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待たないですべてが成就するデバイス
現代人は、スマホという「遊牧地」を与えられている。
制約のない空間で、その場に生えている草を躊躇なく食べる。
オンデマンドな世界だ。
オンデマンドだから「待つ」必要がない。
待つとか待たされるというのは、定住農耕の世界だけなのだ。
もちろん我々は定住農耕の世界(農耕とはそもそもテクノロジーである)に生きている。
だが、スマホを肌身離さず持っていることで、そのつど原初の遊牧性・狩猟採集性を新しく回復している。
なぜスマホが天下を取ったか。
この息苦しい社会で、唯一、遊牧の風を運んでくれるからだ。