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変化するということ

久しぶりのnote更新。
この媒体をどう活用しようか?と考えてもいたが、好きな事を好きな様にテキスト化してるだけのツールになっていた。
そろそろ目的をもって文章を書きたいものだが、それもそれで自分を圧迫しそうでなんとなく避けている。
さて、今日は誰に向けてどんな事を書きたくなったのか?

「スタッフに向けてこれからの事」を書きたくなった。
というのも、僕が書いたブログやSNSを、僕が思っている以上にスタッフが見てくれていると知ったから。
少し、僕の考えを共有する場所に使わせてもらおうかしら、と。
経営者や上司の考えていることなんて、スタッフには1/3も伝わっていない。
少しでも僕の考えや方向を理解してもらえたらな、などという淡い期待は適度にしておこう。

合併の弊害

「陶芸の宿はなぶさ」から「富嶽はなぶさ」へ移転リニューアルしたのがちょうど3年前。

ドメスティック・カンパニー「はなぶさ旅館」が、2つの旅館を合併させ・移転して・再スタートさせる という全国的にも珍しいケースのリニューアルだった。
正直、運営していくには課題点が山ほどあり、かなりハードな舵取りとなったのが正直なところ。

  • 移転先の施設スタッフ

  • 元々はなぶさで働いていたスタッフ

  • それぞれのオペレーション

  • それぞれの企業文化

  • 旅館という業態が抱える潜在的な課題

  • 雇用の問題

などなど、今考えるとかなり危うい状態で営業をしていたと思う。

だから、移転当初は旅行サイトのレビューでオール1点が付くこともあったし、クレームも沢山いただいた。
「こっちの旅館ではこうやっていた」「あっちの旅館ではこうだった」などという小さな争いは日常茶飯事。
「あっちもこっちも無いだろう。今は富嶽はなぶさという1つの旅館だろ」と、僕自身も心をすり減らしていた。

  • 古びた考え方

  • 属人化された仕事

  • 旧態依然の働き方

  • アップデートされないコンテンツ

どうしたら良い方向へ修正できるか?と考えながらも、旅館の売上は伸びていく。
抱える現状とは裏腹に、予約数や稼働が右肩上がりになり目の前のお客様に対応していくのに精一杯になった。考える時間よりもオペレーションをこなす時間の方にリソースを向けざるを得ない。
このまま無理に進んでいくと、どこかで大きな問題が出てきてしまうな、と思いながらも止められない。歪な歯車でも、回り出したら動力を止めるのは難しいのだ。

そんな時、世界中で新型コロナウイルスが蔓延した。

世の中は「外出するな」の大合唱。
満室だった予約はあっという間に消えてなくなり閑古鳥が鳴いた。
緊急事態宣言により1ヶ月の営業自粛を余儀なくされた。

忙殺されていたオペレーションから解放され、考える時間は自然に出来ていた。

「変化するということ」

旅館のこれからについて時間を使って考えてみた。
「どう変わっていったら良いか?」 その答えは明白だった。

  • 価値を上げ、単価を上げて利益率を良くしていく

  • 中抜けなど旧態依然の働き方を改革

  • IT化や人的リソースの集中(マルチタスク化)で生産性を上げる

  • 人事評価制度を策定し納得のいく評価基準を設ける

  • 従業員の待遇アップ(ES向上)

  • マニュアル化で属人化された仕事を平準化する

  • 適度にプレッシャーのある職場にしコンテンツをアップデートしていく(CS向上)

ざっとそんなところだろう。
つまるところ、ドメスティック経営の老舗旅館が抱える問題はほぼ同じだ。どこの旅館も、少なからず上記の改革が迫られている。

なぜ改革が必要なのか?

このnoteはあくまでスタッフに向けて書いているから、その辺りを丁寧に説明していこう。

現在の老舗旅館の働き方は、昭和40〜60年代辺りで確立された、と僕は考えています。
団体旅行や家族旅行が流行し、それに合わせてカスタマイズされたオペレーションや働き方である。
女中、フロント、内務、調理部、洗い場、清掃、夜警など、仕事ごとに綺麗にセクション分けされ、それを女将や支配人がコントロールしていた。

時代は令和。
セクション分けされた文化は残ったまま、個人旅行が旅行のメインストリームになった。

  • 露天風呂付き客室

  • 足湯BAR

  • ペットと泊まれる宿

  • 湯めぐりが楽しめる宿

  • プライベートサウナ

などなど、宿のコンテンツも個人をターゲットしたものに。
逆に、「客室1000室の宿」や「大広間のある団体旅行向けの宿」などはどんどんポジションを奪われている。
ターゲット・価格・コンテンツ・働き方・最低賃金・人材不足 などなど、時代は変わっているのに旅館の中身は昭和のまま。

