『魁!朝日中学校』
■朝日中学校第65回全校演劇
『魁!朝日中学校』作・すがの公
<キャスト>
カメ婆/伊東甲(いとうコウ)■山崎まなえ
マツ婆/野口司(のぐちツカサ)■盛多あさひ
ツル婆/荒木田左馬乃(あらきだサマノ)■濱田りさ
さほっち/永倉仁八(ながくらジンパチ)■高橋りゅうのすけ
タケ爺(武市半平たけいちハンベイ)■上野たいき
芹沢鴨美(せりざわカモミ)/2■井手なつみ
平間重子(ひらまシゲコ)■岡崎ゆい
平山五色(ひらやまゴシキ)■遠藤あんな
新見絹(にいみキヌ)■菅原さやか
楠小十(くすのきコジュウ)/3■城守さわね
土方歳男(ひじかたトシオ)/5■松田みきや
沖田総(おきたサトシ)/4■黒沼りくと
近藤勇二(こんどうユウジ)■穴井せな
斉藤肇(さいとうハジメ)/6■高畠すぐる
山南敬(やまなみケイ)■藤田ひろや
原田佐助(はらだサスケ)■佐々木たくや
井上源四郎(いのうえゲンシロウ)■山下こうすけ
藤堂平太(とうどうヘイタ)■藤田ゆうた
島田魁次(しまだカイジ)■伊東翔太
五朗桂子(ごろうカツラコ)先生■下間山くるみ
黒田清春(くろだキヨハル)先生/人々1■桜木ゆうき
西郷隆(さいごうリュウ)先生/人々7■今せいや
榎本武(えのもとタケシ)先生■上野よしき
才谷梅太郎(さいたにウメタロウ)■松村あとむ
坂本乙女(さかもとオトメ)■坂本みか
坂本龍馬(さかもとリョウマ)/マッキー/8■富永こうへい
01■朝日町のじじばば登場
効果音:セミの鳴き声。みぃーーんみんみんみんみん
緞帳の前にタケ・ツル・カメ・マツ・仁八が杖をついてよぼよぼ登場する。
仁八:こぉんにちわー。
4人:こぉんにちわー。
仁八:わしら、
4人、小刻みに震え出す。
仁八:朝日のジジババ、全校演劇が始まる前に、、
4人、さらに細かく激しく震え出す。
4人:ううう、ううう
仁八:(震えに気付く)震えとるぞ!
4人:!!
びっくりして震えが止まる。
4人:(口々に)あぶないあぶない。あぶない
カメ:仁八さん、あんた、いくつになったの
仁八:80
4人:若いなー
仁八:え?いくつ?
ツル:92
カメ:93
マツ:94
タケ:100
仁八:うう
4人、小刻みに震える。
仁八:がんばって!
4人:(震えが止まる)押忍!(気合い)
仁八:はい台詞!
ジジババ、気合いを入れ頑張る
タケ:わしら朝日のジジババ!
マツ:全校演劇が始まるまえに!
ツル:ちょっち説明をしにきた!
カメ:この幕が上がると物語が始まる!
タケ:物語の舞台は朝日中学校!
仁八:なのだが!
マツ:物語の中の朝日中学校は!
ツル:現実とずいぶん違う!
カメ:現実の朝日中は平和そのもの!
仁八:なのだが!
タケ:物語の中の朝日中はちょっと、ほれ
仁八:なんだ
タケ:ほれ
仁八:なんだ。
タケ:忘れた
仁八:ハイだめーー!(どつく)
タケ:げほおおお!
仁八:物語の中の朝日中は?
カメ:荒れとる。
仁八:そう!
マツ:そう、荒れとる。
仁八:どんな風に?
ツル:不良どもがな。
タケ:荒れて荒れてー
カメ:悪ガキどもめらああ!
マツ:最近はもう手がつけられん。
タケ:本当の朝日のように平和になればいいんだが。
4人:ほんとになぁ。
仁八:大丈夫、わしの孫が来る。
4人:孫?
仁八:梅太郎という。
4人:ほおおお
タケ:あ、なにかくるぞ。
カメ:なんじゃあれは?
ツル:しっぽがあって
マツ:けむくじゃらで
タケ:耳がでかくて
カメ:舌を出してる
仁八:なんだ。
坂本という犬(しっぽ、耳、ぶち模様つぎはぎの着物)
坂本:わん!
4人:犬か。
仁八:野良犬か。
タケ:あんたの孫は野良犬か
仁八:ちがわい!
坂本:おい!ここはどこぜよ?
タケ:はて?
仁八:しゃべったかのぉ?
4人:犬が?
坂本:うわんわん!
タケ:わしもそんな気がしたが。
仁八:気のせいかの
ドーーーーーン!!幕のうらから太鼓の音がする。
全員:?!
皆、違う気配に気づく
マツ:!どうした、、、!!
ツル:まさか、、!!
タケ:まずい
音楽が聞こえてくる。ジジババ、震え始める
4人:ううううううう
タケ:これは気のせいではないぞ。
仁八:どした?
カメ:朝日中学の奴らが来よった!!
ツル:逃げろ!
4人:逃げろお!
坂本:なにが起こるんぜよおおお!?
じじばば、おろおろする。
音楽が上がり、朝日中学のワルども、約20名が客席を取り囲む。
手にはヤンキーらしい武器(段ボールで作る)を持っている。
全員:おらおらーおらおらおらーおらおらあ!
グラサンやら、口ベニやら、変形ズボンやら、短ランやら、とにかく精一杯の
古い感じのヤンキーになる。そしてワルども、会場内を練り歩く。
5人のじじばば、会場内へ逃げ
ジジババの衣装を脱ぎ、不良に変身する。
口々にヤンキーらしからぬ事をヤンキー口調で言う。
ex/「バザー買ったんかこらぁ」
ex/「風邪に気をつけろこらぁ」
ex/「よく来てくれたなぁこらぁ」
ex/「ゆっくりしてけこのやろう」などなど。
坂本いぬ、幕の前に残り、その様子を見ている。
ワルの中の二人、舞台上からパーライトを1台づつ構えて会場内を照らす。
これを手動ムービング照明と呼ぶ(許可が出ればね)。
土方:行くぞてめぇえらああ!!!
全員:押ぉぉぉ忍ぅ!!
芹沢:タイトルコールぅぅ!!
全員:朝日中学校第65回全校演劇ぃい!!!
『魁(さきがけ)!朝日中学校』!!!
02■オープニングダンスと舞台の出現
音楽がかかる、坂本いぬが振りかえると緞帳が上がると、ジャンクな舞台が現れる。
4人の朝日中学の先生、
担任の桂子と副担任数学の黒田(ひげ)、体育の西郷(タオル)、理科の榎本(白衣)
によって袖からイントレが押されてきてセットされる。
舞台中央に平台分上がっている場所(間口3間・奥行2間)
その奥にさらに150センチ上がっている場所(間口5間・奥行1間)
その両サイドに階段。
ヤンキー舞台に上がり込み、ガンつけながらオープニングダンス
坂本いぬ、舞台の奥に消える。
03■才谷登場。
ダンスの中を主人公・才谷梅太郎が舞台の奥から転校してくる。
くっきリしたメガネをしている。いかにも真面目そう。
学生服の色が違うか、ブレザーかを着ている。
才谷:、、、、、、
才谷、きょろきょろしながら、舞台中央まで行く。
皆、才谷に気づくと、それぞれダンスをやめ、にらみつけ、遠巻きにガンをつける。
西郷:はい、はいちゅうもおおおおく!!
西郷、竹刀を床に叩きつける。スパーン!音楽が消える。
榎本:(理科の道具をカチャカチャやる)注目注目注目注目注目!!!
