アラートループ事件の裏側:Aさんとのやりとりをもとに
この記事の購読による収益の2割は私(加藤公一)が受け取り、残りはAさんが受け取ります。また、「サポートをする」機能により追加で寄付していただいた分はすべてAさんに渡します。
はじめに
2019年6月13日
Aさんからこんなメールを受け取った。
題名:平素よりお世話になっております。Aです。本日はどうしても折り入ってお願いしたいことがありまして、加藤さんにご相談したく御連絡をさせて頂きました。
加藤公一さん
以前から体調の悪かった父が、今回のアラートループ事件で更に心労が重なりまして、まともに農作業が殆ど出来なくなり、今は病院に通院しながら自宅療養を余儀無くされております。
お恥ずかしい話ですが、私が慢性的な腰痛持ちな為に、長時間運転をすることがなかなか出来ず、ハローワークで短期の仕事がなかなか見つかりませんでした。
寝る時以外は常にコルセットを腰に巻いて、痛み止を飲みながら最近は父親に代わってほぼ毎日農作業をしております。
ようやく稲の田植えを終えたのですが、これからまだ蓮の植え替えや、畑に肥料を蒔いて夏野菜の苗を植えたりなどしなければならず、自分の腰痛がここ最近は立ち上がれなくなるぐらい悪化しております。
ですが、今は親の年金に頼りながらギリギリの生活をしている為に、医者に腰痛を診てもらう金銭的な余裕が全くありません。
母親も腰の圧迫骨折をしていて、何年も前から整形外科に通院していたのですが、父が倒れたことで家計が苦しくなり、以前は2週間に1回通院していたのですが、今はもう2ヶ月近く病院に行けていません。
本当に心苦しいのですが、47歳の方のように、僅かでも構いませんので、生活費を助成しては頂けませんでしょうか。
大変心苦しいお願いなのですが、どうか、宜しくお願い申し上げます。
これをきっかけにこの記事を書こうと思った。
このAさんとは、いわゆる「アラートループ事件」で家宅捜索を受けて起訴猶予処分となった山口県在住の無職の人であり、この記事で書かれている「Aさん」と同一人物である。このメールの中で書かれている「47歳の方」いうのは上記記事のBさんの方だ。Bさんは自分で寄付サイトを集めて寄付を集めている。以下、上記ねとらぼの記事に習って、「Aさん」「Bさん」という呼び方をする。
このメールに対して、個人的な金銭の授受は好ましくないと考え、noteで記事を公開して収益を得るのはどうかと提案した。私は編集料として2割をいただくが、あくまでコンテンツの持ち主はAさんなので、これは正当な分配だと考えている。Aさんが自分の力で稼いだという形にしたかった。
そしてこの記事を書いている。
以下にはAさんからのメールを直接引用したものいくつかが出てくる。プライバシーに配慮して多少改変されているものもあるので了承いただきたい。とくに本名のところはすべて「A」で置き換えている。もちろんメールの公開については本人の了解を得ている。そして、Aさんが法的手続きについて詳しくないためにメール内で間違った用語を使っていることもある(例えば家宅捜索を受けたことを「逮捕」と呼んだり)が、それはそのまま載せることとする。
この記事は全体でおよそ8000字程度になる。新書が1ページ大体600字程度と聞いているので、新書だと13ページ程度になる。
こうして始まった
2019年3月10日
Aさんから受け取った最初のメールはこんなものだった。
題名:hamukazuさん、初めまして。兵庫県警にブラクラURLを貼り付けて書類送検された山口県XX市の者です。
※最初にお願いがあるのですが、今はまだ検察からの判決待ちなので、僕とのやり取りを公表するのは時期を見てからして頂けると助かります。宜しくお願いします。m(__)m
名前はAと言います。
電話番号はXXX-XXXX-XXXXです。
hamukazuさんに今回の不当逮捕について色々と話したい事があります。
もしよろしければ直接電話して頂けると幸いです。
本当はTwitterで内密にやり取り出来ればいいんですが、僕の使っているガラケーからだと登録出来ないので、このような形でしか連絡出来ずに申し訳ありません。
それでは、連絡をお待ちしております。
私の主催する「みんなで逮捕されようプロジェクト」に関する記事に反応してメールをしてきたものだ。
ここで知らない人のんために、「みんなで逮捕されようプロジェクト」について説明する必要があるだろう。今回のアラートループ事件について抗議するために私が始めたプロジェクトである。摘発を受けた人たちとあえて同じことをやって、自分たちも摘発されようという趣旨のものである。それなりに広まったため、ウェブメディアの取材も受けた。詳しくは以下の記事を参照してほしい。
Aさんはこれらの記事を見て私に連絡してきたのだ。
このあともいくつかメールが立て続けに来た。長文になるので、概要だけを箇条書すると次にようになる。
・「ブラクラ」とされるURLを貼った掲示板は、違法画像に関する情報交換サイトであった
・Aさんはそこに合法なYouTube動画へのリンクを貼ることがたまにあったこと
・その掲示板の主催者がIP開示請求を受けたということを公表していたこと
・Aさんは今回の件は別件捜査で、その掲示板を利用したことでの別件逮捕を狙ってるのではと恐れていること
・警察の捜査の様子などのくわしいこと(これは後にねとらぼで記事になっている)
一般的に見られているYouTubeの動画へのリンクを貼ることが犯罪になるはずがないので、そのことを指摘しようとメールに返信した。するとメールはエラーで戻ってきてしまった。
ここが最初の関門であった。そうしている間にも、Aさんから次々とメールが来る。こちらからは何度か送信を試みたがすべてエラーになった。おそらく携帯側でメールをブロックしているのだろう。最初のメールに書かれている番号に電話して伝えるしかない。そう思った。
電話で連絡さえ取れれば簡単で、あとはメールでやり取りできるだろうと思った。しかしその考えが甘かった。
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