僕の “いよいよ終わりに差し掛かったと実感する” 自粛日誌 その⑭ 2024年夏秋編
コロナ禍で自粛生活となったのをきっかけに、いろいろな出来事を記録しようというくらいの軽いノリで書き綴ってきた『僕の自粛日誌⑬』も、なんと『その⑭』にまでになった。
今回はタイトルに “いよいよ終わりに差し掛かった” と入ったままではあるのだけれど、これからも自分の記録として、気楽に書き続けて行こうと思う。
6月末
前回の自粛日誌をアップした翌日、僕とカミさんは6回目となるコロナワクチンの注射を接種した。もう国の助成ではなく、保険も効かないので、合計で30,000円を超える出費となってしまった。それだけでも大変だと言うのに、この日、運悪く外は雨で、僕は買ったばかりの靴の裏側がツルツルに滑ったせいで、道端ですってんころりんと転倒をしてしまったのだ。不幸中の幸いにも、頭や腰は打たなかったものの、少し前から痛めていた右手を強烈に打ってしまい、手首が完全に回転しない状態になってしまった。
ハーモニカは片手でも演奏できるものの、右手首が動かないと伴奏のキーボードが使えないので、レッスンどころではなくなってしまう。自分のミスとは言え、とんでもない事になってしまったものだ。とりあえず、急ぎお世話になっている整体院で鍼治療をしてもらい、幸いにも大ごとにはならないで済んだ。とはいえワクチンについで鍼治療も保険はきかないので、手痛い出費の連続に心が折れた。
7月となる。
対面型レッスンをやめてしまった僕は、オンラインレッスンを中心としたのどかな日々ではあるものの、気になるミニイベントを迎えていた。久しぶりの運転免許の更新日だ。
違反のため青色免許で、更新時には違反者講習を受けなければいけない。それだけでもゆううつなのに、更新日に限って毎度大体良くない事態が連発する。だから今回の更新日にも、僕はそれなりの警戒感を持って臨んでいた。それなのに、今回もまたしょうもない失敗をしてしまう。
今回は会場が変更になっており、駐車場事情にもろもろ問題があった。事前に駐車場の下見をしたのだけれど、細かい駐車料金の事までは確認せずに、通常の最大延長料金サービスの範囲だろうと甘く見ていた。
当日になり、延長割引なしの1時間550円とかなり高額であるのがわかった。加えてそこは病院の駐車場でもある上、一方的に変更が決まった会場のため、駐車場の取り合いで朝早くから利用者同士が揉めていたのだ。僕は唯一空いていた駐車場を、飛び込むように押さえるしかなかった。
やれやれ、やはり今回もすんなりは行かないかとうなだれつつ、それでも極力失敗はしまいと、1000円札で支払えなかった時の準備のため、事前にコンビニに寄りわざわざ小銭を作っておいた。
会場に着くと当たり前のように免許の更新手続きは段取りが悪く、時間はかなり長めにかかってしまった。駐車料金の高さから、まずい事になったと走って駐車場に向かうも、すでに料金は1650円にまでなってた。なんて事だ、今までの会場だったら駐車料金は最大800円程度で済んでいたものが、こんな誰かの一方的な都合で多大なる出費をさせられるとは。
僕は腹を立てながらも、事前に用意していた小銭を入れようとすると、何回入れても500円玉が出てきてしまう。そしてガイダンスによって「新しい500円玉が使えない」と知らされたのだ。新しいも何もこの500円玉が流通してから、もう一体どれだけの年月が過ぎたというのだ。どう組み合わせても100円が足りず、かといって残る10000円札、5000円札では当然精算機で使えない。こんな事なら事前に500円玉さえ用意しなければ、その分の1000円札があったのに。
あとどれくらいの時間で次の550円が加算されるかわからないまま、僕は周りで入れる店を探し、数分後、建ったばかりらしい観光客向けのファストフードショップを見つけた。個性的なサービスを売りにしているらしく、商品の説明も含め接客には時間が掛かかった。