西郷:さ、担任の桂子先生、お願いします。
桂子:家庭の事情で、転校してきた才谷、えーと
才谷:梅太郎です!
桂子:梅太郎くん。ほら、朝日中学全校生徒。
才谷:わあ。
生徒全員:(口々に)かつらこちゃーん♪せんせー♪げんきー♪(などなど)
桂子:はいー♪おはよ?♪
西郷:ほら黙れ!
全員:あああ??(にらみつけ、威嚇する)
黒田:ヒィイイ
桂子:卒業まであと半年しか無いけど、よろしくね。
全員:はあい♪
黒田:みな、なかよくするように!
全員:あああ??(威嚇する)
黒田:ヒィイイ
榎本:あ、せんせいっ
黒田、榎本、逃げていく。
桂子:がんばってね(ガッツポーズ)
西郷:ふぁいと(ふぁいと)
桂子、元気に退場、退場。西郷、桂子についてく。
生徒たち、さらに才谷を睨み付ける。
一触即発の雰囲気。
才谷:、、、、、あの、、
土方:なんだよ転校生?
才谷:あのーですね。
山南&沖田&G&藤堂&井上&斎藤&原田&島田:なんじゃごるぁああ!
才谷:うわっ。怒ってます?なんで?ねぇ?なんで?
芹沢:あんた、いい度胸してんね
平間:芹沢さん
野口&新見&平山&楠&荒木田&伊東&平間:やっちまいましょうか?
芹沢:ま、待ちなって。
才谷:お話があるんです
斉藤:わしら、忙しいんじゃがのーう?
才谷:一分ですみます。
井上:なんやああ!!!!
藤堂:お手並み拝見。
斉藤:よっしゃ、ちぇすとおお!!!
斎藤、才谷にかかっていく。
才谷:あ、100円玉(かがむ)
効果音・ヒュン!
斉藤:!!?
斎藤の攻撃、かわされる。
全員:か、かわした!
才谷:あのー、これ、100円、おとしもの。
全員:、、、、、、、、、、、、、、
芹沢:やるじゃん。
才谷:え?何?
芹沢:とぼけちゃってー。行くよあんたたち。
野口&新見&平山&楠&荒木田&伊東&平間:はっ(軍隊のように)
乙女:ちょっとみんな!授業は?
土方:おれらもいくぞ!
山南&沖田&近藤&藤堂&井上&斎藤&原田&島田:おうっ
才谷:3年!才谷梅太郎、わたくし!生徒会長に立候補いたします!
全員:はぁ?!
04■職員室
太鼓の音がする。どーーん!どーーーん!どーーん!どおおん!
場転、職員室になる。不良たち退場する。
西郷、黒田、桂子、榎本、授業の準備をしている。そこに才谷。
桂子:だけど才谷くん。
才谷:はい?
桂子:生徒会長は、すでにいるわけだから。
才谷:誰ですか?
桂子:近藤くん。
才谷:でも近藤くんって。
近藤走って登場。
効果音・カシャっ!
近藤、ヤンキーポーズ1を決める。
効果音・カシャっ!
近藤、ヤンキーポーズ2を決める。
才谷:不良ですよね?
効果音・カシャっ!
近藤、ヤンキーポーズ3を決める。
桂子:まー、不良ってことになるのかなぁ世間では。
近藤、礼をして、姿勢正しく退場
才谷:この中学にはグレてない生徒はいないんですか
桂子:一人だけ。
才谷:一人だけ?
坂本乙女走って登場
乙女:失礼しまーす。
桂子:委員長の乙女ちゃん。
乙女:また3年生皆、授業サボって裏山に消えました。
桂子:また?こまっちゃうなぁ。
黒田:まったくけしからん。
乙女:どうします?黒田先生。
黒田:ほっときましょう。いつものことです。
榎本:2年の授業行ってきまーす。(退場)
桂子:3年生、一時間目はなに?
乙女:黒田先生の数学です。
黒田:え?
桂子:二人、すぐ行かせます。
黒田:まってまーす(肩を落として退場。)
桂子:生徒会長の話は、また今度ね。さ、行って。
才谷:先生は授業ですか?
桂子:ちょっとお花つみに(退場)
才谷:へぇ。先生、花が好きなの?
乙女:よくつんでる
才谷:ふーん
乙女:梅太郎くん、なんでまた。転校早々立候補?
才谷、遠くの山を見る。
才谷:最近、同じような夢をくり返しくり返し見るんだ。
乙女:夢?
才谷:そこは戦場でね。
乙女:何言ってんの梅太郎くん
才谷:戦うべきだなって思うんだ。
乙女:、、
才谷:僕、この退廃した学校を、立て直そうって決めたんだ。
乙女:、、、
西郷:、、、才谷。
西郷立ち上がり
西郷:世の中にはな。一人の力では、どうにもならない事が、たくさんある。
才谷:え?
西郷:中学生にはまだわからん。
乙女:、、、西郷先生。
退場する。それを見送る二人
才谷:、、、そんなの、もう嫌だ。
乙女:もう?
才谷:僕は東京のマンモス中学校から来たんだ。
乙女:マンモス?
才谷:一クラス40名、全校生徒数が600人。
乙女:すごい!友達いっぱいで楽しいでしょーね
才谷:楽しいことばかりじゃないよ。
セミの鳴き声が聞こえる。みーんみんみん。
乙女:、、梅太郎くん?
才谷:僕は今度こそ、僕の力で変えてみせる。
乙女:なんかあったんだ。
才谷:あった。
乙女:なにがあったの?
才谷:、、、、、
乙女:わたし、坂本乙女(手をだす)
才谷:あ。
乙女:梅太郎くんにはできるような気がする。
才谷:ほんと?
乙女:ほんと。
才谷:才谷梅太郎。よろしく坂本さん。
乙女:みんなには名前で呼ばれてる。
才谷:、おとめさん。
二人、握手をする。
才谷:僕はもう負けられないんだ。
乙女:、、、ねぇ、夢ってどんな?
才谷:夢の中で僕は誰かを一生懸命探してるんだ。そこは、戦場なんだ。
太鼓の音。ドーーーーーーーン!場転。
05■夢の中の戦場
鬨(とき)の声。
軍勢:オオオオオオオオオオ
効果音:合戦の音。カシン、パン!パン!パカラパカラ
戦闘が始まる。刀や鎧は段ボールで作られているのだが、
しばらくの間、光の加減で上等な武装に見える。
全員、右肩に黄色、左腕に赤色の布を付けている。
つまり、右を向くと赤の軍勢、左を向くと黄の軍勢となる。
赤の軍が洋装の武器、黄の軍が和装の武器をもつとする。
奥に高さ4メートル幅2メートルほどの垂れ幕が赤と黄で二枚見える。
長いヤリのような棒にひっかけられ、それぞれの兵によって持たれている。
布に大きな紋章。これも、裏を返せば、黄と赤である。
2つの軍勢の戦闘はしばらく大騒ぎで続く。
太鼓の音。ドーーン!ドーーン!ドーーーン!
壮大な音楽が聞こえはじめる。
(4ー1「インテルメッツォ」マスカーニ)
太鼓の音。ドーーーーン!
傷ついた兵たち、一度倒れ込み、群唱をする。
群唱:われわれは、転んでも転んでも、くじけてもくじけても
倒れても倒れても、なんどでも、なんどでも、なんどでも
*転んでも転んでも、くじけてもくじけても
倒れても倒れても、なんどでも、なんどでも、なんどでも
(*繰り返し)
群唱の中、少し小高い場所に
坂本龍馬(さかもとリョウマ)が着物で舞台奥に現われる。
太鼓の音。ドーーーーン!
