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福岡市博物館 特別展「侍~もののふの美の系譜~」(後期)
福岡藩主 黒田家ゆかりの名宝
豊臣秀吉の参謀として活躍した黒田官兵衛(孝高/如水)と長政親子が築いた福岡の町。
福岡市博物館で開催されている特別展「侍~もののふの美の系譜~」では、黒田家のゆかりの宝はもちろん全国の武将たちの名品が展示されています。
今回はその中から特に印象に残った4振りについて書きたいと思います。
鋭い切れ味 国宝 へし切長谷部
名前の由来は織田信長が棚の下に隠れた茶坊主を棚ごと圧切った逸話から。「圧切(へしきり)」とは押し当てただけで切れるという意味です。
そんな鋭い切れ味を持つ「へし切長谷部」は織田信長から黒田官兵衛に贈られ、黒田家の家宝として長い間大切にされてきました。
刀の特徴は全体に「焼き」が広がった「皆焼(ひたつら)」の刃文。
刀身全体に広がるような印象的な刃文で初めて見たときは驚きました。
展示替え終了。明日より侍展は後期展示となります。
— SAMURAI2019 (@SAMURAI_2019) October 7, 2019
圧切、中務正宗、骨喰藤四郎、延寿(当館蔵、黒田一成佩用、棟の受疵が見えます)は裏側を見せます。#侍展 #福岡市博物館 pic.twitter.com/F5DxSJ4RUt
今回は2度目の鑑賞。
1度目は刀の表側で、この日は裏側を見ることが出来ました。
裏は表より大人しい印象ですが、皆焼の刃文はしっかり見えます。
「長谷部国重」の銘が見れたのも嬉しい。
地鉄は小板目よく詰み地沸つき、地景入る。
刃文は互の目、小のたれを基調とした皆焼、小沸つき、匂口冴え、金筋・砂流しかかる。
刃文の白い部分だけを見るとやわらかく静かな雲のようなのに、全体にかかる飛焼と沸で縁取られた部分は黒く飛び散る血飛沫にも見える。
一目見たら忘れられない激しさと美しさ。
何度見ても感動します。
和談の礼代 国宝 日光一文字
「日光一文字(にっこういちもんじ)」は豊臣秀吉の小田原城攻めの際、降伏仲介のお礼として北条氏直から黒田官兵衛に送られました。
備前一文字派の傑作とされ、豪華な重花丁子乱れ(じゅうかちょうじみだれ)の刃文は文字通り重なる花弁のように揺らめいて見えます。
備前刀らしくとても華やか!
日光一文字のビューポイント! 全体に焼きが広がった皆焼の圧切と異なり、日光一文字は刃中に華やかな重花丁字の刃文が煌めいています。腰元には備前刀の特徴、映りが見えます。霞がたなびくようなうっすらとした映りが黒い地のなかに延びています。華麗な刃文をご堪能下さい。#福岡市博物館 #侍展 pic.twitter.com/FV72pXOrUQ
— 福岡市博物館 (@fukuokaC_museum) February 7, 2019
重ねが薄めで引き締まった太刀姿。スタイルがいい。
北条家の前の所有者であり、名前の由来にもなっている日光二荒山神社は伊勢神宮に次ぐ面積の大きな神社です。
明るく華やかで神格もある。
擬人化したら絶対に陽キャだと思う。
明るく冴えた肌 国宝 太閤左文字
「太閤左文字(たいこうさもんじ)」は左文字の最高傑作と言われる短刀です。驚くほど明るく綺麗な地鉄。沸が厚く付きキラキラしています。
茎(なかご)からのわずかな反り、明るく冴えたのたれの刃文、鋭い鋒、身幅や刀身の全体的なバランス、全てが好みです。
太閤の名前に相応しい美しさ!
隣に並ぶ同じ刀派の左文字の太刀 江雪左文字(こうせつさもんじ)と見比べるもの楽しい。明るい地鉄やのたれ調の刃文が似ているなと思いました。
左文字の刀かなり好きかもしれない。
日本一の槍 日本号
実は日本号に会えるのをすごく楽しみにしていました。
三名槍の一つで、槍でありながら正三位(しょうさんみ)の位持ち。「日の本一の槍」だから「日本号」など、すごい評価の数々。
日本号は特別展ではなく常設展示されており、撮影もできます。
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1番に目が行くのは倶利伽羅龍の浮彫。
めちゃくちゃ格好いい。
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螺鈿細工が散りばめられた豪華な柄。
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日本号は実戦で使用されたため、刀身には敵の刀を受けた打ち込み傷があります。
酒は呑め呑め 呑むならば 日の本一のこの槍を 呑み取るほどに 呑むならば これぞ真の黒田武士 (民謡 黒田節)
黒田官兵衛と息子の長政に仕えた母里友信(もり とものぶ)が大盃の酒を飲み干して福島正則(ふくしま まさのり)から日本号を譲り受けたことから「呑み取りの槍」とも言われています。
日本号はそんな逸話も似合う豪快さでした。
ふりかえり
豪華すぎる展示内容。刀の刃文や地鉄もよく見えて最高でした。
本当に素晴らしい特別展をありがとうございました。次は日本号とへし切長谷部が並んで展示されているところを見に行きたいと思います!
開催期間:2019年9月7日(土)〜11月4日(月・振休日)
参考文献
国指定文化財等データベース(文化庁)、アーカイブズ |福岡市博物館、2019年10月30日閲覧