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聖NS学園ラスカルの誕生日スペシャル!
この物語を初めて見てくださる人へ
これまでのあらすじ(これまでの話を簡単に要約しました。)
超名門校の聖NS学園に通う中学1年生の星南羽菜は
生徒会長に憧れ、後期の生徒会に立候補する。
1学期では、羽菜は生徒会のメンバーではないものの、生徒会にやたらと遊びに来たり、生徒会の会議に出席するなど数々の問題行為をしていた。
しかしそれはただの迷惑行為ではなく、行事を成功させるために無理をしている生徒会のメンバーへの気遣いだということが分かった。
後期生徒会選挙では堂々としたスピーチで生徒の心を掴み、見事当選。
前期生徒会のメンバーと共に学校をより良くするために励む、
友情と青春の物語。
前期生徒会のメンバー紹介
生徒会長
星葉 姫
副会長
八雲 蒼生
書記
白銀 黒
会計
熊野 陽太
聖NS学園特別編2
黒先輩の誕生日の翌日。
私は自分の部屋の机にほおづえをついて考え事をしていた。
生徒会の人達の誕生日、集中してるよね…
私は黒先輩の誕生日会が終わって、
また考えていた。
考えていたのは、陽太先輩の誕生日。
陽太先輩は9/3が誕生日なんだ。
一回サプライズをしたから今回もサプライズってわけにはいかない。
サプライズがバレてしまったらサプライズじゃないもん。
うーーーん。
よし!じゃあ今回はこの作戦で行こう!
私はスマホを取って、ある人に電話をかけた。
羽菜
「もしもし。姫先輩?明日、遅刻してくれませんか?」
姫
「え?」
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
陽太視点
9/3
今日もいつものように学校に行く。
自転車で学校にいくと、季節の流れが身近に感じる。
心地よい秋の風が吹いていた。
もう9月なんだな。
しみじみ思う。
学校の駐輪場に到着すると、スクールバスから降りてきた蒼生が言った。
蒼生
「おっ。陽太じゃん。おはよ。」
陽太
「おはよ。」
僕も返事を返した。
今日も重めのマッシュヘアが似合っている。
僕は周りを見渡した。
あれ。おかしい。
姫はいつも蒼生と同じスクールバスに乗ってきているはずだ。
陽太
「姫は?」
蒼生
「あー。いつものバス停にはいなかったよ。」
蒼生が言った。
姫に何かあったのか…?
陽太
「ありがとう。じゃあ姫が来るまで、待ってみる。」
蒼生
「OK。遅刻はするなよ。」
蒼生とは分かれて、姫を待っていた。
姫は遅刻はあまりしたことがない。
生徒会長の威厳を保つためと。
あの姫が寝坊…?
そのうち、校門から見覚えのある人物が自転車で全力疾走してきた。
低めの位置で結んだポニーテール。
ヘルメットを被っていても分かる。
最近生徒会に加入した羽菜だ。
自転車なんてかなり珍しい。
羽菜
「はーっ。陽太先輩、おはようございます!」
羽菜は急ブレーキをかけて、
僕に挨拶をする。
あんなに全力疾走してたのに、全く息切れもしていない。
陽太
「おはよ。自転車珍しいね。」
羽菜
「そうなんです!走って学校行くよりも楽で、いつもより早く着いちゃいました!」
たしかに、羽菜はいつも走って学校に登校してる。
あのくらいは楽勝なのかもしれない。
羽菜
「あれ?姫先輩は一緒じゃないんですか?」
陽太
「うん。まだ来てないらしい。」
僕は羽菜に言う。
羽菜
「そうなんですねー。遅刻したらダメですよー。」
羽菜はそう言って自転車にまたがり、
駐輪場に走り去っていった。
そしてまた姫を待つ。
しかしいつまでたっても姫はこない。
羽菜のすぐあとには黒が登校してきた。
黒
「姫、待ってるの?」
陽太
「いやなんで分かるんだよwww」
黒
「そりゃわかるよ。じゃ、頑張れーww」
陽太
「何をだよwww」
今日はみんな登校時間が早い気がする。
特に黒。黒はいつもバスの最終便に乗ってくるはずなのに、2個前のバスに乗ってきた。
うーん…
ふと時計を見ると、8時25分だった。
朝のホームルームは40分からだ。
かれこれ30分ぐらい待っている。
遅い。遅すぎる。
僕は待てなくて、姫に電話をした。
スマホを校内で使うのは校則違反だけど。
でも、電話をかけても、姫は電話に出なかった。
やっぱり、電話に出ないとなると、ますます心配だ。
でも僕は姫を信じて校内で待っていた。
すると、
8時35分ぐらいに姫が走ってやってきた。
陽太
「姫!よかった…」
僕がそう言おうとした瞬間、
姫
「陽太!なんで待ってたの!遅刻するよ!?」
と言いながら僕の前を走って通る。
僕は姫を追いかける。
そして、僕は良いことを思いついた。
陽太
「遅刻するのは姫のほうだろ。」
