ドイツ人にインタビューしてみた:お休み上手なドイツ人と休み下手な私の価値観は180度違っていた?!
こんにちは、はなです🌼
今日は新しい働き方ラボに関する記事になります。
現在私は、自主企画として以下のようなテーマで研究を進めています。
研究計画書を含むこれまでの記事は以下の通りです。
今回は実験第4弾!
休みを上手にとってご機嫌に働くドイツ人にインタビューを行い、
✔︎「休み」に対してどんな価値観を持っているのか
✔︎休み下手な私と何が違うのか
✔︎休み下手な私に必要な要素はどこにあるのか
✔︎それらは日本社会を変えるアイディアにも繋がるのか
を研究してきました!
今回は制度やシステムではなく、個人における休みに関するドイツ人の価値観に焦点をあてました!
はじめに:これまでの研究と疑問
日本とドイツが向いている方向は似ている
実験第1弾と第3弾から、ドイツには休むための法律、柔軟に働くための制度が整備されていることがわかりました。
と同時に、日本にも似た制度は存在しており、ドイツが行ってきた働き方改革と日本の働き方改革の方向性もとてもよく似ているということも明らかになりました。
なぜ、日本の働き方改革は浸透しないのか
労働時間を減らして休暇を増やし、新しい制度を浸透させて働き方改革を実現してきたドイツに対し、なぜ、同じような方向性で改革を進める日本ではなかなか浸透しないのでしょうか。
私はその原因のひとつとして、一人ひとりの「休みの捉え方」に違いがあるのではないかと考えました。
「休み=悪」の空気感が強い日本
2019年、私が日本で働いていた頃、働き方改革によって年間5日間の有給休暇の確実な取得が義務付けられました。(厚生労働省)
この制度によって、上司に休暇取得を催促されるようになりました。それでもなお、私は有給休暇を申請する時は罪悪感を感じていました。
それは、
・100%有給休暇を取得する人なんて周りに一人も存在しないこと
・休んだ次の日には謝る風潮
・休まず働く人が「えらい」「頑張っている」と称えられる環境
からくる罪悪感でした。
とにかく私は「休み=悪、怠惰」という空気感を強く感じており、自分の中でもその感覚は当たり前の感覚となっていました。
休み上手になるには、どんな意識改革が必要?
実験第1弾、第3弾によって、労働時間を減らして上手に休みつつ働くための「制度」の方向性は見えてきました。
しかしその制度を実際に運用し、日本社会に浸透させていくのは現場で働く日本人一人ひとりです。
「休み=悪」という価値観を根底に持っていたら、どんなにいい制度でも形骸化したり、実際には誰も使っていないという状態になったり、改革は一向に進まないでしょう。
そんな休み下手な日本人は、どのように意識を変えていく必要があるのでしょうか。
上手に休みながら働いているドイツ人にそのヒントを得るため、今回は私にとっての休み上手なドイツ人代表「ホストファミリー」にインタビューしてきました。
インタビュイー:私のホストファミリーはこんな人
彼女の朝は早く、朝4時半に目覚めます。朝ごはんを食べ、準備をして朝6時には出勤。午後2〜3時に帰宅し、仕事終わりの時間を存分にリラックスして過ごします。
ケーキを焼いて家族でお茶したり、庭に出てガーデニングしたり、バーベキューをしたり、レストランやカフェで外食したり。
長期休暇には、ドイツ北部の島に行ってゆったり過ごしたり、自然の中をハイキングしたりして休暇を楽しみます。
そんな彼女とその家族は、とにかくいつもご機嫌でした。
イライラしたり切羽詰まったりしている気配を感じたことが一度もありません。
そんな彼女に「休み」をどう捉えているのかインタビューしていくと、上手に休みながら働くために必要な3つの視点が見えてきました。
上手に休みながら働くための3つの視点
①休みはいい仕事をするために必要不可欠なもの
「休みってどんなイメージ?」という質問をなげかけると、まず、「休みはとても重要だよ」という答えが返ってきました。
そして、休むと何が起きるのかを、以下のように話してくれました。
②休みがよりよい職場環境を作り出す
さらに、次のようにも話してくれました。
③同僚は助け合うために存在する
私は特に気になっていた質問をしました。
「有給休暇を使う時、罪悪感を感じることはある?」
彼女は、「いい質問だね。全然ないよ。」と答えました。そんなにはっきり言い切られると思っていなかった私が「全然?!全く?!」と聞き返すと、「全く。ゼロ。」と再度強調されました。
結論:休むことで「得られるもの」に視点を向けよ!