全員、ストップモーションになる。
才谷、一人戦場を駆け回る。誰かを探している。
才谷:最近、変な夢を見る。どこかで、自分は一生懸命、何かを探していて、
男、ゆっくりと刀を抜き、掲げる。
才谷:ずっと遠くの丘に誰かが居て。
坂本:おおおおおおおいい!!!
才谷:たぶん、僕を呼んでるんだけど、、
音楽上がり、再びゆっくりと動き出す兵士たち。
じわりじわりと、群唱をしながら客席の方へと向かっていく。
群唱:*転んでも転んでも、くじけてもくじけても
倒れても倒れても、なんどでも、なんどでも、なんどでも
(*繰り返し)
ドーーーーン!ドーーーン!ドーーーーン!!!
才谷の目前を兵士たちが交差し、才谷を阻む。
才谷:おい!ちょっと!ちょっとまって!
男、舞台中央に消える。
黄の榎本:引けえええ!
ドーーーーン!
黄の軍勢:おおおおおおおお!
黄の軍勢、キズつきながら、下手に退散しようとする。
上手の誰かが赤の大将に変身し、立ち上がる。
赤の西郷:全軍前進!
それに反応するかのように全員、立ち上がり銃を構え行進していく。l
西郷&黒田:追ええええ!!
ドーーーーン!
赤の軍勢:うおおおおおおおお!
06■夢の話/田舎の学校
土方を残し、軍はいなくなる。すると音楽カットアウト。
土方:俺さあ、さいきん同じ夢を見るんだ。
そこはさあ、戦場なんだよ。だれかを探してるんだ。
丘の上から、俺を呼んでるんだけど、
誰だか、よくわかんないんだ、、。あれ?聞いてた?
下手から近藤「生徒会長!喧嘩上等!」のタスキ
手に、PSP。
近藤:あー、うんうん。
土方:あれ?
上手から近藤派(男子軍)登場
沖田総(おきたサトシ)、山南敬(やまなみケイ)
斉藤肇(さいとうハツ)、原田佐助(はらだサスケ)
全員、PSP。たぶんモンハンをやっている。
4人:ふううううん
土方:おまえら話聞いてたのか?
沖田:夢がどうしたってばよ。
山南:結局なしたってばよ。
土方:ナルトしゃべり禁止!
近藤:あーうんうん。よし!ゲット
土方:モンハン禁止!
だから最近、そういう夢をやたらと見るんだよ。
斉藤:どのくらいみるってばさ?
土方:週1。
5人:(無反応)
土方:いや、週2!
5人:(顔を見合わせる)
土方:いやいや!週3!
5人:すごーい(モンハン再開)
土方:ちくしょう!ばかにしやがって!どいつも!こいつも!
土方5人を追い立てる。散らばり、逃げる。モンハンをしまう。山南にコブラツイストする土方。
山南:降参降参!
原田:いよう!
土方:喧嘩上等、全国制覇、いずれその名を轟かす、
斉藤:いよ!日本一!
土方:天下の中学3年生!土方歳男(ひじかたトシオ)たぁ???
5人:よおお!!
効果音:カキーーーーン!(土方、技をかけたまま、見栄切り)
土方:俺のこってぇ!!
山南:わかったわかった!
山南、解放される
山南:ひじやん、本気でやるもな。
5人:んだんだんだ
土方:お前らに言いたい事が二つある。
5人:なんだべ
土方:ひとつ!たまになまるな!
原田:ヒジヤン。
土方:ふたつ!「ヒジヤン」って呼ぶな
全員:なんでよ
沖田:ヒジヤンはヒジヤンだしょ
近藤:んだ
山南:「土方」だから、
沖田:「ヒジヤン」だべさ
近藤:んだ
土方:やだ
原田:幼稚園からずーーーっと、ヒジヤンだったべ
土方:なまるな!ヒジヤンって言うな!
斎藤:なしてよ急に。
土方:つまりはだ。我慢の限界にきたわけよ
沖田:どういう意味?
土方:、、、説明してやる。
土方、ポケットから笛を取り出す、吹く。
ピィイィィィィィィ!
照明、明るくなる。
土方:はい集合!
すると、生徒、先生、タケじいがわらわらと出てくる。
07■この場所がうんざり
全員:おうヒジヤン、ヒジヤン、ヒジヤン。
土方:おう、おう。おはよ。おう。おう。
全員:おうヒジヤン、ヒジヤン、ヒジヤン。
土方:おう、おう。おはよ。おう。
土方、もみくちゃにされる
土方:おうおおお!!うんざりなんだよ!!!!!
全員:?
土方、台に上がる。
土方:おまえら、朝日中学校周辺の景色をみろ。
みな、手で望遠鏡をつくって眺める。
土方:どうだ、何が見える?
沖田:なにって、、青い空
土方:ほか
斎藤:白い雲
土方:具体的に
山南:畑
原田:たんぼ
近藤:天塩岳。
土方:そう、天塩岳!
沖田:ジャンプ台
土方:三望台シャンツェ
原田:サンライズホール
斎藤:まなべーる
土方:なんか細かくなってきたな。
西郷:ナキウサギ
土方:嘘をつくな。
黒田:あ、ナキウサギ?(袖をゆびさす)
土方:消ゴムくらえ(なげる)!
ナキウサギの声:ちゅう!
土方:あれはネズミだ。
平山:せいふう館、
新見:一福食堂
平間:ラーメン一休
芹沢:焼き鳥まるみ
楠:居酒屋ABC
野口:スナックとまと
伊東:平和
桂子:ムーンストーン
土方:そうだ。6月にオープンしたな。
全員:うん。
土方:もうだいたいいか?言い忘れがあると後でうるさいぞ。大丈夫?
全員:うん。
沖田:結局、何がうんざりだって?
土方:だからよぉ
土方、もう一度笛を吹く
さほっちの声:メェメェ
上手から、さほっちがメェメェ登場する。
土方:、、知ってるかこの黒いの。
乙女:さほっちだ。
土方:そうだ。
藤堂:羊田黒助だ。
井上:サフォークランド士別のキャラクター。
山南:愛称はさほっちだ。
さほっち:メェメェ、メェメェ
土方:どうしたんだ。
タケじい、さほっちに耳うち
タケ:どした?
さほっち:メェメェ(はぐれた)
タケ:「マッキーとはぐれた」って。
土方:タケじい、動物と話せるのか。
乙女:マッキーってだれ?
マッキー登場。白髪のカツラにダボダボのスーツ。
白い手袋。選挙用のタスキに「清き一票マッキーゆうじ」
マッキー:ああ、いたいた!
さほっち:メェメェ(マッキー)
マッキー:まっきー勇司です。
さほっち:メェ(よろしく)
全員:(ひそひそ話)市長さんだ、市長さん、市長市長。
マッキー:やっ。では皆さん、失礼しました。
さほっち:メェメェ(マッキー)
マッキー:だめじゃないか勝手に。
朝日町にはネズミしかいないんだぞ。
全員:そんなことねえよ。
原田:(怒)なんでナキウサギのキャラクターはいないんだ!
榎本:作るべきだ!
山南:作ろう!
藤堂:名前を募集!
タケ:ハイ!なきっち!
沖田:他!
芹沢:ネズミっち!
黒田:却下!
沖田:他!
桂子:なければ、さほっちに対抗して「なきっち」とします。
西郷:いいですか!
全員:いいです!わあ~(拍手ぱちぱちぱちぱちー)
さほっち:(タモリ)メェ!
全員:パンパンパン!!
