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移ろいゆく花と美しさ ~伝説の歌人が詠んだ春の歌~/9. 花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに
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👩🏻こんにちは!はな先生です。
言葉遊び、好き?
👦🏻「ふとんがふっとんだ!」みたいなやつ!?僕、駄洒落、大好き!
👩🏻そうね。日本語って面白いわよね。同じ言葉なのに、違う意味になることがあるでしょう。例えば「降る」という言葉、どんな時に使う?
👦🏻えっと...「雨が降る」「雪が降る」……。
👩🏻その通り!
さらに、昔の言葉では「年が経つ」も「ふる」って言うんだよ。
昔の人は、そういう言葉の二つの意味を上手に使って和歌を作ったの。「掛詞(かけことば)」という技を使ってね。今日は、その掛詞を使った、とても有名な歌を紹介するわ。
▼今回紹介する和歌
花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに
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▼現代語訳(意訳)
桜の花の色が、むなしく色あせてしまったことよ。長雨が降り続いている間に。ちょうど私の美しさも、物思いにふけっているうちに衰えてしまったように。
▼詠んだ人
小野小町(おののこまち)
平安時代の女流歌人で、六歌仙の一人。伝説的な美人として知られ、各地に小町伝説が残っています。
▼解説
この歌には、意味が二重に込められています。
一つは、目の前の桜の様子。長雨が降り続いて、せっかく咲いた桜の花が、散る前に色あせてしまう様子を詠んでいます。
もう一つは、歌人自身の人生への思い。若く美しかった自分も、いつの間にか年を重ね、美しさが衰えていくことを、桜に重ねて表現しているのです。
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「ふる」という言葉には「雨が降る」と「時が経る」という二つの意味が、「ながめ」という言葉には「長雨」と「物思い」という二つの意味が隠されています。このように一つの言葉に二つの意味を持たせることを「掛詞(かけことば)」と言い、和歌の大切な技法の一つです。
この歌は、美しいものはいつかは移ろってしまうという「無常観(むじょうかん)」を表現した名歌として、千年以上の時を超えて、多くの人々の心に響いています。
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👩🏻小野小町の気持ち、少し分かるかしら?
👦🏻うーん、僕はまだ若いから分からないけど...でもおばあちゃんが「若い時はあっという間だったわ」って言ってました。
👩🏻そうね。時の流れは誰にも止められないの。だからこそ、今を大切に生きることが大事なのよ。
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