僕はそう言って姫の体を持ち上げた。
そして、完全にお姫様抱っこ状態になった。
姫
「陽太っ!?な、な、な、何してるのー!?」
陽太
「こっちの方が楽だろ。」
僕はそう ささやく。
僕は中庭を抜けて、校舎に入っていった。
下駄箱で、姫を一旦おろし、時計を見た。
あと3分。
絶対に間に合う。
姫が上履きを履き終わり、姫はこっちを向いた。
ははーん。なるほど。もう一回やってほしいのか。
陽太
「何?」
僕はわざと気付いてないふりをした。
姫
「え、えと…」
姫は少し慌てていた。
姫
「も、もう一回…教室まで…///お姫様抱っこして…」
恥ずかしそうな声に僕は内心ドキっとした。
陽太
「いいよ。でも生徒みんなに見られてもいいの?」
姫
「いい!だから!お願い!」
はあ…しょうがないなぁ…
僕は姫を持ち上げた。
姫
「…///」
姫は顔を赤くして、黙っている。
姫と僕は、ダッシュで教室まで向かった。
こういう時に1組でよかったと思う。
お姫様抱っこが2組とか3組とかに見られないし、
教室が階段をすぐ登ったところで、1番近いから。
でも教室に入ったら流石に騒がれるかな。
それも気にせず、僕はお姫様抱っこをしながら教室に入った。
クラスメイト
「え!?お、お姫様抱っこ!?」
クラスメイト
「すげえ!流石カップル!」
案の定、騒がれたが、遅刻はしなくて済んだ。
姫を下ろし、僕と姫は席についた。
蒼生と黒は親指を立てて、グットサインをした。
なんのサインだ…
僕と姫が座ると、ホームルーム開始のチャイムがなった。
あ、あぶねぇ…
※※※
放課後。
僕はいつも通りに生徒会室にやってきた。
あのあと、姫が遅刻した原因を聞いてみたけど、
姫
「え?ね、寝坊だよーww」
すごく白々しかった。
これは何かがある。
僕はその何かに心あたりがあった。
今日は僕の誕生日だ。
黒がこの前、誕生日だったから羽菜達とお祝いしたけど、今回は祝われる側なのかもしれない。
でも、サプライズならそのことは言わない方が良いのかもしれない。
僕はそんなことを考えながら、生徒会室の重いドアを開けた。
陽太
「…」
だれもいない。
やっぱりサプライズなのか…?
僕が呆然と立っていると、生徒会室のドアが開いた。
羽菜
「あれ?陽太先輩、今日は早いですね!」
入ってきたのは羽菜だった。
陽太
「羽菜も今日は遅いじゃん。」
僕がそう言うと、羽菜は自信満々に言った。、
羽菜
「まあ、私は生徒会室に来る前、一仕事してきましたし!」
そうなんだ。
僕は金銭出納表を出して、まだ伝票が届いていない部活を探した。
金銭出納表とは、どの部活が何にどのくらいのお金を使ったかを記録するノートだ。
伝票は何にどのくらい使ったかを報告する紙。
この学園は月一回なにも使用していなくても伝票を出すことになっている。
僕は伝票を提出していない部活を探した。
文芸部…出してないな…
僕はとりに行くのが面倒だったので、羽菜に頼むことにした。
陽太
「羽菜。文芸部に行って伝票もらってきてくれない?」
羽菜
「えー。まあ良いですよ。」
羽菜は珍しく仕事を引き受けた。
羽菜はすぐに外に出て行った。
僕は生徒会室中央に置いてある椅子に座った。
羽菜もふつーだったな…
蒼生
「しつれーしまーす」
黒
「失礼しまーす」
今度は蒼生と黒が来た。
黒は僕の向かい側の椅子に座った。
そこが、書記と会計の定位置だ。
黒
「さっき、羽菜とすれ違ったけど、どこ行くの?」
陽太
「あー。文芸部に伝票回収。」
蒼生
「え?wwそれ会計の仕事じゃね?w」
陽太
「いいだろそんなの!ww」
そんなたわいないいつもの会話をして金銭出納表を棚にしまった。
羽菜の伝票が終わったら今日は終わりか…
僕は壁に寄りかかった。
うーん。
やっぱりサプライズなのか…この様子だと忘れてる可能性もないことはない…
そういえば…僕…生徒会メンバーに誕生日教えてたか…?
いや、たしか教えてない…
僕は家族と姫以外に誕生日を教えたことはなかった。
それは誕生日を祝ってもらう人は特別な人だけが良いと思っていたからだ。
ファンクラブの人にも、余計な気遣いをかけてほしくなかったから。
教えてないなら当たり前だ。
サプライズなんて最初からなかった。
なんだか…心にぽっかり穴があいたようだ。
自分で誕生日を教えなかったのに…
黒や蒼生の誕生日を祝ってみて思った。
誕生日を祝ってもらうことは迷惑じゃない…
日頃の感謝を伝えられる唯一の機会だってこと…!
陽太
「ちょっと聞いてくれ!」
するとその時。
がちゃんという音と共に、生徒会室のドアが開いた。
姫
「陽太っっ!」
全員
「happy birthdayー!!!!」
全員の声と共にクラッカーの音が鳴った。
さ、サプライズ…!?
