感想:夜行
夜行 森見登美彦
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●あらすじ
鞍馬の火祭りに行った仲間と10年の時を経て、火祭りで再度集まる。
1人、火祭りの時に行方不明になった長谷川さんを除いて。
みんなに会う前、たまたま見かけた「岸田道生」の作品「夜行」の話をしたのをきっかけに、それぞれが不思議な旅を語り始める。
長谷川さんは、あの日どこに消えたのか。
●感想
読んでいて、あれ?これ、森見さんだよね?恩田陸さんだっけ?と、表紙を見返してしまった。
現実の延長線にある不思議な世界、と言えば、夜は短し恋せよ乙女や有頂天家族など、ポップでキュートな印象のお話が多かったので、こんなちょっとホラーでサスペンスチックな感じがとても意外だったのです。
「怪談×青春×ファンタジー」と裏表紙に書かれていたけれど、個人的には青春要素は冒頭のみで、どちらかというとやっぱりホラー(怪談?)要素の方が強く感じました。私が青春もの、特に学生の青い恋愛ものがあまり好きでないから、記憶にとどめなかっただけかもしれないけど。
各自が語る旅の話が、短編集仕立てとなっていて、それぞれ独立したお話としても楽しめました。
特に、舞台となっている鞍馬、尾道、津軽は自分自身が訪れたことのある場所で、その時の風景や持った印象を思い出しながら読めて、またコロナ禍が明けたら旅行に行きたい気持ちが強くなりました。
どの旅の話が一番好きかな?と、思い起こしてみたけれど、どれも不気味、というか、不協和音のような気持ち悪さで、好きな話は一つもないみたい。逆にどれが一番気持ちが悪かった?というと、個人的には「津軽」かな。これだけ、別の毛色の要素がある気がしたので。
なんとなく、このお話を読んでいて思い出したのは、恩田陸さんの「月の裏側」久しぶりにもう一度読みたくなっちゃった。
その前に、「蜜蜂と遠雷」を読まなくては。
(SFミステリーでないので、食指が動かない(^-^; )