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アメリカ政治や年金の話(雑記)
最近のアメリカ政治について雑感
USAID関連の最近のスクープをどう考えるか。「市民に代わって政府を監視する」と標榜するジャーナリズムを、政府がスポンサーして反トランプの物語を再生産していたのだとすると、トランプのディープステート批判があまりにクリティカルに芯を食っていたことを自ら認めるようなものでは。
たしかに、NYタイムズをはじめとする、アメリカの主流メディアの報道ぶりは、この4年間あまりに教条的であった。 素直に読めば、「民主党の機関紙ですか?」との感想を抱くのも当然の内容。 半ば官製メディア化したNYタイムズやPoliticoの報道を「エビデンス」にストーリーが再生産され、それを日本のメディアもそのまま流してきたと。
メディアに対する「官製ブースト」が解除され、投票IDが厳格化され、移民の流入が抑制されると、マジで向こう何十年か民主党は大統領選で勝ち目がなくなるかもしれない。(2/7)
それにしても、Xのアメリカ政治のタイムラインを見ていると、16世紀のルター宗教改革のときもこんな感じだったのかなとうっすら想像してしまう。 情報インフラの独占状態が民主化され、各自が手持ちの道具で「真実」を拡散し、既存のアンシャンレジームを打倒する。
これまでメディア(教会)によって独占されてきた知が、SNS(活版印刷)によって解放され、各自がスマホ(聖書)を手に真実を拡散する構図として理解できるというわけだ。(2/8)
イーロン・マスクの急進的改革(DOGE自体がディープステート化?)は、憲法上の問題、つまり大統領の権限が議会に対して優越しすぎているきらいがあるという懸念もあるのだが、
一方で、これに議会やメディアが有効な対応を示せるかというとそれも心許なく、裁判や弾劾をやっても肝心の「人心がついてこない」という流れは結構ありそうな気がする。
結局、今後の選挙で民主党(旧リベラル勢力)が実際に勝利できないと、いくら憲法ではこうだと主張しても虚しく響くだけに終わるのでは。(2/9)
年金について雑感
年金は、GPIFの積立金の運用と取り崩しで100年ぐらいなんとか保たせるという計画のようだが、それも以下のような楽観的な前提を置いての話のようだ。
出生率が1.36(直近は1.1台)
過去30年の実質賃金がプラス(実際はマイナス)
モデル夫婦世帯の所得代替率(単身に比べて優遇)
この前提が破綻してしまったとき、また国民の不満が否応なく高まった暁には、オルタナティブ的な話もしないといけなくなるかもしれない。
その場合の一つの考え方は、ざっくりいえば、賦課方式→積立方式への転換を核にするものとなるだろう。賦課の要素はせいぜい基礎年金の部分だけ維持し、厚生年金は全部個人の積立にしてしまう。いわば厚生年金がiDeCo化するわけだ。そして、高齢の生活困窮者には国が生活保護を用意し、またそれを補完する形で、民間の「喜捨基金」のようなサービスを始める。
有志の「喜捨」によって成り立つ民間基金を創設し、そこから生活困窮者にベーシックインカムのように配っていくみたいな流れ。
喜捨は寄付みたいなものだから、ちゃんと所得控除できるようにすればいい。企業も節税そしてCSRの文脈で、進んで参加するはずだ。また基金のプールも、GPIFのように分散投資して運用していけばいい。
生活保護や基金へのアクセスについても、審査をなるだけ簡素化する。ある程度金融資産が残っていたとしても、(それを元手に)国債を発行してとりあえずお金を渡し、生活保護の間は金融資産を国が担保として預かっている…というようなイメージ。
賦課方式から積立方式への移行については、GPIFの250兆円の資産を10年くらいかけて取り崩せば(あと国債も)普通に行けそうな気もする。そもそも年金とは別個に高齢者の金融資産は(将来的にも)莫大なのだし、底を突けば生活保護か養老施設で対応するという話は、筋としてそんなに悪くないようにもみえる。