観光地での小銭の両替はご法度だ。仕方なしに僕はメニューの中から最も安いアイスコーヒーを選び注文する。そして渡されたお釣りを見て、すぐさま古い500円玉の変更を願い出る。
けれど、ここで待てど暮らせとアイスコーヒーが出てこない。アルバイトの店員が入ったばかりらしく、機械の操作がわからないという事のようだ。そうこうしてる間に、店長がアルバイトへの指導を始め、気まずい雰囲気が店内を包む。
僕は(注意するぐらいなら店長であるあなたがアイスコーヒーを入れてくれよ!)と言いたいのを抑え、頭で計算を始めた。もちろん豆を挽いた後なので返金など望めない。このまま待たされて駐車料金が550円かさむのを甘んじて受け入れるか、450円のアイスコーヒーを諦めて、急ぎ駐車場に戻るかだ。たった100円の差ではあるものの、僕はこの店員2人のやりとりに苛立ち、アイスコーヒーを受け取る事を諦め「もう要りません」と言い店を出た。なんとももったいない事だけれど、もうこれ以上の失敗はできないのだ。僕は炎天下の中走って、再び駐車場へと向かった。
駐車場に辿り着き料金を見ると、既に550円が加算されて合計2200円にまでなっていた。つまり自分の判断でお金を崩さないでくれば、1650円の駐車場料金の出費で済んだものが、今となっては追加の駐車料金550円と飲めなかったアイスコーヒー代の450円とでさらに1000円が加算され、2650円となってしまった訳だ。
やれやれだ。どうあがいてみても、更新日は必ずこんな目に合うはめになるのだ。まぁ、違反をしなければこんな目には遭わないのだけれど。僕は喉をカラカラに乾かしたまま、家に帰った。
そして迎えた七夕は、僕らの28回目の結婚記念日だ。と言っても別段予定はなかった。ある程度痛みは引いたものの、未だ痛めた手首が回復しないままの僕は、40度に近づく異常な熱波の中で、モンモンと気が滅入る日々を送っていた。
危険なコロナ感染の状況は、沖縄ではすでに前回の10波を超え、医療崩壊が起きている所もあるらしいけれど、メディアは決してそれを報道しようとしない。
さらにもう一つ報道しようとしないものがあった。東京都知事選挙についてだ。
今回は期日前投票の方も2割増と大幅に前回を上回り、投票日の当日は若い年齢層の人達が目立ち、かなりの長蛇の列をなしている映像がSNSに上がっていた。こういう情報も含め、選挙日である事すら報道しないという「投票者を減らそうとする」政権寄り過ぎるニュース番組やメディアの姿勢は、やはり異常なレベルとしか言いようがない。かなりの圧力が加わっているのだろう。
この数日前、初めて現職小池都知事のスピーチが怒号によって止まってしまうという事態が起きた。「やめろ」コールがかなり大きなシュプレヒコールとなって、500人クラスのヤジとなったのだそうだ。
これ以外にも現職への対抗場の有力視される蓮舫候補を応援する人達が、個人個人のボランティアでプラカードを持ち、それぞれの最寄り駅に立って応援演説をするという珍しい事態も起こり、その数は3000人をはるかに超えたらしい。保守的で、あらゆる事に反応しない日本人としては、現状を打破しようとする、かなりの特殊な変化のはずだ。ひょっとしたら、大きく世の中が変わる入り口に立っているのかもしれない。
とはいえ神奈川県民の僕ら夫婦には都知事選の投票権は無いので、ネットの報道などで見守るしかないのだけれど。
開票日の夜、あっという間に現職小池知事の3期続投が決定する。山程の疑惑、討論の拒否、マスコミの操作など、どう考えても、、、としか言いようがない状況の中での圧勝だ。正直、薄ら寒いものがあった。(なるべく関わりたくない話題だな)という言葉が頭に浮かんだ瞬間に、(あ、これが、大勢の人の感想なのだな)と納得できた。どうりで投票率が上がらない訳だ。
翌日から始まったテレビメディアが中心となる、落選した側へのまるでリンチのような報道の数々は、本当に「ヘドが出る」としか言い表せないものだった。うちはテレビも新聞も見ないので、これからも関わらないでいようと改めて思った。すでに捨て去られたオワコン・メディアなのだから。