僕は呆然としていると、姫が言った。
姫
「陽太の誕生日、生徒会のみんなに教えちゃった…ごめんね…でも羽菜がどうしても生徒会のみんなでお祝いしたいって。」
姫は少し小さな声で言った。
僕は羽菜の方を向いた。
羽菜
「陽太先輩に日頃の感謝を伝えたかったんです!」
羽菜…
黒も続けて言う。
黒
「僕もだよ!陽太はいつも周りの人を気遣ってくれて、陽太がいると安心できるよ!ありがとう!」
蒼生
「男友達として恋愛相談乗ったりとか、陽太のおかげで僕も色々楽しい青春してる。」
陽太
「蒼生…」
僕の心になにかグッとくるものがあった。
姫
「陽太!?」
僕は気づいたら涙を流していた。
蒼生
「泣くほどうれしかったのかwww」
羽菜
「え!?陽太先輩の涙はレア!」
羽菜と蒼生がからかう。
陽太
「う、うるさいうるさい!」
僕は制服で涙をふいた。
姫も笑っていた。
黒
「はい。これ僕からのプレゼント。」
黒が僕になにかを渡す。
黒
「あけていいよ。」
僕は黒に言われたとおり袋を開けた。
なかには文房具が入っていた。
あれ…?
ボールペン…見覚えがある。
こ、これ…
黒
「そうだよ。これ姫と同じボールペン。」
陽太
「あ、ありがとう…」
僕は大事にボールペンを手に取った。
ボールペンには僕の名前が刻まれていた。
かっこいい…何より姫とお揃いだ。
羽菜
「姫先輩だけじゃないよ!私達ともお揃いだよ!」
羽菜達がそう言いながら羽菜と蒼生、黒が僕と同じボールペンを出した。
3人は新しく買ったのだろう。
蒼生
「生徒会メンバーでなんかお揃いのもの、欲しかったからさ。」
4人はにこりと微笑む。
それにつられて、僕も微笑んだ。
陽太
「ありがとう。嬉しいよ。」
蒼生
「陽太は星葉とお揃いが嬉しいんじゃねーの?ww」
蒼生が近づいてまたからかってきた。
陽太
「そうだなww絶対に失くしたらダメだなーwww」
僕も軽く返事をした。
黒
「よし!今日は生徒会室でパーティをしよう!」
羽菜
「よーし!今から準備するぞー!」
羽菜と黒は元気に言った。
なにやら生徒会室で誕生日パーティーをするらしい。
羽菜達は準備をしに、生徒会室の物置部屋に向かった。
姫も倉庫に向かおうとしてたが、僕は姫を呼び止めた。
陽太
「姫。」
姫
「ん?どうしたの?」
今朝のことが気になっていたからだ。
陽太
「今朝、遅刻した理由…寝坊じゃないよね?」
僕がそう言うと、姫は苦笑した。
姫
「ああwあれは…3人がサプライズの最終確認をするためにわざと遅刻したんだよw」
陽太
「え!?やっぱわざとなのか!?姫、けっこう大胆だな!?」
サプライズを成功させるために、遅刻すれすれで登校するなんて…
姫
「陽太。これ、私からのプレゼント。」
姫は小さな袋を僕に渡した。
受けとった瞬間、バターの香りがフワッと漂った。
袋越しでも分かるいい匂い。
これは…
僕は少し袋を覗いてみた。
中からチラッと見えたのは、手作りのラスカル型クッキーだった。
陽太
「あ、ありがとう!」
僕は少し照れながら言った。
すると姫は僕に近づいて小さく耳元で囁いた。
姫
「お姫様抱っこ、楽しかったよ♪」
そして僕の頬にキスをした。
姫
「陽太、お誕生日、おめでとう!」
陽太
「!?///」
僕は自分の顔が熱くなったのを感じた。
あとがき
最後まで読んでくださりありがとうございます!
誕生日プレゼントとして、ラスカルの誕生日祝いに書き下ろしスピンオフ小説を書かせていただきました!
ひめたん、ラスカルの誕生日教えてくれてありがとう!
今回はラブ要素多めでお送りしましたが、どうだったかな?ww
作者自身、恋愛小説書くのほぼ初めてだと思う!w
でも、楽しんでくれたら嬉しいな!
ではでは!最後にハナからお祝いの言葉をお渡ししたいと思います!
ラスカルへ
お誕生日おめでとうございます!
ラスカルさんのつぶやきなどを見てると、参考になることとか、
私が知らない知識が沢山で、すごいなぁって尊敬してます!
最近は忙しいらしいけど、無理しないでくださいね!
そしてこれからもよろしくお願いします!
ハナより
以上です!
次回書くのはまたまたスピンオフですよ~w
お楽しみに~!
このお話がいいと思ってもらったらスキを、
感想は是非コメントにお願いします!
聖NS学園の本編もあるので是非見たい方はこちらからどうぞ!
ではまた次回の小説でお会いしましょう!
またね!
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