土方:うんざりなんだよおお!!!
ほら退場!退場おおおおおおお!
土方、笛をぴぃぴぃならしながら、退場させる。
退場者:(口々に不平不満世間話)
土方、近藤、沖田、原田、斎藤、山南が残る
土方: 幼稚園、小学校、中学校。
ちっとも変わらない、この毎日にうんざりだ!
顔ぶれも変わらない!風景も変わらない。
俺の目に映るもの全て!もお、うんざりなんだ!
沖田:なしてよ
土方:なしてもよ!
沖田:ちょっと前まで、そんなこと言わなかったしょや
土方:るっせええ!
沖田:ひじやん
土方:だから、ひじやんっていうな!
斎藤:(ひそひそ)ヒジヤン、最近荒れてんな。
原田:(ひそひそ)なんでだべ
山南:(ひそひそ)知恵熱か
斎藤&原田&山南:あー
土方:なんだ?
斎藤&原田&山南:なんでもなーい♪
沖田:近藤くん、なんか知ってる?
近藤:あ、えっと、、
土方:おいこら!
近藤:あ、いや。知らない。
沖田:ひじやん、おれたち隠し事、なしだろ?
土方:ないないないない!
沖田:ならいいけど。(ちらっと近藤をみる)
近藤:(目をそらす)
沖田:、、、、(なにか隠していると確信する)
効果音:セミの声。みーんみんみんみん、、みーんみんみん
沖田:でも、この場所は好きだろ?。
斎藤:裏山。
近藤:うん。
山南:さぼったらここにくるんだ。
原田:俺たちだけの場所なら最高にいいのにな
土方:、、、、いや。どこもかしこも嫌いだ。
沖田:なんでそんなこと言うんだよ
そこへ、走り込んでくる藤堂平太(とうどうヘイタ)と井上源四郎(いのうえゲンシロウ)
井上:やばいやばいやばいやばい!
藤堂:近藤くん!土方くん!
井上:やばいっ!女子だ!
近藤:んだあとお?!
藤堂&井上:芹沢一派だってばよ!!
土方:まずい!
08■うでだめし
太鼓の音、どーん!どんどんどんどんどん、、、どどおおおおおおん!!
奥の小高い場所から、芹沢鴨美率いる芹沢派(女子軍)が登場する。
新見、野口、平山、平間、楠、荒木田、伊東
新見:あねさん!
野口:あいつら、うちらの領地に侵入してます
平間:この裏山はあたいらの憩いの場です
楠:リラクゼーションスペースです
伊東:ゆったり空間です。
荒木田:リフレッシュタイム
平山:今年はスーパークールビズ
芹沢:もぉいいよありがとう。
新見:あねさん!
芹沢派:やっちまいますか?!
近藤派:ギクリ
芹沢:やっちまいますかあああ!!!
芹沢派:押ぉぉおお忍!!
音楽がかかり、アクションシーン
(12「MAKING THE ROAD BLUES」Hi-STANDARD)
男子対女子、男子劣勢。
芹沢:せえええのおお!
芹沢派:ちぇすとおおおおおおお!!!
芹沢派、同時に打ち込む。
近藤派:ぬあああ!!
近藤派、同時に倒れる。曲消える。
芹沢:あたいらの裏山から、さっさと出ていきな。
近藤派:くやしいい(地団駄をふむ)
乙女と才谷登場
乙女:ああああ!また喧嘩してる!ちょっと待ってて才谷くん。
才谷:あ、うん
芹沢:出たよチクリ魔。
乙女:やめなよ喧嘩。
芹沢:え?別に喧嘩なんかしてねーし。ねぇ?
芹沢派:(口々に)うん、してないしてない全然してない。
乙女:しらじらしい。じゃあなんで転がってるの?
芹沢:知らない。なんで?
近藤:えっとーえっとー
沖田:えっとー、ほら
土方:あ、アリ数えてんの。な。ほら1ぴき
近藤派:(口々に)200、4、5、3、457、あ、ここにもアリさん
乙女:うそばっかり
芹沢:じゃ行こっか。
芹沢派:押忍!
乙女:待ってよセリポン!ヒジヤン!セリポン!ヒジヤン!
土方&芹沢:やめろその呼び方。
乙女:だってせりぽん!せりぽんはせりぽん!ひじやんはひじやん!
せりぽんはせりぽん!ひじやんはひじやん!せりぽんひじやん!
土方:たくさん言うなたくさん!。
芹沢:同感。
芹沢無視して退場。芹沢派ついて行く。
乙女:来年の春には、もう卒業だよ?
芹沢、立ち止まる。
土方:、、、
乙女:あたしたち、三年なんだから。
芹沢、戻ってきて一言。
芹沢:うざい。
乙女:、、、
芹沢、退場する。
土方:おい、行くぞ。
土方、立ち去ろうとする。乙女、土方の腕をつかむ。
乙女:昔みたいに3人仲良くしようよ。
土方:うるせえっ
土方、乙女を乱暴に振り払う。ころぶ乙女
才谷:あ!
乙女:いててて
土方:、、どんくせんだよお前。
才谷:こら!こらこら!
土方:なんだよ?
対峙する土方と才谷
才谷:乙女さんに乱暴するな。
土方:乙女「さん」?
近藤派:(嘲笑する)へへへ、へっへへ
土方:乙女、こいつお前に気があるぞ
才谷:こら!こら!こら!
土方、才谷をどつく。倒れる。
乙女:梅太郎くん!
才谷:いてて、、、
土方:おい今日も行くぞ。うでだめしだ。
井上:え、また?
藤堂:でも、、
土方:沖田いくだろ?
沖田:じゃ、他行く人ー
原田&斎藤、まわりを伺いながらおずおず手をあげる。それほど行きたくない
土方:近藤は?
近藤:、、、
土方:おまえらもいかねえの?
井上&山南&藤堂:、、、
土方:あやとりでもしてろ。行くぞ。
土方&沖田&原田&斎藤、退場する
乙女:どこ行くの!?
藤堂:街だってさ。
乙女:まち?何しに?
井上:うでだめしだって。
才谷:うでだめし?
山南:もう土方にはつきあってられん。いくべ
井上&藤堂&山南、退場する。
近藤:、、、、、
乙女:なに?うでだめしって。近藤くん。
近藤:、、、、
近藤、口をつぐんで退場する
乙女:、、、、、
才谷:乙女さん、、
乙女:きっとなんかバカなことしてるんだ。
才谷:バカなことって、なに?
乙女:どうせ、喧嘩とか万引きとかタバコとか。
才谷:、、
乙女:最近はヒジヤン、どんどん手がつけらんなくなってく。
他の子もヒジヤンから離れてきて。
もう、来年の春には卒業だってのに。
才谷:朝日の子は、みんな、卒業したらどうするの。
乙女:色々。進学したり就職したり。
才谷:そうなんだ。
乙女:ここからはだいたい出てく。
才谷:え?
乙女:高校も仕事も大きい街にしかないから。
才谷:、、、乙女さんは?
乙女:進学。
才谷:、、そう。
乙女:ただでさえ卒業したらバラバラになるの決まってんのに、、
最近、どんどんバラバラになってく。
小学校まではみんなずっと、家族みたく仲良しだったのに。
才谷:坂本さん。
乙女:なに?
才谷:僕が、元に戻してみせるよ。
乙女:、、ほんと、梅太郎くんならできる気がする。
黒田先生の声
黒田の声:才谷ー!転校初日からサボるってのはどうなんだー!先生、泣いちゃうぞー!
乙女:あ!やべ!梅太郎くん!行こう!
才谷:あ、うん、、
黒田の声:さかもとおぉうおううえええええん!!!
