暖かい手
二人で会うときにはいつも、手をつないでいた。その人の手のひらは厚くて大きくて暖かかった。3年間。週に一度。いつもの場所で待ち合わせて、いつもの場所で別れるまで。
目先の快楽より彼氏作ればいいのに。
ベッドの上で彼の言った何気ない一言。
えぐれた。心は胸の奥にあるっていうのが分かるぐらいにはっきりと、私の心は結構奥深かったんだって思った。
もう会うのやめようっていう連絡に、ホッとしたような返信があって、そのまま終わった。ごめんの一言もなく。
あの一言は万死に値するんじゃないか、私がえぐられた分の痛みを倍返しにしたい、不幸になればいい、思い切り。彼の大事にしているものが壊れてしまえばいい。
彼に費やしたたくさんの時間。彼のために買った贈り物の数々。
人を呪えば穴二つ。
それでも。
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