選挙といえばフリーランスのライターで、選挙ウォッチャーの「畠山理仁」さんの出ているネット番組を見たのだけれど、開眼させられる言葉があった。「選挙は自分と違う価値観の人がどれくらいいるのかを知る機会だ」というもので、まさにと唸らさられるのもがあった。しかも数値でわかるのだから、数少ない良い機会なのだろう。この方は右でも左でもなく、「選挙漫遊」という言葉を使っているくらい選挙を楽しめる状況報告をし続けている方なので、これからも自分が投票をする際の参考にしようと思った。
7月中旬となる。
僕は今回の誕生日で55歳になった。四捨五入すると60歳、更に四捨五入すれば100歳だ。もうおっさんですらない。いよいよおじいちゃんへと向かって行く。全くうなだれるばかりだ。
そんな日に、かみさんが「ブルースの専門書」をプレゼントしてくれた。
かなり分厚く高価な本だ。僕はハーモニカの中でも「ブルースハーモニカ」と呼ばれるほどブルースに縁がある楽器を教える事を生業としている。もちろん生徒さんのほとんどが何かしら「ブルース」の要素を持った音楽なり音色なりのレッスンを希望しているくらいなので、ここらへんで本格的な勉強をしてみるのも良いかもしれない。
同じ日、海外では大事件が発生する。大統領選挙で揺れるアメリカで、トランプ元大統領がスピーチ中に狙撃され、暗殺未遂となる。他に死者や負傷者も出て、犯人は即射殺されたらしい。加えて、この時に耳を打たれ血だらけのトランプが拳を天高く振り上げてみせるポーズを撮った象徴的な写真がネットを中心に世界中に拡散され、話題性や「強いアメリカらしいイメージ」が伝わって来る事から、おそらく今回の選挙は、高齢から退陣を求められている現職バイデン大統領を破りトランプの勝利、それをもたらしたこの写真はピューリッツァー賞に輝くだろうとささやかれた。もしもトランプが返り咲いたらという状況は「もしトラ」などと称され世界中が警戒する中で、最悪の未来が迫って来そうだ。
僕はあまり気にしてはいなかったのだけれど、「海の日」を挟んで土曜、日曜、月曜と3連休になっていたらしい。僕とかみさんは、ちょっとした都合で湘南の方を車で通る事があったのだけれど、インバウンドも含めた異常な観光客の多さに度肝を抜かされた。
その3連休明け、やはりコロナの新規感染者が、下水道サーベイランスによって異常な推移を示す。もちろんテレビメディアでは一切使わないので、僕はネットによってこれを確認した。
地元に近い川崎だと約1.7倍、大阪などではすでに既に第10波を軽く超えてしまったらしい。今回のコロナ感染者の傾向は、あまり高熱は出ず、喉の痛みと咳が特徴であるとの事だ。つまり自覚症状がないまま、人に感染し続けてしまっているらしい。
という事は、すでに先月をもって辞めてはいる東京の対面型教室をもしそのまま続けていたとしても、結局は休講という判断をしていた訳だ。
今後どのような問題が起きるのかはまだわからないけれど、しばらくはオンラインレッスンのみの生活になるので、コロナの新規感染者増加による影響受けないというのは、正直ほっとしているところだ。
7月後半。
暑い、うだるような暑さ。35度など当たり前で、となりの静岡では40度の場所もあったらしい。
そんな中で、新札が発行される。けれど、ほぼ話題にはならない。景気対策などと言われてはいるけれど、今や誰もが経済的にそれどころではないからだろう。自分のところにもなかなか新紙幣は回って来なかった。今はカード決済、電子マネーも多いので、実際問題、あまり関係はないかもしれない。
アメリカではトランプ元大統領の追い上げに、年齢での公務遂行が難しいとして、バイデン大統領の大統領選辞退とともにハリス副大統領が大統領候補となる。実現すれば、初の女性大統領の誕生という歴史的な快挙だ。