私は驚きました。何よりも自分に。
彼女の話を聞くうちに、私には「仕事を休んだら自分は守れるけど、職場には迷惑になる」「会社にとっては不利益なこと」というイメージが根付いてるのだということに気がつきました。
「休み=悪、怠惰」という概念のもと生まれ育ち、それが自分を苦しめ、休職して休みの重要性を体感した私ですが、まだ理解できていない休みの重要性が彼女の答えには詰まっていました。
休み上手な彼女たちには、休むことは自分のためであると同時に、会社にとっても利益になっているという認識が根付いていました。
私と彼女の価値観の違いはとてもシンプルなことでした。
休みによって起きることの何にフォーカスしているか。これが、180度違ったのです。
私は休みによって「失われるもの」に、彼女たちは休みによって「得られるもの」にフォーカスしていました。
休み下手な日本人がまずすべきことは、「休みによって得られるものに意識を向けること」、「視点を180度かえて反対側から捉え直してみること」なのではないでしょうか。
一人ひとりの価値観を変えるために必要なこと
個人が持つ価値観とは、どのように変わるものなのでしょうか。
私がこれまでの人生で最も「自分の価値観が変わった」と感じたのは、ドイツ留学です。
まず、自分の常識にはない習慣や文化・価値観が存在するということを知り、それらを体感したことで、私の価値観はどんどん変わっていきました。
つまり、働く人にも企業側にも、休むことのメリットを「知ってもらう・気づいてもらうこと」「体感してもらうこと」が必要なのではないでしょうか。
企業でできること:3つのアイディア
「知ってもらい、体感してもらう」ために、企業でできることにはどんなことがあるのか、私なりに3つ考えてみました。
①②によって「休み」の異なる捉え方を知識として知ってもらったり、当たり前になっている自分の価値観を疑ってみる、自分の意識・価値観に気づいてもらう機会を作ります。
③では、実際に休みの良さを体感する人を増やします。
制度として設けるのもいいですが、実際に体感してもらうことが重要なので、「懸賞的に長期休みを提供する」、「社歴の節目に取得できるようにする」など、実際に制度を最初に享受する一人、二人、三人、、、が生まれやすい仕組みを作ることがポイントだと思います。
「たっぷり休んだ方が自分のためにも会社のためにもいい!」と体感を伴って納得した人が増えることで、社員発信で「休みづらい文化」を変えていけるのではないでしょうか。
「ただ制度を作って押し付けても文化はなかなか変わらない」ということは、私自身、前職で体験しています。
制度を整えると同時に文化も変容させていくために、社員一人ひとりの意識にアプローチする取り組みが必要だと考えます。
おわりに
休み下手な私と休み上手なホストファミリーの間には、「休みの捉え方」に大きな違いがありました。
まずは休み下手な日本人のひとりである私が、休みによって得られることに意識的に目を向け、大好きなホストファミリーのように休暇と仕事のバランスがとれたご機嫌な生き方をしていきたいと思います。
企業において一人ひとりの意識に寄り添い、アプローチする方法はまだまだ存在すると思います。
次回はこれまでの研究をもとに、私の日本の働き方改革に向けたアイディアが、「人事部目線ではどう見えるのか」、「実際に実行するにはどんな壁が予想されるのか」など、現役で人事として働く方にインタビューしてみたいと思います!