4万ユーロとは650万円(現時点の換算)くらいです。メロン、何十万円どころの話じゃない。中古車じゃなくて高級車買えるじゃないですか。そんなことになってたんですか。
そりゃ「日本のメロンどないなってんねん!」と話を振りたくなる人の気持ちもわかります。
一体、誰が誰に何百万円もするメロンを買って送るのよ?贈答用のメロンってそんな値段なの?と調べてみると、通常の贈答用の夕張メロンは一玉6千円くらいでした。
そうですよね。そうじゃないと、お中元とか贈り物のたびにテスラ買えるし!みたいな値段の果物買えないですよね。大変なことです。
配送中のメロンがさらわれて身代金要求されたりしちゃいそうです。誘拐メロン。
スペインの私が住む島ではメロンは1kg1ユーロ(約160円)以下で売られていて、一玉数百円の激安価格ですから、日本の冬にこたつで食べるみかんくらい庶民的フルーツなので、メロン=テスラの世界は想像するのは難しいところです。
その国出身だからといって、その国が抱える歴史、文化、時事問題の全てがDNAに組み込まれていて、質問されたら広辞苑を開いて説明するようにスラスラと口から出てくるのならいいのですが。
まあ、そうは全くいかないものですから、いつも相手の興味の灯火を鎮火させてしまっています。すみません。
↓ これまでにも聞かれてきた、さまざまな質問を収集しています。