産後3ヶ月、心療内科のドアを叩く
5月頃からどうにもおかしかった。
あんなに毎日笑って過ごしていたのに、あまり笑えなくなった。
「夫の育休が終わって疲れが溜まっているのだろう」
そんな呑気なことを考えて、忙しく2歳児と0歳児の世話に明け暮れた。
6月、イライラが自分の頭の中を支配するようになった。
いつもイライラしている。2歳児の一挙手一投足、一つ一つが気になって仕方なくなった。
今まで笑って流せていたことに突っかかるようになった。
なんでもないことで、長女を怒鳴りつけることが増えた。
理由も思い出せないような、本当に些細なことでだ。
「このままでは殴ってしまう」
そう思って児童相談所に電話した。
頑張ったねと相談員さんは私を労ってくれた。
なんとか自分の力で頑張らなくてはと毎日必死でイライラと怒りを押さえ込んだ。
7月、再び長女を強く怒鳴りつけた。
大きく手を振りかざして、自分が怖くなって手を止めた。
「もう限界だ」
そう思って、心療内科のドアを叩くことにした。
コロナ禍もあってか病院は空いていて、メガネをかけた優しそうな先生が話を聞いてくれた。
毎日イライラして過ごしていること。
長女を些細な理由で怒鳴りつけてしまうこと。
そんなことをしてしまう自分が怖くて、嫌で仕方がないこと。
自分の気持ちを表現する元気もあまりなく、言葉に詰まりながらなんとか話した。
「食欲は?」
「夜は眠れている?」
「情緒不安定な感じが強い?」
先生の質問に答える中で、食欲らしい食欲をしばらく感じていなかったことにようやく気付いた。
「産後うつ、まではいかないけど、かなり近い状態かな」
「産後はこういう人が多い。イライラはホルモンのせいだから、貴方は悪くないんですよ。薬を飲んでみましょう。」
自分が産後うつ一歩手前。
まさかと思ったが、先生の言葉に救われた。
「イライラはホルモンのせい」
ああ、よかった。
私が自分でイライラしているわけじゃなかった。
長女の行動にイライラしているわけじゃなかったんだ。
その言葉を聞いて、診察室で号泣した。
今は漢方や鉄剤の服用を始めて、自分でも驚くほど穏やかな精神状態に戻っている。
もちろん長女のイタズラやイヤイヤに嫌気が差すこともあるが、以前のような急に沸き立つ怒りは感じなくなった。
薬は偉大である。
始めて心療内科のドアを叩いたが、こんなに良くなるのであれば早く行けばよかったという感想しかない。
今までうまくできていたから、というのは過信であったなと今更ながら思う。
まだ通院は続く予定であるが、このままコントロールできれば残りの育児休暇期間も落ち着いて過ごせそうである。
産後間もない方へ。
今感じているイライラは、もしかしたらホルモンが悪さをしているのかもしれません。
一人でイライラと闘う必要はないです。
早めに医療に繋がってみてください。
何か解決への糸口が、見つかるかもしれませんよ。