乙女:あ、泣いた!
乙女、走って退場する。
才谷:、、、乙女さん。
僕、この世の悪を打ち倒してみせるよ。
よし。今度こそ、負けずに。逃げずに。
太鼓の音、地鳴りのように鳴る。
ドロドロドロドロドロドロドロ
09■苦しい現実。
太鼓のきっかけで突然、才谷だけの照明になる。
よろいをつけた人々12345678がどこからか出てくる。
よくみると梅太郎のまわりをぐるぐると歩きはじめている。
1:いじめ?ある程度はあるでしょうそんなの。
2:受験勉強で忙しいんですよ。みんな。
3:無理に友達つくったってしょうがないからねえ
4:こういうのは順番なんですよ順番
5:相談するにも恥ずかしくてできないし
6:大人の社会にもあるものなんだから
7:あきらめましょうよーある程度は。
8:身を守るためにスケープゴートを作る
1:日本の縮図を今経験しているだけです。
2:加害者がいないなら被害者もいませんよ
3:いじめはそもそも社会の問題ですから。
4:出る杭は打たれる。当たり前のことです。
5:学校を万能だなんて思わんことですよ。
6:ちがう学校行ってもがんばって。
7:いまや子供の世界も難しいんですよ
8:情報があふれて溺れそうです
1:あまり問題にしないていどにがんばって
23:がんばって
456:がんばって
全員:がんばって
いつのまにか、耳をふさいでうずくまっている才谷
人々、ゆっくりと消えていく。
才谷:、、、、、負けずに。逃げずに。戦うんだ。
才谷、立ち上がる。
10■夜。じーちゃんと縁側で将棋
才谷が立ち上がると、夜になる。
効果音・鈴虫や風鈴の音。りーんりんりーん
上の段に仁八、パタパタとウチワであおぎながら登場。
仁八:続き。お前の番だぞ。
仁八じいさん、将棋を持ってくる。
奥の小高い場所。酒を呑んでいる。
才谷:え?、、、あ、、うん。
才谷、仁八の前に正座する。
才谷:将棋なんて小学校ぶりだ。
仁八:やらんのか。
才谷:ゲームはPSPとか、携帯とか。
仁八:味気ないな。
才谷:べつに。
仁八:飲むか。酒。
才谷:15歳だっつーの。
仁八:味気ないな
夜の音
仁八:電話したか。家に。
才谷:まだ。
仁八:携帯電話持ってんだろ。
才谷:持ってるけど。
仁八:しとけ。
才谷:でも、どうせ忙しいから。
仁八:お父さんか?
才谷:お母さんも
仁八:みんな持ってんでないのか携帯
才谷:もってるけど。
仁八:なら電話しとけ。なんのための携帯だ。
才谷:いい
仁八:なんでよ。
才谷:まだいい。
仁八:まだ?
才谷:うん。まだ。
仁八:ふーん
才谷:、、どれ動かした?
仁八:桂馬
夜の音
仁八:お前、転校してきたこと、負けだとおもっとりゃせんか。
才谷:、、、勝ちじゃないでしょ。
仁八:負けと思えば負け。勝ちと思えば勝ち。
才谷:じゃ、負け。
仁八:あまり、勝ち負けにこだわらんことだ。
才谷:、、そんなの無理だよ。
仁八:無理と思えば無理。できると思えばできる。
才谷:世の中には、一人の力ではどうにもならない事が、たくさんあるって。
仁八:それもまた真なり。
才谷:どうすりゃいんだよ。
仁八:だから、勝ち負けにこだわらん事だ。
才谷:、、、、、王手飛車角取り。
仁八:え?ああああああああ!待った待った!それ待った!
才谷:なんだよそれ!
仁八:孫に将棋で負けたくない!
才谷:言ってること違うじゃん!
夜の音。暗くなる。場転。
11■土方の孤立
自転車のライトが見える。
土方、自転車に乘って登場。遅れて沖田。
土方:ちぇいいええええーーー♪
沖田:ちょっと待った!ひじやん!速い!
土方:あれ?あいつらは?
沖田:ずっと後ろ
土方:なんだよ。どんくせえな。
沖田:ひじやんチャリ速すぎだって。
土方:俺、全然トップスピードじゃねぇよ。
沖田:もっと後ろも考えてよ。
土方:でもさー、いやあー今日はヤバかったろ。な。
沖田:ちょっと最近、やりすぎじゃない?
土方:喧嘩にやりすぎなんてことあるかよ。
あいつら高校生だったろ?超キレてた。
沖田:、、おっかけてこないかな。
土方:こねえよ。こっちチャリだし。
沖田:でもやばいって。ひじやん今日、朝日中の土方だって言ってたろ。
土方:だってそうじゃん。
沖田:あいつら、乗り込んできたらどうすんの。
土方:なんだお前、びびってる?
沖田:そんなんじゃないけどさ。
土方:親友だろ?おれが助けてやるよ。おれがやられたら助けてくれよ。な。
夜の音
沖田:でもな、、さすがに毎日こんな時間じゃまずい
俺、昨日もかーちゃんに搾られたからさ。
土方:親こえーのか?
沖田:うちは放任主義じゃないから。ふつうの公務員
土方:おい!
沖田の胸ぐらをつかむ
沖田:う、うわあ
土方:社長の息子だってなぁ、それなりに大変なんだよ。
沖田:わかった。わかったって。
斎藤、原田
斎藤:おい。
土方:おう、遅かったな。
斎藤:おそかったじゃねえよ!
土方:え?なにキレちゃってんの
斎藤:おめーが先に行ったせいでなぁ、こいつ
原田:もういいよ。
斎藤:でもよ
原田:もおいいよ。疲れた。じゃあな。
原田退場。
土方:おい、どしたんだよ。
斎藤:、、、、おまえが勝手にガンガン行くから、あいつ途中つかまって。
土方:なんだよ弱っちいな。
斎藤:おれももおいいわ。勝手にやってくれ。
斎藤退場。
土方:なんだそれ。自分らがどんくせえの棚にあげて八つ当たりかよ!
沖田:、、、
土方:おい。ほっとこーやあんなやつら。
まぁ聞け、沖田。親友のおまえに話がある。
沖田:明日!また明日!
土方:おい!
沖田、退場
土方:、、おい。俺、、、話あんだよ、、、。
トボトボと自転車を押して退場する土方。
12■次の日の朝、坂本龍馬。
ちゅんちゅんちゅん、ちゅん
坂本:ふあああああ(のび)日本晴れぜよ。
丘の上に坂本いぬ、眠そうに登場。ひよこ饅頭の箱もってる。
芹沢:お。
坂本:なんじゃい。
芹沢:野良犬だ。珍しい。
坂本:野良?浪人とよばんか。
芹沢:汚ね
坂本:汚くないぜよ!
芹沢:くせ。
坂本:くさくないぜよ!おはん、わしを誰じゃとおもうとる?
芹沢:ん?ちょっと今しゃべったような気が。
坂本:わんわんわわん!わんわんわわん!
芹沢:気のせいか。
坂本:わしは土佐脱藩浪士・坂本龍馬。おはんの歳ならもう習っておろうが?
去年、NHKの大河ドラマにほれ、福山が。
しっかしなんの因果か、野良犬なんぞに産まれ直してしもうた。
わしの意思を継ぐものを探しておる。おはん、しらんか?
芹沢:なんか言った?
坂本:おまんに聞いたのが間違いぜよ。
芹沢:お腹へった?
