こひなた
『こひなた』である。
21世紀の初め、アメリカのタイレル社は人間そっくりのネクサス型ロボットを開発、それらはレプリカントと呼ばれた。本物の人間よりはるかに強靭で敏捷で識別が困難なネクサス6型が開発され、法律により地球においてレプリカントは違法な存在となり、発見されれば直ちに廃棄処理されていった。
汐留の超高層ビル群のオフィス街から地下通路が新橋駅へと続く。その道中に新橋駅前ビルがある。新橋駅前ビルは、汐留の最新ビルとは正反対な昭和感に溢れたオッサンの遺跡となっている。地下道を介して対照的な建物が共存していて不思議な感覚になる。仕事でぐちゃぐちゃになった思考を酎ハイでクリアにしようと新橋駅前ビル2号館へ潜る。怪しげな通路の奥深く サクッと一杯やるのに丁度いい立ち飲み屋「こひなた」を見つける。
基本、おつまみは全品200円で激安。キャッシュオンでオムそばを注文。
デッカード「4つくれ」 店員「2つで十分ですよ」 デッカード「ノー。4つだ」 店員「2つで十分ですよ!わかってくださいよぉ」
オムそば おかわりしちゃった。大食漢。
店内に設置されたテレビからはクイズ番組が流れている。回答者の宮崎美子が難問を当てまくっていた。いかにも自信なさげに「わかんなーい」とぶりっ子しながらバシバシ正解してしまう。自信のなさをアピールすることで好感度を上げようとしているのであろうか。いや、違う。宮崎美子はレプリカントなんだ。鯨は200円ではなかった。
おそらくフォークト=カンプフ検査をすればすぐに宮崎美子がネクサス6型であると識別できるだろう。
デッカード「雑誌を読んでいると、女性のヌード写真を見つける」 レイチェル「レプリカントのテスト?それともレズビアンのテスト?」
富裕層しか食べれない超高額商品(300円)の鯨を頼んでみる。
デッカード「1 + 1 は?」 宮崎美子「えっ わかんなーい。全然自信なーい。2かしら?」 デッカード「では、552,864 × 971,364は?」 宮崎美子「えっ わかんなーい。全然自信なーい。537,032,186,496かしら?」
デッカード「これが最後の質問。劇中で宴会が始まる。オードブルは生ガキだが、次にゆでた犬が出る」 レイチェル「・・・」
隣の常連客から「箸置きが無いときは ジョッキの取っ手を箸置き代わりに使うんだよ」と教わる。ぐちゃぐちゃだった頭の中はさらにカオスになっていく。