よく知らないのに、簡単に“好き”とか言わない方がいいというお話。
ドラマを見るのが好きなので、何個か動画配信サービスを契約しているんですよ。
「今ネトフリで見たいのないなあ。じゃあHuluかディズニー+見てみよ」みたいな感じで、活用しています。
でも、何個も契約していると、「これ見よう」と思って見忘れてしまうドラマが結構あるんですよね。
その中の一つが、「明日、私は誰かのカノジョ」のシーズン2。
シーズン1が面白かったので、2も見ようと思ってそのままになっています。
本ドラマは、レンタル彼女で働く女子大生を中心としたオムニバス形式の作品です。
シーズン1の主人公の1人である雪は、親から虐待を受けて育ったんですね。
その描写は一瞬しか出てきませんでしたが、控えめに言ってもろくでもないクズ親でした。
そんな雪にガチ恋する壮太という男性がいるのですが、彼は彼女に真剣な思いを告白するんですよ。
でも壮太は雪と違って一般的な家庭で生まれ、親からの愛情を受けて育っています。
彼は気持ちの強さがあればなんでも乗り越えられると信じているのですが、それはあくまでも壮太視点でのお話。
雪からすると、生きてきた世界線が違いすぎて、私のことを受け止められるはずがないと思ってるんですね。
実際、壮太の熱い気持ちに対して、彼女がイライラしているように見える描写がいくつかありました。
複雑な家庭で育った
女性たちの背景。
水商売をやっていたとき、沢山のキャバ嬢や風俗嬢のお客さんを接客してきましたが、その中にはかなり複雑な家庭で育った子もたくさんいました。
親のことが大嫌いな子、いまだに親に支配されている子、親のことは嫌いじゃないがあまり関わりたくないと思ってる子などなど。
その背景を聞いていると、「母親は自分の子どもは可愛いと思うもの」と言ってる大人の発言が、いかに当てにならないかがよく分かります。
彼女たちは、自分に対してガチ恋しているお客さんの話もよくしていたのですが、ほぼ全員「見ててイライラする」と言ってました。
なぜなら、お客さんである男性が好きなのは、あくまでもお店で出会った「○○ちゃん」であって、「実際の私」をまるで見てないからなんです。
厳密には、見ようとしているけど、生きてきた世界線が違いすぎて想像ができないんですよね。
つまり、子どもに対して酷いことを平気でする親がいることを知らないし、実際に見てないから分からないのです。
「私のこと知らないくせに
好きとか言うな」
という嫌悪感。
僕には、“人に安心感を与える”という強みがあります。
この能力は端的に言うと、「この人なら大丈夫だろう」「この人がいたらなんとかなる」と思わせる力なんです。
「今まで彼氏や男の人にすっぴんを見せたことがない」と言ってた女の子たちが、僕の前ではあっさりすっぴんになったり、「こんなに自分のこと見せたの初めて」といろんな女性に言われたりすることが、なぜか多かったんですよ。
だから当時は、意味が分からなかったんですよね。
そしたらうちの奥さんが、「あなたはそこにいるだけで大丈夫と思わせる力があるから、謎の安心感がある」と教えてくれて、「ああこれは強みなのか」と思って長年の謎が解けました。
これは「藤本すごいっしょ?」という話をしているのではなく、そんな強みを持っているものだから、水商売をやってたときもお客さんたちが「他の人には話さないこと」をいろいろ話してくるんですよ。
その中で、「そんなにこの子と仲良くないねんけどなあ。なんで俺に言うてくるんやろ?」と思うような女の子も結構いました。
彼女たちに共通しているのは、「言ったら引かれる内容だから他の人にはあんまり言ってない」ということ。
中には、「こんなこと誰にも言えないんだけど」と言って、つらかった過去を打ち明けてくれた女性もいました。
そんな彼女たちは、過去にどんなつらい経験があろうとも、働いているお店の中では、笑顔で明るく接客をしているわけです。
つらい経験を乗り越えてきた人って、例外なくにじみ出る色気があるので、普通にしていてもほかの女性とは違うオーラが出るんですよ。
すると必然的に、“ガチ恋勢”が増えていくんですよね。
しかし、彼女たちにガチ恋している男性たちは、彼女たちの過去に何があったのか全く知らない状態で、好き好き言ってきます。
「こんなにキミのことが好きな俺の気持ちを受け止めてくれ!」と言わんばかりに、ガチ恋に拍車もかかります。
そうすると、「私のこと何も知らないくせに何言っちゃってんの?」という気持ちが芽生えてしまい、イライラしてしまう。
そのイライラを発散させるために、僕のお店に飲みに来ていたという女性も珍しくはありませんでした。
分かりあえないのは
生きてきた世界線が
決定的に違うから。
彼女たちの中には、ガチ恋してるお客さんが「いい人すぎてつらい」という子も何人かいて、何がそんなにつらいのかと聞くとこういうことでした。
これら2つの感情のせめぎ合いがあるから、つらくなってしまうんですね。
同じではないけれど僕にも似た経験があるので、彼女たちの話を聞くたびに「なんか分かるわ」と思ってました。
育ってきた環境が違うって、「生きてきた世界線が違う」ということなんですよ。
この世界線って、養育環境だけに該当するものではありません。
たとえば、DV男。
一般的には「女性に暴力を振るうような男はやめとけ」ということをよく言われていますが、もっと深く掘り下げるとこういうことなんです。
「女性に暴力を振るうような世界線で生きてきた男なんてやめとけ」ということです。
「女性に手をあげるなんて最低だ」とほとんどの男性が知ってるわけじゃないですか。
それなのに、何をどう生きてきたら女性に暴力を振るえるようになるのか?
つまり、彼らは「女性に暴力を振るってもいい世界線」で生きてきたんですよね。
しかもその世界線は、DVをしてもいい価値観を植え付けた人間も必ずセットでいます。
気持ちで乗り越えられることと
乗り越えられないこと。
誰かのことを本気で好きになると、気持ちの強さだけでなんでも出来そうな気がするし、乗り越えれそうな気がします。
しかし、それはこちら側の話であって、好きになった相手の生きてきた世界線が違いすぎると、熱い気持ちを出せば出すほど「やめてくれ」という状態になってしまうんですよ。
相手の世界線を知らないまま気持ちをぶつけると、何も悪いことしてないのに嫌われるという事態が起こることがあります。
そして、それまで好きだと思っていた相手の過去話を聞いた途端に、冷めることだってあるんですよね。
なので、
・相手の生きてきた世界線をちゃんと聞いた上で、それがどういう世界だったのかを、しっかりと理解できているのか?
・その世界線を共有するとはどういうことなのか?
・その世界線で何が起こっていたのかを聞いても、気持ちが揺るがないのか?
このようなことを考えないといけないんですよね。
人を好きになるって素晴らしいことだけど、気持ちの強さだけで乗り切ろうとすると、ときに相手に対して失礼になるというお話でした。
【カウンセリングのお申し込みはこちらから】
【カウンセリングQ&A】
【オンラインサロン・あなたの隠れ家がびっくりするほど快適だった件】
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?