#16.小説 「モノ拾い」〜気が向いたら続きを綴る〜

私には、小さい頃からよくモノを拾ってくる癖があった。
私がまだ保育園に通っていた頃、遠足に行っては形のいい石をよく持って帰り、部屋の前に飾っていた。
友達と遊んでいる時、

「これは伝説の剣だ!」

と言って冒険を繰り広げた時なんかは必ず家に持ち帰って来ては玄関に封印した。
今思えば、伝説の剣なのに大量生産されているんだなーとアホらしく思えるが、
伝説は一つじゃないという事だろう。
学生時代は特にモノを拾った。
教室の隅に落ちている小さくて丸っこいギリギリ使えそうな消しゴム。
廊下に落ちている数本しか入っていないシャーペンの芯。
あっ、そう言えば
二週間、理科室で放置されてたからといって勝手に自分の物にしたクルトガなんかもあったっけ。
...とまあ、
そんなこんなで、よくモノを拾うのだが、大人になった今でも最近拾ったモノがある。


それは、一人の少女である。


...勘違いしないで欲しい。
これは決して誘拐したとかではない。
私は、そんなことは断じてしない!絶対にだ!!
確かに、さっき言った通りたくさんのモノを私は拾ってきた。
しかし、それらは全て犯罪ではない!
厳密に言えば罪を犯している…かもしれないが、
学生を経験した、もしくは経験している男性諸君なら判ってれるだろう。
こんなの “みんなやってる” 事なのだ。
「仕方ないよねー。」
「貰っちゃえ貰っちゃえ!」
と許容出来るぎりぎりの範囲のモノである。
もし、これを犯罪と呼ぶのであれば、
学校に通っている男子学生の8割は法という名の包丁で綺麗に三枚におろされているだろう。
だからこれは決して犯罪ではない!
...ついでに言うと、ロリコンでもない!!!

こんなことを言っていると、
余計に犯罪臭がするのでこの辺でやめておこう。

私は最近、女の子を拾った。
夜のコンビニでのバイトが終わった帰り道。
廃棄コーナーにある賞味期限ぎりぎりのから揚げ弁当とヨーグルトを詰めたレジ袋を持って歩いていると
道端でうつ伏せになって倒れている3歳ぐらいの小さな子供を見つけた。
「えっ、どぉした!?…大丈夫?」
と声をかけても

へんじがない。ただの しかばね の ようだ。

と、こんな冗談を言っている場合ではない。
呼吸を確認しようと思い、仰向けにする。
顔は小さくてほっぺはぷっくりしてて、ほんのり赤い。
誰もが羨む理想のめちゃくちゃ可愛い女の子だった。

ここで敢えてもう一度言っておこう。

私はロリコンではないと!!!

...でも、ちょっとあまりの可愛さにドキッとしたことは否めない。
大丈夫、息はしている。
とりあえずは一安心だ。
さぁ、ここからが問題だ。これからどうしようか。
「本当にドラクエみたいに協会へ飛んで行って回復出来たらいいのにな。」
と絵空事を言ってみる。
まぁ、幸いにも、
自分は実家暮らしだし、一人暮らしのアパートに連れて帰ろうって訳じゃない。
親もいるし、ここで置いて行くよりかは断然マシだろう。
そう思い、少女を抱き上げおんぶすると、そのまま家へと連れて帰った。

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