坂本:もおいい。どっか行け、ガキ。
効果音・腹の虫。ぐーきゅるきゅる
芹沢:あ、やっぱ減ってんじゃん。
坂本:それはまぁ、それなりに、ほら。
芹沢:食べ物かぁ、、
タケと仁八登場。
仁八:お、いたいた。ほれ!
タケ:いたいた。
芹沢:?
タケと仁八、わなを仕掛ける。
輪にしたヒモの中にほねつき肉。タケ、うちわで、肉をあおぐ。
坂本:・・・・くんくん
ふらりと肉につられ
タケ:いまだ
仁八:えい
坂本:(わなにかかる)あああ
二人:かかった!
芹沢:単純
仁八:つかまえろ!
タケ:あいさあ!
二人、乱暴に袋をかぶせ、どつく。
二人:わー!
坂本:げに暗いぜよ!まっこと日本の夜明けは遠いぜよ!やめんか!このずんずくが!
二人:わー!
坂本:きゃんきゃんきゃん!
芹沢:なにしてんの!!
芹沢、止めに入る。
芹沢:老人二人してなに弱いものいじめしてんの!
坂本:そーだ!
仁八:茶菓子を盗みよったんじゃ
タケ:将棋さしてるうちに。
仁八:ひよこ饅頭。
タケ:東京みやげ。
芹沢:犬のくせに?
坂本:好物なんじゃい
仁八:梅太郎のみやげじゃぞ
芹沢:梅太郎って、転校生?
仁八:知ってんのか?
芹沢:とにかく離してやってよ。
タケ:ひよこ饅頭は
坂本:そこだ。
タケ、箱をあける。空。
タケ:(投げ捨てる)空だ!
坂本:うまかったぞ
仁八:このやろう!!
芹沢:許してやってよお願いだから。
タケ:んー。どうする仁八
仁八:じゃあ交換条件だ。
芹沢:なにそれ。
仁八:わしの願いを聞いてくれるなら、こいつを解放しようじゃないか。
坂本:よし乘った!おい、聞いてやれ。
芹沢:願いってなに?
仁八:ちょっと耳をかせ。
二人:?
芹沢、耳をかす
仁八:ごにょごにょ、ごにょ、にょにょ。
芹沢:えー?!
二人:なになになに?
仁八:どうじゃ?
坂本:おい、どんな条件だ?
芹沢:、、、、言うこと聞けば、助けるんだよね。
仁八:うむ。たいしたことじゃあるまい。
タケ:なんじゃ?
芹沢:、、、いいよ。
仁八:ほんとか?
芹沢:いいって。
仁八:げんまんげんまん!
二人、ゆびきり。
仁八:はい嘘ついたらはーりせんぼんのーます!ゆびきった!
芹沢:じゃ、離して。
仁八:よしっ
坂本:ふー。たすかった。
タケ:なんの願いだ?
仁八:そのうちわかる。じゃ、頼んだぞ。行こう。
タケ:なんだ?気になるな。
坂本:これ、もらうぞ。
肉にかぶりつく
タケ:それにせもんだぞ
坂本:ちくしょう!(投げ捨てる)
二人:ざまーみろ
二人退場。
芹沢:ほら、どこでも好きなとこいけ。
坂本:おまえ、見た目よりも良いやつぜよ。
芹沢:あーあ、柄にもないこと頼まれたな。
坂本:おい、なに頼まれたんだ?
芹沢:いけって。
坂本:気になるぜよ。
芹沢:いけっての
効果音・ぐるるきゅう
坂本:あ
才谷登場
才谷:あ。芹沢さん。おはよう。
芹沢:、、あ、おはよー。
坂本:くんくん、あれ?なんだこのにおい。
才谷:えーと、えーと芹沢、芹沢えーと。ちょっとまって。
芹沢:は?
才谷:あ、かもみさん
芹沢:え?
才谷:芹沢かもみさん。
芹沢:お。フルネーム。
才谷:正解?
芹沢:なんで覚えてんの?
才谷:これ、芹沢さんの犬?
芹沢:ぜんぜん。野良犬なんだけど、なんかない?
才谷:そんな都合よく食いもんがあるわけ(カバンからパン出てくる)あ、あった。
坂本:かたじけない!(がつがつ食う)
才谷:おお、袋自分で開けた。なんだこの汚い犬は
坂本:(パンを飛ばしながら)ぼん!ぼんばべんばびぬぼばばんばん!
(「おい!こんな変な犬とはなんだ」と言っている)
二人:汚い汚い汚い汚い
才谷:うわー、汚い犬。名前つけようか。えーと、、
坂本:坂本龍馬!
才谷:え?なんかいった?
坂本:わわわんうおうわ(さかもとりょうま)
才谷:わわわんうおうわ?
芹沢:変ななまえ
才谷:ちがう!
芹沢:まさか、全員の名前、もう覚えてんの?
才谷:うん。狙ってるから、生徒会長。
芹沢:その執念はどっからくんの。
才谷:僕、いじめにあって転校してきたから。
芹沢:え?
才谷:クラスん中で順番にいじめられる番が回ってくんだ。
芹沢:へー。
才谷:それ止めようとしたら、みんな僕を避けるようになったってわけ。
坂本:、、、、ほう。おまん、なかなか
芹沢:かっこいいね才谷。
才谷:え?なんで?
芹沢:ふつう、そんなん言えないじゃん。
才谷:なんで?
芹沢:ほら、恥ずかしいとか
才谷:恥ずかしいわけないじゃん。
僕は正しいことを言ってるだけだ。
坂本:気に入った。
芹沢:すごいかも。才谷
才谷:そうかな。
坂本:わしも幼い頃に、楠山(なんざん)塾で漢学を習おうと入ったはいいが、そのころのわしは寝小便たれの弱虫だった。いじめられてな、しまいにわしは、抜刀騒ぎをおこした。刀を抜いたんじゃ。そして退塾処分になった。それに比べておまんは、立派な男ぜよ。
才谷:よしよし。
坂本:くんくーん
芹沢:この犬、才谷のことが好きみたい。
才谷:飼えるかどうかじーちゃんに聞いてみよっと。
藤堂、山南、井上、走ってくる。
3人:たいへんたいへんたいへんたいへん
芹沢:なにさ。
3人:職員室に、石なげこまれた!
芹沢&才谷:え?!
全員走って退場する。
13■次の日、体育館にて。土方エスカレート。
効果音・チャイム。キーンコーンかーンコーン
体育館にきれいに並んで、立っている。
ステージ上の先生たち。
西郷:緊急集会を開いたのにはわけがある。
生徒:ざわざわざわざわ
西郷:ほら静かに!さわぐな!
黒田:もう、知ってるものもいるだろうが、
職員室に石が投げ込まれて、桂子先生がケガをされた。
全員:え
榎本:にぎりこぶし大の大きな石だ。
乙女:せんせい、だいじょうぶ?
生徒:(くちぐちに)だいじょうぶかよ、かつらこちゃん、だいじょうぶか
西郷:静かにしろ!(竹刀すぱーーーん!)
黒田:石が直接当たったわけじゃない。
榎本:割れた窓ガラスが飛んできて。
斎藤:だれがやったんだよ!!
原田:おい。
斎藤:おしえろ!
西郷:斎藤!
黒田:だまれ!
斎藤:だってよ
榎本:おちつけ!
