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【美術館レポ】なぜ恋はふつうの人を詩人にしてしまうのか
なぜ恋をしていまうのか?展を見に、水戸市にある茨城県立歴史館に行ってきた。
残念ながら会期は終わってまったけれど、自分の記録も兼ねて、恋の謎について考えたいと思う。
ロマンティックな恋愛という概念はキリスト教観とともにもたらされ、生活保障も含んだ日本の結婚観と混ざり合って、日本独自の恋愛観が生まれてきたらしい。
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テーマは「過去を学び未来を考える」だったので少し不思議だったけれど、
過去も今も未来も、人間が夢中になって語れるのが「恋」なんだろう。
歴史に残る大恋愛や失恋エピソード。あくまでも個人的なことなのに、並ぶと壮観だ。
恋心そのものは未来には残せないけれど、恋心ゆえの行動は、相手の心にも、そして歴史にも記録されてゆく(可能性がある)。
恋愛は行動あるのみだと学んだ。活かせる気はしないけど。
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会場ロビーには、「恋」ってなんですか?と問いかける参加型の企画展示があり、この展示を見に訪れたあらゆる人が恋に対する思いをしたためていた。
けっこうな人数の人が、手のひらよりも小さいピンクの付箋紙に恋に対する思いをぶちまけている。
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「恋」というフィルターを通したとたん、こんなに多くの人がひとことポエムを書けちゃうんだ。
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もちろん、
恋に満たされたハッピーなコメントも、
追いかける恋を嘆く魂の叫びも、
恋には価値を感じないという風刺的な言葉もあった。
恋に対して前向きな気持ちを持つ人も、持たない人も、それらは全て自分ごとだった。
誰でも自分を主語に語れる魔法の言葉。それが恋。
全部読み込んだら胃もたれしそうになったけど、テキストマイニングしてみたい。
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こんなに科学は進んだのに、恋の正解は見つからないし、喜んで不正解を選びたくなってしまう。
誰かと特別な結びつきを持ちたいという自分勝手な思いを「恋」という言葉で綺麗にラッピングしてしまう人間の愛おしさよ。
なぜ恋をしてしまうのか?
それは疑問文ではなくて、Whatから始まる感嘆文のようなものなのかもしれない。