そしてフランスでパリ・オリンピックが開幕する。フランス革命をイメージさせるオープニングセレモニーの壮大さは、さすがに凄まじいものがあった。首だけのマリーアントワネットが歌うなどの過激な演出は、賛否両論あるだろうけれど、フランスならではの貫き方なのかもしれない。このセレモニーに対し、特にキリスト教を冒涜したとされる演出や、LGBTQの当事者達の出演などに世界中の保守層が猛反発。ネットを含め各種メディアを大炎上させ、後日、大会関係者が謝罪をする事となった。
さて、8月となる。
暑い、暑過ぎる。もはや34~35度など当たり前、40度は確実とまで言われ始めた。もはや死者が出そうな範囲だろう。
コロナ感染者の増加は止まらず、第11波は5類指定後、感染力は最強と言われた。友達の友達などではなく、僕らの周りでも感染者が出始め、いよいよ直近まで迫って来た。「コロナは終わった」と吹聴していたようなお気楽層からも、さすがに「なんか、また流行ってるらしいね」という声が漏れ始める。
今回も重症者や死亡者は少ないようだけれど、3回を超える感染経験者の4割近くは後遺症に苦しむとの深刻な状況が報じられた。まぁ、オリンピックのお祭り騒ぎで、どこのメディアもそれを報じようとはしないのだけれど。
僕らもコロナ感染者が出た職場の方と濃厚接触があり、一応セオリー通りの期間は出歩き方を限定したりしてみた。やはりなかなかの不便さだ。とはいえ、できる事はしなければならない。気にする人と気にしない人との両方で、ようやく今の状況で収まっているのだから。
この時期、国際的には「日本に渡航する方はコロナ感染に注意」とされているとの話を聞いた。海外に合わせ、無理にマスクを外させた結果が、皮肉にも感染症後進国扱いとなった訳だ。一体いつになったら、日本は程よい感染対策維持による恒久的なリスク回避を実現するのだろうか。
そんな中、8月6日。かつてのブラックマンデーを超える規模の「株価大暴落」というニュースが日本中を駆け巡る。識者達の話をどれだけ聞いても理屈はわからないけれど、アメリカがくしゃみをすれば日本が風邪をひくという関係が、今回は日本側が一気に肺炎にまでなったというレベルの深刻な連鎖らしい。厄介なのは政府が勧めた「貯蓄から投資へのシフト」いわゆる新NISAというやつで、それを信じて安易に始めた連中が大損をする心配があるらしい。なんにしても誰かの株という博打の失敗で、また国がバブル崩壊のような状況になる可能性があるとの話だった。
さらに8月8日。宮崎県を震度6の大きめな地震が襲い、初めて公式に「南海トラフ大地震との関連性」がニュースで報じられる。さらに翌日9日の20時頃、僕の地元あたりを震源とした震度5弱のかなり大型な地震が起こった。突き上げるような驚くべき揺れ方で、念の為に前日に準備をしたヘルメットを初めて被る機会となった。小田原あたりが震源とニュースで流れたため、珍しくも、友人知人、またオンラインレッスンの生徒さん達からメールやLINEなどの連絡が相次いだ。
台風5号が東北を中心に上陸。続いて台風7号も関東に接近し、お盆の交通網に大きな影響を出した。地震の方も地元で震度3~4クラスが相次ぎ、被害こそなかったものの、まさに日本は泣きっ面に蜂の状況だった。
気がつけばパリ・オリンピックも終わり、お盆に突入していた。コロナは「KP.3」という変異株で感染自体は強くないらしく、今までのマスク着用と手洗いうがいくらいで防げるらしい。問題はワクチンや薬などの医療費の高額さで、もはや医療機関に行けないという層が増えたためか全国で13週連続の新規感染者増加を記録し、この第11波はお盆明けが感染のピークになる見込みらしい。
僕のオンラインレッスンは、お盆の間であっても申し込みが来れば通常通り行うのだけれど、さすがに災害続きとあってか、例年に比べるとかなり暇な状況だった。