→少子高齢化で人材獲得は困難を極める
→最低賃金が上がっているのに単価はそのままだから利益率が下がる
→スタッフの待遇も上げられない
→古びたコンテンツで集客も難しくなる
→集客が出来ないのにスタッフを抱えているから稼働を上げざるを得ない
→稼働を上げるために価格を下げる
→利益は出ない
→ハードワークでスタッフは疲弊していく
→人材獲得は出来ない

という負のスパイラルに。
あと10年もするとこの問題はより一層酷いものになるだろう。

「向かい風」

普通の経営者ならそんな状況は分かっているはずだ。
変わらなければいけないと分かっているのに変われない。
なぜ変われないのか?
それは、社内から圧倒的な向かい風が吹きつけるから。

僕自身、何度向かい風が吹きつけられたか分からない。というか、もしかしたら今も毎日吹いているのかもしれない。気づかないだけで。
「今の現状を変える」というのは、働く人にとって恐怖しかないのだ。
でも僕は気づいている。経営者は気づいている。
「今の現状を続けるためは、今の現状を変えていくしかない」と。

先に述べた通り、現状のまま何もせず進んでいったら、負のスパイラルに陥ってしまうのは明白だ。

10年後、スタッフの年齢は何歳になっているだろう?
当たり前だが、60歳の人は70歳になり、40歳の人は50歳になる。今と同じパフォーマンスは発揮できないのは言うまでもない。

「若い人を雇ったら良い」と思うかもしれないが、冷静に考えてほしい。
給与も低く・古臭い働き方で高齢社員ばかりの会社に、若い人は履歴書を送ると思うのか?と。
僕がピチピチの20代なら、そんな会社眼中にもない。もっと将来性があって給与も高く、自分の成長に繋がる会社に入社するよ、絶対に。たとえ入社しても速攻でやめるよ、絶対に。
だから、若い人が素直に「働きたい」「働きやすい」という会社を作っていく必要があるのだ。
「僕たちの日常を続けていくために」。

僕が向かい風に心が折れて会社の事を変化させなくなった時、それは会社が終わりに向かい始めたと同義だと思っている。
だから、勇気を持って改革を進める。
自分達で変わっていける仕組みを作るまで続ける。
これは後継ぎの宿命なんだろう。

10年後・20年後

スタッフのみんなに問いたい。
10年後の未来の自分の姿を描いているだろうか?
20年後の自分を想像しているだろうか?

おそらく、ほとんどの人はしていないだろう。
また、答えたとしても「今と変わっていない」と答える人が多いだろう。でもそんな訳はない。

思い出してみてほしい。10年前と今と、仕事の環境は変わっていないですか?
弊社のスタッフで「全く同じ」と答える人は1人もいないはずだ。だって10年前と全く違う場所で会社は運営しているから。

つまり変わるんです。

職場環境や世の中の情勢で、ビジネスの中身なんてすぐに変わるんです。
今は旅館をやっているけど、10年後は飲食店になっているかもしれない。20年後は民泊をやっているかもしれない。
時代と共に会社は変わっていくのだ。

僕は
10年後の会社をどうしていきたい
20年後の自分の働き方はこうなっていたい
という姿を想像している。ぼんやりとでも描いている。
その為に、逆算して今から変化を起こしているのだ。

「現状維持は衰退」

僕が大切にしている姿勢だ。

世の中が圧倒的なスピードで変わっているのに、自分達が変わろうとしない。それはすなわち「衰退していく」という事だ。

  • 今までのサービスのままで大丈夫

  • 今までの料理クオリティをキープしていく

  • 今までの清潔感を続けていく

  • 今までの働き方をそのままに

それは、「現状維持」ではなく「衰退」していっているのだ。

変えていく事はやっぱり怖いこと。
ちょっとの勇気とちょっとの行動力が必要になる

でも変化させた先に、自分達の生きる道がある。
そう考えるとワクワクしないですか?

僕には「旅館をもっとこうしたい!」という強い想いがある。
スタッフのみんなはどうだろう?

もっと自由に旅館の未来を考えてみてはどうだろう?
「あの時はあんな事してたのか」
「あぁ、ホント変わってよかったな」
と10年後思えるように頑張ろうよ!

旅館を未来へ引っ張るのは僕の仕事
旅館の未来を作るのはみんなの仕事

よし!やろうぜ

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