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スパイをやめた日【後編】
「これからどうしていくんか知らんけど
困った時は鴨川デルタに来たらええわ。日中はいつもあの辺でランチしてるからな。」
カモは京都で最初の心強い知り合いとなった。
「こりゃまたご親切に本当にありがとうございました。あなたのお陰で見たことのない自由が手に入りそうです。」
御礼を告げたハムとカモは
近江舞子の浜辺で別れることにした。
( 鴨鍋になるなよ。また会おう。)
比叡山を目掛けて飛んでいくカモに
ハムは心の中でそうつぶやいた。
砂浜に1匹残されたハムタコスキーは
これからどうしていくか考える必要もなかった。人間の研究をすると決めていたのだ。
研究場所も候補があった。
スパイとして潜入する予定であった京大に
貴重なお宝が眠る図書館がある。
そこで研究したいと考えていた。
京都に戻らなくっちゃ。
日が暮れそうであったので、ハムタコスキーは急いで戻る方法を考えた。あたりを見渡すと浜辺にはいろんなものが打ち上げられている。
その中からボートになりそうなものを探した。
ハムタコスキーはブロッコリーを手に取った。
こりゃよく水に浮きそうだなあ。
疏水の流れに乗れば30分程度で京都に着くだろう。
さあ頼むぞマイブロッコリー!
この野菜の水を弾く力を信じ
命をあずけることにした。
こうしてハムを乗せたブロッコリーは
琵琶湖疏水の流れに乗り
京都に向かって出発したのである。