この期間を利用して「ハモニカフェ・ワン」という動画企画シリーズを少しばかり進めてみようとするのだけれど、さすがに暑すぎて撮影に熱が入らない。どこに行くにもカフェを見掛けてはすぐに飛び込み、ついついアイスコーヒーを飲んでしまう。
涼みながら店内をキョロキョロしていると、ハーモニカが並べられそうなディスプレイがいくつも目につき、涼しさの中でそこで撮影をできないかと、安易で楽な方面の画策ばかりをしてしまう。そんな状況の中で、全く新しい企画が誕生した。
題して「ハモニかくれんぼ」という新しい動画シリーズだ。
ごちゃごちゃと色んな物が並んでいる場所に、あえてハーモニカを隠すように置き、それを20秒間の間に探してもらおうという動画企画だ。
僕らの地元にある驚くほどおいしいタコミート・ブリトーのお店「ブリスヤード」さんにアメリカ製の小物を中心とした玩具販売コーナーがあるのだけれど、そこで「絵になる景色でワンフレーズ」という企画のミニ動画を撮らせていただいた時があった。
その際、店長さんから「商品が多過ぎてどこにハーモニカがあるのかわからない~!まるで絵本の『ミッケ』みたいですね!」と言われたのが、この企画のヒントになっている。『ミッケ』とはウォーリーを探せ的な絵本で、僕とかみさんも一時期ハマった時期があり、ぜひこのハーモニカ版を企画しようと、僕とかみさんはすぐに盛り上がった。
こちらは「ブリスヤード」さんのアメリカのアニメ「トイストーリー」などのグッズ売り場で撮影させていただいた動画からのスクショだ。試しに、ハーモニカを探してみて欲しい。動画版だと制限時間は20秒だけれど、こちらは写真のため見つかるまでゆっくりと探せるはずだ。
とりあえず12作品を作ったので、時間のある方はぜひ挑戦をしていただきたい。
この企画の動画撮影には、さまざまな飲食店や販売店さんにご協力をいただく事になった。それこそ今まで別の企画で撮影場所になっていただいていたお店から、この企画のために新たに交渉をして、許可をいただいたお店まで。
今までの、僕のSNSページを見せて「こんな動画を撮らせて欲しいのだけれど」というだけでも説明するのが難しいのに、お店に「ハーモニカを隠させて欲しい」という申し出は、輪を掛けて目的が伝わり辛かった。相手によっては(うちの店が小物でごちゃごちゃして、散らかっているって言いたいのか?)なんて、不快に思われる場合だってあるのだ。とはいえ、すでに試作動画を作ってはいたので、一度見てもらえれば、これから愉快な動画を撮るのだという事は伝わるし、どことなく楽しそうに感じてもらえるのが「ハーモニカ」のお得なところでもある。
今後、今回の12点以外にも追加して行くつもりだけれど、どなたにでも撮影できる動画企画でもあるので、動画投稿企画として、応募を呼び掛けても行こうと思っている。つまり出題をする側の作品募集だ。ぜひご自分のハーモニカを隠して、出題者側として、お気軽に動画を投稿していただければと思う。
という訳で、まず最初の勇気ある挑戦者として、いつものようにマルモさんにお願いをしてみた。かなりレベルの高い作品なので、ぜひ挑戦していただきたい。
時を同じくして、「吹いて宣伝!ハーモニカ音頭」の新作が誕生する。動画企画でもご協力をしていただいている「ノンマルト原人」さんにお願いをしたところ、快く参加をしていただけたのだった。 演奏はもちろんハーモニカ、宣伝の内容はなんと初めてのケースで、ご自身のInstagramのご紹介だった。ノンマルト原人さんは本名を岸部大二さんといい、本業は「絵」の方で、発表している場としてのInstagramページを演奏で宣伝したいとの事だった。演奏自体も驚くアイデアで、今までにない動画作品となった。
8月の末頃。
気候が急激に涼しくなり、時折、秋の到来を感じさせる風が吹く事もあった。コロナの新規感染者の増加は予想されていたよりも上がる事はなかったものの、なかなか減少傾向と言い切れるまでの数字にはならなかった。時を同じくして、アメリカでは1日7万人を超える感染者の増加があり、あのマスク反対派のトランプ大統領ですら、大統領選の最中に、マスクの着用を呼びかけたほどだった。
