一人一人が見守りの当事者に。地域全体で子どもを見守る社会を目指した新キッズスマホ「Hamic MIELS(はみっく ミエルス)」とは?
先日、Hameeでは新商品「Hamic MIELS(はみっく ミエルス)」を発表し、一般発売に先駆けてクラウドファンディングを実施する旨を皆さまにお知らせしました。
Hamicといえば、2021年2月からキッズスマホ「Hamic POCKET(はみっくポケット)」を発売し、デジタルと現実の両面で子どもたちの見守りをサポートしてきました。
今回発表した新商品はHamic POCKETと何が違うのか。なぜクラウドファンディングを実施するのか。そして、Hamic製品の開発を通して何を実現したいのか。Hamic Project(以下、HamicPJ)メンバーであり、防犯ジャーナリストとしても活動する河合 成樹さんにインタビューを実施しました。
「子どもを守りたい」がきっかけで防犯の専門家に
―よろしくお願いします!まずは、河合さんのことを教えてください。
河:Mr.ハミックことHamicPJの河合です。普段の業務は、事業推進やマーケティングがメインとなります。事業構想、コンセプトワーク、新機能や新サービス開発、EC管理など、新規事業としてやるべきことをなんでもやる「なんでも屋」って感じです。
一方でライフワークとして防犯ジャーナリストもやっています。あらゆる犯罪被害が世の中からなくなるよう、「防犯」のテーマでメディアに出させてもらったり講演させていただいたり、啓蒙活動をしています。
HamicPJもそこが一つの大きなテーマなので、防犯ジャーナリストとしての知見を活かしていますし、逆にHamicPJからのフィードバックを自身のライフワークに活かしています。
ー防犯に興味を持ったきっかけは?
河:娘が生まれてから考え方が大きく変わりました。正直それまでは防犯について深く考えることはなく、本当に自分本位なのですが、この子が大きくなって成長していくことを考えたら、世の中には心配な事がすごいたくさんあるなと感じるようになりました。
例えば、女性に対する性犯罪などをみると、被害届数に対して実際の被害件数はその何倍にもなっていたりする。
世の中の不都合な真実というか、そういった知られていない部分によく目が行くようになりました。私たちが気付いていない、もしくは目を逸らしている、多くの人が悲しい目に遭っている現状があります。
でも、身近なテーマなはずなのに、専門家はそこまで多くない。時代はどんどんデジタル化し、犯罪の手口も巧妙化・多様化しています。逆に守る仕組みもデジタル技術を活用しなきゃいけないのですが、そこの領域に詳しい専門家は意外と少ない。それならば自分がやろうと考えました。
それが、Hamicの事業に生かされています。父親として子どもに注ぐ愛情が仕事に生かせるというのは、当事者としての目線を持てますし、仕事に情熱を捧げられるんですよね。
歳には勝てない時もありますけど、少々のことでは倒れないですし、倒れるときは前のめりで!の意気込みで事業に向き合っています。
この子が大きくなる時に、安心できる社会をつくっていきたい。ひいては日本全国の子どもたちが健やかに暮らしていけるように、社会にインパクトを与えていくのが僕たちの仕事だと思っています。
見守り端末の課題「電池が切れたら見守り出来ない」に対応
―では、新商品「Hamic MIELS」について教えてください。これまで販売していた「Hamic POCKET」と何が違うのでしょうか。
河:Hamic POCEKTだけではなく、従来のキッズケータイやキッズスマホ、GPS端末の多くは「電池が切れたら見守りが出来ない」という共通課題がありました。
子どもは充電なんてしませんし、親御さんが気を付けていても、ついつい忘れてしまうことがある。そうすると、いざ大事な場面で使えず、端末の位置情報が把握できないという事態になりかねません。
その点、「Hamic MIELS」は、電池が切れても電波を発信し続ける機械が内蔵されています。Bluetoothの仕組みを使っており、低消費電力なので、バッテリーがなくても一定期間電波を発信し続けることができます。
じゃあ、その電波をどうやって受信するのか。そこを可能にするのが、見守りサービスを提供する株式会社otta(オッタ)と共同開発した「MIELS(ミエルス)システム」です。
