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初めて相撲観戦に行くあなたへ。「なんとなく」より100倍楽しくなる大相撲の基礎知識

趣味の多いわたしが去年から新たにハマったこと、それが大相撲観戦!もともとファンだった母に連れて行ってもらったのがきっかけでした。
周りにも「一度は行ってみたい」「国技館を経験してみたい」と言う友人が多いし、実際に国技館に行くと、初めて観戦するんだろうなあ、という人は多いです。

ただ、予備知識なしで行くと「お相撲さんでっけー」「お相撲さんつえー」で終わってしまうかも。それじゃもったいない!
わたしは初観戦の際、母がとなりで相撲ルールの基本だったり、力士のことを教えてくれました。そこで相撲の見方がわかり、思えばあの母の解説が相撲ライフへの入口だったんだなあと思います。

このnoteは、わたしにとっての母の解説のような、相撲に初めて行く人への簡単なガイドになればうれしいです。

行く前に知っておいた方がいいこと

①日程と開催地

大相撲は年がら年中やっているわけではないのです。「奇数月、第二日曜日(例外あり)から15日間」が基本。そして、開催地は月によって違います。
・1月:両国国技館
・3月:大阪
・5月:両国国技館
・7月:名古屋
・9月:両国国技館
・11月:福岡
という感じ。住んでいるところや行けそうな日程で観戦したいところですが、昨今の相撲人気で毎場所チケットは争奪戦状態。インバウンドの観光客もかなり多く、世界中から観客が押し寄せています。特に国技館は前売りから落選祭りなので、数人で協力してのチケット確保がおすすめです!

②番付

番付とは、簡単にいえば「力士の強さランキング」のこと。現在日本相撲協会には約600人の力士がいて、その力士たちが番付によってランクづけされています。
番付は下から、序ノ口序二段三段目幕下十両幕内と、グループ分けされています。「そんなの序の口」の慣用句は、相撲の番付からきているんですね。
その番付で、ピラミッドの頂点にいるのが幕内の「横綱」。そして大関、関脇、小結の「三役」、その後は幕内一枚目、二枚目、三枚目…と続きます。相撲観戦に行く前にぜひ、相撲協会のページで見ておいてください。

そして、番付についての解説は、ナイツの塙さんの動画が大変わかりやすいしおもしろいのでおすすめです。

場所中には番付に名前が載っている力士が毎日相撲をとります。なので、相撲が始まるのは朝9時ごろ、終わるのは18時ごろ。ここまで1日の開催時間が長いスポーツはほかにないかも…?
取組は序ノ口から、下から順番に行われます。たいていおじいちゃんやおばあちゃんがテレビで夕方に見ているのは、最後の幕内の取組。初めて観戦に行くときも、十両〜幕内くらいからでいいと思います。1日が長いので。大体14時半くらいからが目安です。

ちなみに、十両以上の力士のことを「関取」と呼びます(力士=関取と勘違いされがちですが)。関取になると月給100万以上(!)に跳ね上がり、身の回りのお世話をする「付け人」がつき、普段着用する着物の格も上がる…と、とにかく生活が一変するそうです。
逆に関取に上がるまでは無給で、一人暮らしも許されず、関取の付け人も幕下以下の力士がお勉強のために務めます。強くなるしかない番付社会、厳しいですが超エンタメです。

③勝敗と場所の基本ルール

わたしが相撲が好きなポイントのひとつに、「勝敗のルールが明解」というのがあります。土俵の外に出るか、足の裏以外が地面についたら負け、以上。15日間で最も勝ち星が多い力士の優勝です。体重による階級もないし、ただ強い者が勝つというシンプルさがいいですよね。

優勝は、序ノ口優勝、序二段優勝…のように、番付ごとに決まります。序ノ口〜幕下は15日のうち7日間、十両と幕内は15日間フルで相撲をとります

15日間の相撲場所は、もちろん優勝を争う戦いなのですが、「来場所の番付を編成する」という意味合いも強いのです。7日間、または15日間は奇数ですよね。必ず勝ち星か負け星、どちらかが多くなります。で、勝ち越した力士は来場所の番付があがり、負け越した力士は来場所の番付が下がるというわけです。
例えば、幕内前頭一枚目の力士が勝ち越したら来場所は三役昇進、十両の幕尻(=いちばん下)の力士が負け越したら関取から陥落…と、ひとつ星が違うだけで天国と地獄。

力士を応援する上では、この星取合戦が最大の見どころだったりします。

気になる力士をみつけてみよう!