台風は9号に続き、10号が本州に上陸。僕の地元では暴風は避けられたものの、歩く速度と同じほどと言う異例のゆっくりとしたペースで日本中を縦断し続け、記録的な降水量を残す結果となった。 加えて「ゴォォー!」という豪雨に加えて、時折震度3クラスの地震まで重なり、天変地異の夏に寝づらい日々を過ごす事になってしまった。
9月となる。
コロナ感染もある程度収まっているという状況なので、僕は「吹いて宣伝!」キャンペーンでもお世話になったマツカンこと横浜の「マツモト管楽器工房」さんにお邪魔する事にした。この日はかみさんの都合で横浜に行く予定があり、地図上だと非常に近いので、ちょっとだけ顔を出させていただいたのだ。
マツカンさんの「吹いて宣伝!動画」はこちら。演奏は「西 智帆さん」の痺れるようなブルージーなサックスだ。
連絡をすると、マツカンさんもその日ならば工房におられると言う事で、初めてリアルでの会話が実現した。ネットのやり取りだけのお付き合い同士だと、最初のほんの少しの間は、なんとなくお互いに不思議な感覚があるけれど、すぐに意気投合し、時間を忘れるほど話が弾んだ。特にマツカンさんが僕がブログに掲載している「ハーモニカ失敗談」をかなり読み込んで下さっている方なので、嬉しさから、僕はその話を夢中になってしてしまった。
マツカンさんの工房は忙しく、個室スタジオで管楽器の先生方の個人レッスンが行われていたり、修理や教室の申し込みに来られた方も相次いで、あまり長居をする訳にもいかないので、僕は挨拶をして、お客さんと入れ替わりで帰る事にした。休日のせいもあってなのか、マツカンさんの盛況ぶりにとても驚かされた。
マツカンさんのところから3分ほど歩くと、すぐに横浜中華街が待っている。僕は最近買った中国製のブルースハープ「イーストトップ」が手に入ったばかりだったので、これは良いと、そこで撮影を行った。
カミさんとの合流時間が当初の予定より少々遅れたため、僕は炎天下の中ではあったけれど、外での撮影を続ける事にした。とはいえ、この日の横浜は3つの大型イベントが重なったせいもあり、大盛況過ぎて騒がしい事この上なく、撮影がほぼ不可能な状況でもあった。
ようやくそれらしい景色の良い場所を見つけては、スマホのカメラを構えるのだけれど、いきなり右翼らしい凱旋車が現れたり、かなり離れたところまで移動し、ようやく見つけた静かな場所で改めて撮影を始めようとすると、たまたまストリートミュージシャンのゲリラ的なライブが始まってしまったりと、撮影ではよくある事ながらタイミングが悪く、なかなか上手くは行かなかった。
40分くらい辺りをうろつき、ある普通のオフィスビルの高台に上がった。流石に汗の量が異常なほどになって来た頃、涼めるほど風通しの良い場所で程良い景色を見つけた。すぐにカメラを構えて、その前に立ち、自撮りのポーズを取ってみる。
白く綺麗な手すりだったので、そこに寄りかかるような感じで、都会の哀愁を眺めながら、ルーズな音を出すというリハーサルを数回し、一旦動画のチェックをしてみる。
案の定、その場所でも本番の撮影を始めた瞬間から、帰り支度を始めた集団がぞろぞろと歩いて来るようになり、夕暮れのわずかなハッピーアワーは、見事に通行人でごったがえしてしまった。その大人数の合間を縫ってハーモニカを吹きつつ動画撮影をするのはかなり難しい。誰もが僕のストリートパフォーマンスだと思うだろうし、時折当たり前のように立ち止まられたりもしてしまう。
すると、途中からその通行人達が、僕の背中の方を見て「ぷっ」と吹き出すように笑うようになった。ある人は指を差し、僕をスマホで撮影したりもしている。その頻度は徐々に多くなって行った。