「MIELSシステム」とは、従来のように親が子供を見守るだけではなく、地域全体で子どもを見守る新しい仕組みです。「Hamic MIELS」端末同士での見守りや見守り専用アプリをインストールした地域住民参加型の見守りが可能で、周囲の利用者が増えれば増えるほど見守りがより強固になっていきます。
さらに、ottaのサービスを導入する自治体では、公共施設や地域のタクシーでも接触情報や通過情報が記録されるので、街全体で子どもたちを見守ることが可能となります。
なので、たとえ本人が持つ「Hamic MIELS」の充電が切れたとしても、同じ「Hamic MIELS」を持つ子どもたちやアプリを自身のスマホにインスト―ルしている地域住民とすれ違ったり、該当の公共施設を通過した際に、該当端末の電波を拾って位置情報を検知することができます。
―普段の利用はもちろん、事件や事故の発生時にも役立ちそうですね。
河:例えば、子どもが行方不明になってしまった際、捜索する全員のスマホに「見守り人アプリ(otta社提供)」をインストールすれば、目視で確認できなくとも、端末の近くを通れば居場所を検知できます。
こうした仕組みを活用することで、昨今の痛ましい事件や事故を早期に救えるチャンスを増やすことはできるんじゃないかと考えています。
ー心強い反面、居場所が見ず知らずの人に知られるのは恐い気がします。
河:もちろんそこは個人情報が他人に渡らないような仕組みにしています。端末情報を検知したとしても、検知する側はその人物の情報が一切分かりません。システム管理側と端末使用者の子どもの親だけが把握できる仕組みなので、安心してご利用いただけます。
―それなら安心ですね。その他、商品の特長はありますか?
河:端末に付いている防犯ブザーの機能もパワーアップしました。これまでは防犯ブザーの紐を引くと大音量のアラームが鳴り、保護者のスマホにGPS情報を通知するという機能だったのですが、「Hamic MIELS」は、そこに録音機能をプラスしました。防犯ブザー作動後の約20秒間、周囲の様子が録音されて保護者のスマホに届くようになっています。
防犯ブザー作動の通知が届いた時、親御さんからすると周囲の状況が分からないっていうのがとても不安なんですよね。子どもが間違って作動させてしまうこともよくありますし。録音データだけで完全に判断はできませんが、「これは本当に危険な状況だな」と、今までよりも状況判断がしやすくなると思います。
大人と同じiFaceケースで子どもが持ちたくなるデザインに
―端末ケースも「Hamic POCKET」と比べて、少し落ち着いたオシャレな色合いになりましたね。
河:キッズスマホって、子どもが心配だから親が持たせるというのが一般的かと思うんですが、子ども自身が「持ちたい」「使いたい」「これ欲しい」と思えるものなのか?っていう視点が意外と重要なんです。
子どもが肌身離さず持ち歩きたいものじゃないと、外出時に家に置いて行っちゃうんです。この事実は社会的にも保護者の方々にも意外に認識されていないんじゃないかな、と思います。
「Hamic POCKET」がスマホデビュー前の子どものためのプレスマホだとしたら、「Hamic MIELS」は子どものためのファーストスマホです。憧れのスマホが欲しいと子どもが思った時に、最初にこの「Hamic MIELS」を思い描いてもらいたいという願いがあって、デザインやケースの色など、子どもっぽくならないようにしています。
子どもは大人と同じものを使いたいと思うので、安全な見守りネットワークの中でそれが実現できるよう突き詰めてつくりました。
その中の一つとして、パパやママ、お兄ちゃんやお姉ちゃんが使っているかもしれない「iFace(アイフェイス)」という、自社の象徴的なスマホケースブランドを採用しています。ちなみに、カラー展開は「iFace First Class」のくすみカラーシリーズと同じです。
子どもっぽいものをあまり持たせたくないという親御さんもいらっしゃると思うので、そういう方たちにとっても喜んでいただけるものなんじゃないかと思います。同じiFaceアイテムで親子コーディネートも楽しめますし。
最終的にお子さまが中学、高校と成長していく時に、「iFace」を使ってくれる流れになってくれたら最高に嬉しいなぁと思います。
目指す先は孤立ゼロの社会
ーHamicPJとして初めてクラウドファンディングに挑戦しました。狙いは?
