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馬花 130 HUMAN PEOPLE HEIWA PEACE 3年1組

「ナオト!」
「ああ、アロヤ。イルネも来てくれたのか」
「見せろ」
「すまない」
「弾は残ってないな」
「ああ」

医師のイルネが治療を開始して1時間ばかり経過した

「よし、とりあえずこれで大丈夫だ」
「イルネ、ありがとう」
「ナオト、何があったんだ」
アロヤが尋ねる

久々に男3人が顔を合わせた
旧友の2人の顔を交互に視線したら、俺はやはり人間であるという忘れかけていた当たり前を思い出した

「俺はこのEMERALD山である熊と出会った。ハミルといって人間の言葉を話す」
「人間の言葉だと。本当か」
「ああ、アレは10月9日だ。2ヶ月半くらいか。俺とハミルは共に生活をしていた」
「熊と生活していたのか」
「そうだ」
「おもしろそうだな」
嘘みたいな話でも純粋なアロヤは否定をしないし、寧ろ好奇心を焚きおこした

「アイツは食料を獲りに出て、帰りが遅いから俺は様子を見に行ったんだ。発見したんだが、ハミルはよく分からない連中に運ばれているところだった。耳のあたりから出血していたから、撃たれたのかもしれない。俺は助けようと向かっていったが、このザマだ」
「よく分からない連中?」
「もしかしたら」
イルネが何か気付いたように白衣を脱ぎながら口を開いた
「HPHPかもしれない」
「HPHP?」
「ああ、一度俺はその組織に呼ばれたことがあるんだ。中の人間が怪我をしたとかでな。猛獣に噛まれたような傷だったな。怪しいとは思ったが、医師として目の前に負傷した人間がいる以上、俺は治療をした。・・・お前たちには言うが、報酬はべらぼうに高くて、その代わり口外しないように言われた。この辺りからそう遠くないはずだ」
「大丈夫なのか話して、イルネ」
ナオトが心配そうに見つめた
「ああ、俺は報酬を受け取っていない」

アロヤが微笑を浮かべながら立ち上がった
「俺が行く」

助ければいいんだろ

・・・・

「痛めつけてやりなさい!」
監督が命令した
「そうすれば、痛いやら、やめろやら喋るでしょう」
「しかし監督、余計頑なになるかもしれません。どうでしょう、熊が話す気になるまで待ったほうがいいのではないでしょうか」
「私に逆らうのですか!ラララさん!ええ、もういいです!ルルル!アイツを連れて来なさい!」
ルルルはラララの方を見て相談を求めたが、ラララの視線は熊に向いていてコンタクトを取ることができなかった

「はい、わかりました」
監督の命に応じて渋々トシミを連れて来た

「さあ!」

クマとライオンですよ!

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