先にあげた、①日程と開催地 ②番付 ③基本ルール がなんとなくわかったら、ぜひ「ちょっと気になる力士」をみつけてほしい!というか、前知識なくても好きな力士がいるだけで楽しめたりします。
お相撲さんはみんな大きくて同じように見えるかもしれないですが、相撲の取り方、お顔や体型にも個性があふれていて、それぞれがとっても魅力的。応援する力士を見つけるだけで、ぐっと観戦がおもしろくなります。
まずは、いま相撲を見るなら覚えておきたい力士を紹介します。動画から数珠つなぎに興味ありそうな取組を見たりしてもいいかも!

◾️横綱・照ノ富士(てるのふじ)
現在の番付で唯一の横綱。優勝10回と圧倒的な強さです。照ノ富士関がすごいのが、一度大関まで上がったにも関わらず、膝の大ケガで序二段まで番付を落とした後また幕内に返り咲き、さらに横綱まで上り詰めたこと。後にも先にもここまで番付を乱高下する力士はいないでしょう。照ノ富士関の相撲には、その精神力が垣間見え、唯一無二の迫力があります。

現在は膝のケガだけでなく糖尿病とも戦っているそうで、休場が多め。でも、出場するだけで場所が締まる、これぞ横綱なお方です。

◾️大関・大の里(おおのさと)
中学から大学まで相撲の名門で活躍し、鳴物入りで入門してから所要9場所で大関に昇進した、超相撲エリート。24歳ですでに優勝2回経験、まだ髪が短くて大銀杏(=関取にだけ許される髪の結い方)が結えないという規格外力士です。

優勝した24年9月場所は、「この人を止められるのは戦車くらいしかないのでは…」と思ったほど。恵まれた体格とパワーで勝ちまくっていますが、師匠の二所ノ関親方いわく、まだテクニックはほとんど教えていないとのこと。未来ありすぎ!

◾️若隆景(わかたかかげ)
個人的に、初見殺し力士のひとりだと思っている若隆景。決して身体は大きくないですが、鍛え上げられた筋肉と素人から見てもわかる体幹で、体格差のある相手を倒します。大の里を破ったこの一番はかっこよすぎ!

そして、顔つきと所作の美しさ、インタビューでも一切表情を変えないことからネットでは「殿」と呼ばれていたりします。ちなみに兄の若元春の所作も、同じく錦絵のように美しいので、ぜひ兄弟で注目してみてください。

◾️宇良(うら)
おそらく人気ナンバーワン。毎日土俵入りの時には大歓声。業師(わざし)と呼ばれ、「いま相撲見てるんだっけ?」と思うような超トリッキーな投げ技やレスリング仕込みのちょこまかした動きで相手を翻弄します。これは「伝え反り」という決まり手で勝った取組です。ほんと何見せられてるんだかわかんない。

小兵と呼ばれた宇良も体重を増やし、今では王道の突き押し相撲でも格上を倒すほど。いつもインタビューで「お客さんを楽しませたい」と言い、言葉の通り、常にワクワクさせてくれます。

◾️番外編:二子山部屋のYouTube
すべての動画、ものすごく再生回数が多いチャンネル。相撲部屋ならではのちゃんこがたくさん出てきて、わたしの好きなインスタの料理アカウントさんも見てると書いていましたし、相撲ファンじゃなかった友人がYouTubeをきっかけにいつの間にか二子山部屋のファンになっていたり…YouTubeすごい。

最後に:最低限でOK!少しだけで大丈夫!

もっと細かい決まりごとも多いですし、紹介したい力士もたくさんいますが、キリがありません。まだまだ相撲ファン歴が浅いわたしだからこそ書ける、最低限知っておきたいことだけまとめてみました(その割に長くなってしまった)。

なんとなく観戦に行くより、少し知識だけがあった方が100倍楽しい大相撲。たのしい相撲ライフの入口になれば幸いです!

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