河:ただの新商品発表ではなく、プロダクトに対する考え方や想いを皆さまにきちんとお伝えする場所をつくりたかったんです。
地域全体で子どもたちを見守る仕組みを実現するためには、多くの方のご協力が必要ですし、そういった意味で共感して応援してくださる人を一人でも増やしたいと考え、クラウドファンディングに挑戦しました。
「Hamic MIELS」は子どもたちを対象にしたプロダクトですが、見守りの仕組みって、子どもだけじゃなくて、高齢の方、障害を持った方など、社会的に立場が弱い人や社会で困っている人を助ける基盤になると思うんです。
そうすれば、最終的に社会から「孤立」する人をゼロにできる。そういった見守りを地域全体でやっていこうという気持ちになれば、行動が変わるんですよ。
例えば、すれ違う子どもたちに異常がないかとか、このエリアは見通しが悪く交通事故が起こりそうだから役所に電話しようとか、地域への自分の見方が具体的に変わります。
住民1人1人が見守りの当事者になることで地域全体が変わって、コミュニティが温かくなっていく。
「気をつけて帰んなよ」って直接声をかけられない世の中でも優しい眼差しで子どもたちを地域全体で見守る。そんな社会になってほしい。そういった基盤をつくるために、みなさんの力を貸していただきたいと思っています。
ーHamic PJの今後の展望を教えてください。
河:HamicPJとしては子どもだけじゃなくて、社会が抱える「孤立」をどう無くすかという課題に向き合いたいと考えています。家族、学校、職場、地域など、その中での「孤独」は本人が望んでなっている場合もあるかもしれませんが、「孤立」は決して望んだものじゃないんです。
本当は周りと「仲良くしたい」「つながっていたい」「コミュニケーションをとりたい」と思っているのに、周囲と分断されて心理的安全性が低い状態、それが「孤立」なんです。それを社会からなくしていきたい。
なので大きく言うと、HamicPJは人が生まれてから死ぬまで、生涯の時間を孤立から回避させるためのプロジェクトと考えています。
人が生まれて成長して老成していくサイクルの中で、どんどんサービスやプロダクトを生み出し進化させて、一人でも多くの人が幸せに暮らせる社会をつくっていきたいです。
ー最後に一言、お願いします。
河:見守り機能を突き詰め、子どもたちにもちゃんと使いたいと思ってもらえる製品ができたと思います。端末からソフトウェアの設計まで自分たちで心を込めて作ったので、まずは手に使っていただき、応援していただけると嬉しいです。
直接購入されなくても、見守り人アプリをご自身のスマホにインストールするだけでも見守りの一助になりますし、1人1人が見守りの気持ちを持ち、近所を歩く子どもたちのことを少しでも気に留めてもらえるようになったら、世の中が今日よりちょっぴりよくなると思います。
子どもたちが安心して暮らせる社会の実現に向けて、ご協力よろしくお願いします。
編集後記
筆者自身も昨年子どもが生まれ、目を覆いたくなるような事件や事故のニュースに触れるたび、なんとしてもこの子を守らなければという強い感情に駆られます。
親が気を付けるのは大前提ですが、目が行き届かないところで地域の誰かがそっと優しく子どもたちを見守ってくれるなら。少しでも見守りの気持ちを持ってくれたら。どんなに暮らしやすい世界になるだろうと感じました。
その第一歩として開発された「Hamic MIELS」が今度どう社会の中で活用されていくのか、Hamee社員としてだけではなく、子どもを持つ一人の親としても期待したいです。
クラウドランディングファンディングは2023年2月28日まで実施しています。みなさま、応援のほどよろしくお願いします!
■記事を書いた人
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