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ハムスタラボ
人間には計り知れない世界。
それは案外、身近な場所に存在する。
たとえば、京大附属図書館の書庫地下3階。
ここに小さなちいさな研究室がある。
これまでに、誰からも探されることのなかった本。それだけが集められた本棚。
読まれずに眠っている本と本の隙間に、
一匹のハムスターがいて、
ひっそりと人間の研究をしている。
彼はアンビエント国が日本へ送り込んだスパイ動物。
アンビエント国は、ハムスパイダーと掲げたプロジェクトで、スパイハムの開発に成功した。
成功したといっても、当初の予定は、
150匹のスパイハムを世に送り出す予定であった。ところが、実際に人間の言葉を理解できるようになったのはわずか1匹。
この貴重な1匹はハムタコスキーと名付けられた。(後にハムちゃん先生と呼ばれることとなる。)
前歯がUSB仕様になっており、あらゆらパソコンからデータを盗みとることのできる有能ハムだ。すばしっこく、ポケットサイズのハムスターは非常に重宝され、人間の産業スパイと世界を飛び回った。
日本への潜入を命じられ、京都にやってきた時、ハムタコスキーは少しずつ気づき始める。
自分は人間に操られていて、いまの生活は自分の意思で生きているものではないことに。
そして、寿命をとっくに過ぎているのに何故だかまだ生きている不思議に。
ほんの少しばかりの理性と知性をつけたハムタコスキーは、にんげんという生き物について考え始める。
人間というのは、"いま"というこの瞬間を生きることが苦手な生き物だ。
いつも、こころ、ここにあらず。
過去を引きずったり
未来の不安に囚われている。
人間って生きづらそうだなあ。
そう疑問に思ったハムタコスキーは、
人間の研究を始めた。
あらゆる最新機器を用いて、人間を暴こうとする脱スパイハムスターの物語。
どうぞお楽しみに....
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