斎藤:、、むかつく!(イントレを蹴る。)
ガッ!ミシミシと揺れるイントレ。
黒田:犯人は、うちの生徒ではないと思われる。
こころあたりのあるものは、すぐに報告するように。
西郷:いいか、この件に関して、おまえらは余計なことをするな。
榎本:以上!解散。
各々なにかをしゃべりながら解散する。
その様子を見てる才谷。土方がいない。
乙女、土方を探してる。
才谷:乙女さん、
乙女:ひじやんみた?土方くん
才谷:あ、そういえば。
乙女:なんか嫌な予感がする。
才谷:きいてみる。
斎藤、原田が残ってなにか話している。
才谷:あのー。斎藤ハツ君。ちょっといいかな
斎藤:うるせえ。今いそがしんだよ
才谷:原田佐助君
原田:なんでフルネームなんだよ
斎藤:いそがしいつってんだろ。やっちまうぞこら。
斎藤、才谷につめよる
乙女:やめてよ!
才谷:あ、いやあの。ただ、しつもん。
斎藤:今気がたってんだよ!
斎藤、才谷をなぐろうとする。
ヒュン、ヒュン、ヒュン、ヒュンヒュン
しかし、ことごとくかわされる。
斎藤:な、なんだおまえ
坂本
坂本:心道無念流の力の剣に天然理心流の総合武術を合わせたその動き、おまん、どこで習った?
乙女:才谷くん
才谷:僕のじいちゃん、剣道の師範で。でも僕暴力は嫌いだから逃げるだけなんだけど。
斎藤:むかつく!原田!捕まえろ
原田:え?あ、うん。
乙女:今こんなことしてる場合じゃないのに。
坂本:助太刀いたす!わん!
才谷:わ、助けてくれんの?
斎藤:なんだこの犬。
原田:ほら、パン、取ってこーい!
パンを袖に投げる。
坂本:わほーーーん♪
坂本、取りに行く。退場
才谷&乙女:えええええ
斎藤:おとなしくしろ
乙女:2対1なんて卑怯じゃん!
原田:うるせえ!
つめよる原田、斎藤。才谷、ピンチ。
芹沢(声):やめな!!
どーん、どんどんどんどんどんどん、どどどーーーーん!
芹沢一派、ふたたび揃い踏み。
芹沢:あんたら、才谷に手ぇだしたら、この芹沢一派が黙ってないよ?
乙女:芹沢さん、、?
斎藤:てめーら
芹沢:あ、やるかい?あんたらも仲間集めなよ。ま、仲間がいればの話だけど。
才谷:芹沢さん、どおして?
芹沢:約束したんだよ、才谷のじーちゃんと。
才谷:やくそく?
芹沢:ま、いいってことさ
平山:芹沢さん!
芹沢派:やりますか?!やっちゃいますか?!
原田:大人数で卑怯だぞ!
芹沢:あんたらに言われたくない!
坂本:(パンくいながら)お、増えてる。
才谷&乙女:役立たず!
ホイッスルの音。ぴーー!
全員:?
桂子登場。
桂子:はいケンカをやめてーふたりをとめてー
乙女:桂子先生ー
桂子:みんなのアイドル桂子先生の大ケガに浮き足立つ気持ちもわかるけど。
坂本:自分でいうな。
桂子:とりあえず、みんな落ち着いて。
芹沢一派、心配しながら桂子のもとへ。
山南、井上、藤堂、島田もやってくる
伊東:せんせい
野口:だいじょうぶ?
荒木田:どこケガしたの?
平間:あ、手。
平山:ばんそうこ
新見:もしかして
楠:これ?
山南&井上&藤堂&島田:え?これ?
桂子:職員室の窓ガラスが石で割れて、片付けてたら手を切ったの。
桂子の手の指10本にかわいい絆創膏。
全員:なんだよお
斎藤:こんくらいの石(つけもの石)当たったって聞いたぞ
原田:はなしでかくなってるぞ
芹沢:で、結局だれがやったわけ?
桂子:そのことなんだけど
沖田登場
桂子:沖田くんが話してくれたの。
沖田:昨日うでだめしに戦った、高校生のしかえしだと思う。
桂子:土方くんが、この中学の名前だしたんだって。
原田:なんだよ、じゃああいつのせいか。
沖田:おれらのせいでもあるじゃん。
斎藤:それより、またくるんじゃねぇか
芹沢:そーかも。
斎藤:作戦たてるか。
全員:(くちぐちに)そうだそうしよう作戦だ
桂子:ちょっと聞いて。
全員:(聞かない)(ボリュームアップ)
桂子、つかつかと太鼓のとこへいき、
桂子:えい
どおおおおおおおおん
全員:!!
桂子:今、校長先生と教頭先生であっちの高校何校か当たってみてるから。
みんなは普段のままにして。だいじょうぶ。心配しないで。わかった?
全員:(うなづく)
坂本:よい先生ぜよ。仰げば尊し我が師の恩ってなぁ。うんうん。
桂子:あ、犬。よーしよしよし
乙女:でも先生。
桂子:なに?
乙女:土方くんがいないんです。
桂子:え?
坂本:、、まさか。
才谷:ひとりでまた、行ったんじゃ、、
乙女:え?
才谷:しかえし。
沖田:俺もそう思う。
原田:バカかあいつ。
斎藤:むかつく、なんで一人でつっぱしろうとしてんだよ。
山南:しるか
井上:あいつが撒いたタネだしな
藤堂:そうそう
乙女:ちょっとまって心配じゃないの
芹沢:最近あいつおかしいからね。男子バラバラになるのも、しょうがないよ。
沖田:なんか最近かわっちゃったんだ。
才谷:だれもなにも聞いてないの。
斎藤:あ?
才谷:だって、なにも無いのに、人が変わるわけないよ。
桂子:先生もそう思う。誰か、なにか聞いてない?
近藤、おずおずと、登場。
近藤:、、、あいつん家、夜逃げするんだ。
全員:え?
乙女:、、夜逃げ?
芹沢:、、、え
14■夕方
夕方のとんびが鳴く・ひゅるるるうー
奥舞台に土方、ストレッチをしにくる。
土方:よし。
と、自分の住んでいた街を見渡す。
音楽がかかる。
土方:、、、
ゆっくりとストレッチをする。
土方:このド田舎から離れられるなんてせいせいするわ。
こんな街、こっちから願い下げだっつーの。
このクソ裏山ともおさらばか。
あいかわらず、
、、なんもねえとこだな。
ひゅるうるるううー
ストレッチを続ける。
土方:?(だれかのぼってきた気配)
仁八、タケ爺
仁八:おお、なつかしいなつかしい。
タケ:ガキのころ、ここで悪さをしたもんだ。
仁八:お、わるがきがおる。
タケ:おおい
仁八:なにしとんじゃー一人で。
土方:、、、
タケ:話してみー
土方:なんでもねーし。
土方、山を降りる。
仁八&タケ:?
二人、顔を見合わせる。
音楽少しあがり、退場する。
15■土方を探せ
照明、前舞台に戻る。
藤堂:そういえば。
井上:家の話したら、急に不機嫌になったり。
沖田:あ、「社長の息子だってそれなりに大変」って。
芹沢:うまく行ってなかったんだ。会社。
斎藤:なんでいわねんだよ。
原田:そうだ。みずくせえ。
近藤:言えないんだって。
斎藤:なんでだよ。
桂子:夜逃げって、普通の引っ越しとは違うから。
山南:どういうこと?
桂子:知られたらダメなの
乙女:それでヒジヤン、ヤケになってたんだ。
斎藤:どうにもなんねーの?金だろ?
藤堂:無理だよ。
沖田:ヒジヤンとこの会社、でかいもん。
原田:おれたちにできることって。
ちんもく
芹沢:いつ、それ。
才谷:え
芹沢:だれにも言えないなら、
いつこの街を出るのかもわかんないでしょ。
才谷:どういうこと。
乙女:今日って可能性だってある、、そゆこと?