やはり、僕は自分の背中に何かがあるのだろうかと、ちょうどスマホで撮影しながら自分でくるりと1回転し背中を撮影してみた。すると驚いた事に、僕の紺色のシャツの背中に、白い模様がくっきりと写っているではないか。僕が先ほどからもたれ掛かっていた手すりは、ペンキが塗り立てだったようで、それが僕のシャツにくっきり着いてしまっていたのだ。
これでは吹き出されるのも仕方がない。「あの人、知らずに寄り掛かって、やっちゃったんだ~!笑える~!」というところだろう。通行人は日本人だけにとどまらず、かなり国際色が豊かなので、横浜に集う世界の人々を分け隔てなく笑わせてしまったようだ。
まぁ、それでも何とかして背中が映らないように、濃淡の調整で仕上げたのがこちらの動画だ。別の意味で哀愁が出ていれば嬉しいのだけれど。
9月中旬。
僕らはこの月に一泊の検査入院をする事になった。少し前に僕が胃カメラの検査をした際、薬で眠っての検査にしてもらったのだけれど、その時に「睡眠時無呼吸」である事が判明した。掛かりつけの内科医は「すぐに精密検査を受けた方が良い数字だ」と言い、紹介状を書いてくれた。僕としてはあまり大した事態では無いように思っていたのだけれど、簡易検査の数字から、最悪、突然死の可能性が40%ほどあるとの説明を聞かされ、これはやはり検査をせざるをえないと理解をした。かみさんの方も睡眠に関しては困っていた事がいくつかあったので、ならばと、2人して一泊の検査入院をする事が決まった。またこれは保険の範囲ではないため、旅行用にと考えていた予算を割り当てての検査入院となった。まぁ入院といっても、夕方頃に入り、体中に様々な機材をつけて、ただ1泊眠るだけなのだけれど。到着するや否やまず言われたのが、その顔中に生えたヒゲでは機材が貼り着かないので剃るようにとの事だった。特に用意がなかったので、病院でおそらく手術の剃毛などで使うのであろう丁字型の髭剃りを貸してもらい、シェービングクリームに近いものをお借りしてほっぺだけを剃った。本当は顔中全てを剃りたかったのだけれど、僕はヒゲが濃過ぎて刀の方が先にダメになってしまったようだ。
ヒゲを剃ったところにペタペタとシールのようなものを貼り着け、手と体中に様々な機材をくっつけると、すでに後はもう寝るだけとなった。
スマホでサブスクの映画を観たりはできるものの、特にやる事も無く、かといって夜型生活が長い僕は、21時なんて簡単に寝れるはずもない。おまけに鼻に繋がれたチューブが気になって、本当に寝れるのかとすら思えて来る。しかし寝なければこの検査に使った費用がまるっと無駄になってしまう。隣の病室では同じ検査を受けているカミさんも、ただ悶々としているのだろうなと思いつつ、 何とか努力してその日は寝るのに成功する。朝に看護師さんが機材をチェックし無事データが取れていたのを確認してもらうと、晴れて退院となり、2人で家に戻った。
検査結果は来月早々には出るらしい。
9月末。
24日、大地震に襲われ復興の目処など全くたたない能登半島を、胸あたりまで水に浸かるほどの決壊をもたらした豪雨が飲み込み、死者・行方不明者を何人も出し、620人が孤立する状況となる。
自衛隊も災害派遣されるが、ニュースなどで扱う話題は、自民党総裁選や立憲民主党党首選に集中してしまう。
もう完全に日本は病んでいる。情報という面を中心に通常の判断が出来ない状態が続いている。
参加予定国の多くが参加を見合わせ、巨額な投資が無駄になる事がほぼ確定した大阪万博など今すぐにでも中止して、年初めから苦しんでいる地域を、最優先に復興させる以外の選択肢はないはずだ。
まぁ、そうは言っても、うがいと手洗い、マスク着用程度で大幅に軽減できる今のコロナ感染すら防ごうとしないのだから、日本人全体がすでに狂ってしまっているのかもしれないけれど。
と、ここまで書き、一区切りのアップをしてみたいと思う。
前回の『その⑬』にも、 “やや終わりに差し掛かった” とつけるしかない感染状況のままだけれど、いつかは「もう“終わりとなった”自粛日誌」と銘打ちたいものだと、『その⑮』に期待したいと思う。
2024年9月28日 広瀬哲哉