先生:、、、うん。
音楽が消える。
また、とんびが鳴く
ひゅうるうるるうー
才谷:探さなきゃだめだ。ヒジヤン。
山南:、、でも、
才谷:だめだ。
井上:俺たちが動いたって
才谷:だめなんだって!
乙女:、、
才谷:たぶん、ひとには、
あきらめていいときと
あきらめちゃだめなときがあるんだ。
今は、、、、あきらめちゃだめな時だ。
全員考える。
才谷:、、、行こう皆。
全員:(うなづく)
芹沢:才谷!作戦名!
才谷:作戦名、えっと、、みんなでヒジヤン探しだし大作戦!
全員:なげえよ!
音楽(「青春」ハイロウズ)。照明が変わる
才谷:よし、手分けしよう
乙女:携帯ある人!あたしある!
沖田、山南、芹沢、手をあげる
才谷:乙女さんは土方くんの家を見てきて
乙女:わかった!
芹沢:あたしらは連携取って町内を東から西に探す!
平間、野口、平山は国道より上。楠、荒木田、新見、伊東は国道より下!
芹沢派:わかった!!
山南:じゃあおれらは南北にわたる道をしらみつぶし!行くぞ藤堂、井上!
藤堂&井上:おし!
沖田:俺たちはヒジヤンが行きそうな場所を当たる!
桂子:なにかあったら学校に連絡して!
先生ちょっとやることがあるから
才谷:よし!位置について!
全員整列。
榎本はしりこむ
榎本:ちょっとまてえ!
西郷、太鼓をならす。
どおおおおん
黒田、榎本。
全員:なんだよおお
西郷:まてええ!!
芹沢:止めてもむだだから!
黒田:だれも止めるとはいっとらん!
西郷:約束がある!
全員:約束?
仁八:おい!土方なら裏山にさっき
才谷:じゃあそう遠くへはいってない!
タケ:龍馬!
坂本:おうよ!
タケ:わんわんわわん
坂本:おっけー!土方の匂いを探すんだな!
芹沢:歳をとると動物とはなせるようになるの?
仁八:土方のジャージは?
乙女:近藤くんお願い
近藤:こっち!
黒田:約束がある!
西郷:高校生に出くわしても手は出さないこと!
全員:わかった!
皆、走り出す。
全員:口々に。おおい!おおい!
全員、ところせましと舞台をかけまわる。
沖田:いた?
芹沢:いない!
才谷:まずい、暗くなってきた。
榎本:これ、懐中電灯。
別の場所
乙女:家、みてきた。
芹沢:どうだった?
乙女:ピンポン押しても誰もでない。
別の場所
沖田:もしもし先生?見つかった?まだ?
原田:まずい、日暮れてきた!
西郷:おいいたか!
斎藤:いねえ!
黒田:懐中電灯!
別の場所
才谷:ヒジヤンをさがせ!
全員:おおおお!!!!
全員、懐中電灯を点灯させる。
じょじょに暗くなる舞台。
真ん中に乙女。
乙女:みんな、一生懸命、まちじゅうを探した。
いろんな人が手伝ってくれて、
商店のおじさんや、居酒屋のママや、じーちゃんばーちゃん。
いろんな人が見かけたら教えるって約束してくれた。
でも、どんどん暗くなって。
16■土方発見
乙女:、、、朝になる。
野口:、、もうだめかも。
才谷:あきらめたらだめだって
斎藤:もう行ったんかもしれん
才谷:だめだって!あきらめたらおしまいなんだから!
西郷:終わりだ。
才谷:先生!
黒田:父兄には、先生たちから連絡いれておく。
才谷:まだみつかってないじゃん
おい、かえるのかよ!
きょうのがしたら、会えなくなるかもしんないんだから!
せめて、最後まで!
ともだちなんだろ!?
ともだちなら、あきらめたらだめだって!
一人、二人とかえっていく。
才谷:ちくしょー。ちくしょう。
坂本:おい!わん!
沖田:あっちから誰かくる。
才谷:どこ?
芹沢:よく見えない。
土方登場
全員:ひじかただああああ!!
土方:なにしてんのおまえら。
乙女:なにって!
才谷:どこにいたの
土方:走ってきたんだよ。
なんもチャリでいけばいいだろ。
芹沢:それじゃだめなんでしょ。
土方:なんかな。走らなくちゃ。自分の足で。って思って。
芹沢:どうだった?
土方:だめ。この街すら出られない。
乙女:あたりまえじゃん。
土方:夜、空けてきちゃうから戻ってきた。
沖田:なんで
土方:だって怒られるじゃん。
沖田:かっこわりー
土方:けどおれは、当たり前と思ってること、試しときたかったの。
自分の足でどこまで行けるか試しときたかったの。
あああ、かっこわりー
才谷:いや、かっこいいよ。
土方:才谷。
才谷:かっこいいって。
土方:梅太郎。副委員長、おまえに譲るわ。
原田:ああ、そういや、ひじやん、副委員長だったな。
近藤:そうなのか
斎藤:全然働かないから忘れてた。
乙女:いつ行くの?
土方:親父しだい。
全員:、、、
土方:あおーげばーとーとしーっつって。歌いたかったな。一緒に。
朝焼け
乙女:朝焼け。
土方:おお。
全員:すげー
土方:やっぱ嫌いになれねーや。
芹沢:しかたないよ。育ったとこだもん。
乙女:セリポン、ひじやん。
土方&芹沢:その呼び方やめれ。
才谷:じゃ、今日、プレ卒業式。
土方:なんだそのプレオープン大売り出しみたいの。
才谷:あおーげばーとおーとしー♪
土方:おいやめろこっぱずかしい
才谷:まがーちのー♪
芹沢:なにさ「まがち」って
才谷:あれ?なに?
乙女:わがし
タケ:ああ和菓子。
仁八:お茶菓子か
坂本:ちがうだろ
沖田:茶菓子のー
原田&斎藤:あんーっつて。
土方:なんか甘ったるい歌になってきた
先生登場
西郷:ほらちゃんとやらんか。
土方:せんせー
桂子:はい在校生ー女子ー。
女子12年:仰げば尊しー、我が師の恩ー、
榎本:在校生ー男子ー。
男子12年:教えの庭にもー、はや幾年ー
黒田:はい全員ー
全員、歌をうたう。音楽、 音楽「仰げば尊し」かぶさってくる
思えば、いととしー、この年月ー
今日こそー、わかーれめ、、、、
桂子:天下の中学3年生、土方歳男くん。
土方:、、、はい。
桂子:はい。
土方:これ、、
桂子:手書きだけど。つくってきたの
手書きの卒業証書
土方:、、いってきます。
桂子:行ってらっしゃい。
土方:絶対、かえってくるから。
絶対、かえってくるから。
音楽あがり、朝焼けから青空、鮮やかに広がり、暗
17■ラスト
暗の中、声がする。
才谷:そして4月になり、僕は高校に入った。みんなバラバラになった。3年になって、今度は大学受験をして、そしてまたあの季節になった。中学の友達にはほとんど会ってない。今日、変な夢を見た。ひどくなつかしいような
群唱が聞こえてくる。
群唱:我々は、転んでも転んでも倒れても倒れても何度でも何度でも何度でも
音楽が聞こえてくる。
丘の上に、体育座りの才谷の影。
その下にうごめく、
たくさんの人間や旗、武器、あらゆる道具。
才谷:僕は誰かを探していて。
誰かは僕を呼んでいて。
どこかから呼ばれる
芹沢:さいたにー
先生がた:才谷くんー
近藤一派(土方以外):さいたにー
乙女:うめたろうくん
才谷:あ。
土方:うめたろおおお!!
才谷立ち上がる。
桜、舞散る
<了>