どうしたロコンド!?下方修正の原因はヒカル砲の反動減? ~その2~

 ざっくり決算書講座です。前回は3Qが対前年マイナスになっているところまで分析したので、今回はその内容を深堀します。

1.ロコンドの3Q対前年比

 第3四半期減益の理由は、ヒカル砲がなくなったからでしょうか?ツリーで分解してみます。対前年の増減は白字で書いているので、そちらを中心にご覧ください。

0206ロコンドツリー

 まずは営業利益ですが、▲4億円とマイナスになっています。
営業利益は、限界利益と固定費に分かれます。


 ここで、少し用語の補足説明をします。
 この限界利益は、取扱高といわれる取引の総額から、変動費を引いた利益です。
 変動費とは、取扱高に比例する費用で、ロコンドの場合は、物流関連に関する変動費、広告宣伝費などがあります。広告宣伝費は、主にユーチューバーに支払うインセンティブ、売上が上がった分に比例する報酬です。
 また、(クリック)固定費は、取扱高に比例しない費用で、賃料や人件費等があります。

 では改めてツリー分析に戻ると、限界利益が▲2億、(クリック)固定費も+ 2億円と去年よりも増加していますので、限界利益減少、固定費増加の両方が営業利益悪化の原因です。


 限界利益は、取扱高と、限界利益率の2つに分けることができます。取扱高とは、ECサイトでの取引額です。売上高は手数料が計上されます。
 補足すると、ゾゾダウンなども同様で、ECサイトは
・取引額である取扱高
・販売手数料収入である売上高
とを分けているんですね。例えば、ロコンドのサイト上で10,000円の靴が売れたとします。この時、取扱高は10,000円です。販売手数料が10%とすると、1,000円が売上高となります。ECサイトとしてはサイト上での売買が活発になると成長するので、売上高よりも取扱高を重要視するケースが多いです。

 この取扱高ほぼ前年並みと言う水準です。ヒカル砲がなくなっても前年並みということは、ヒカル砲が減益の要因ではないということになります。
 ただし限界利益率が− 2.1%と大きく下がっています。また固定費の中身を見てみると、賃料がプラスの1億円と大きく増加していますね。つまり第3四半期減益の理由は、ヒカル砲の反動減ではなく、限界利益率低下と賃料増加による固定費増加です。

2.限界利益率、固定費の中身

 中身を見てみると、倉庫関連の変動費率と固定費が増加しています。

0206ロコンド倉庫

 倉庫関連の変動比率ですが、昨年の19.8%から今期は20.6%に増加しています。限界利益率は変動比率の裏返しなので、変動費率が上がると限界利益率も下がります。この倉庫関連のの変動費率の増加が、限界利益率の低下の要因です。

 さらに倉庫面積ですが、去年の約5万平米に比べると、今期は約7万平米と、+35.6%増加しています。またこれに伴う費用と言うのも約+1億円増加しています。
 また、出荷数は対前年+44%と増加しておりますが、それでも費用増が吸収できないって言う状況になります。売上は伸びているが事業としては赤字の段階、といえるでしょう。

3.EC事業の将来性

 つまり、事業としてみると、EC事業よりも、プラットフォーム事業に課題があると言うことです。では、EC事業はどうでしょうか?改めて、EC事業の肝である取扱高を見ていきます。

0206ロコンド取扱高

                                  
 結論からいうと、取扱高はヒカル砲の反動減は広告効果で代替されています。

 取扱高の推移を、グラフでみてみます。去年の4Qから今年の2Qにかけては下がってきていますが、2Qから3Qでは回復をしてますね。

 また、取扱高の前年比を見てみても、3Qはほぼ前年並みです。これは、昨年のヒカル砲分を、その広告効果が発現して取り返していると見ることもできますが、今後さらに伸びるかは、不透明ということもできます。
 つまり、今後どう伸ばしていくか、が重要な課題といえるでしょう。インフルエンサーマーケティングでは一定の成果を上げたロコンドですが、毎年、お祭り騒ぎのような成果が上げるのは相当に困難に思えるので、特殊効果が一巡した後の事業成長の方策に期待したいところです。

今回の内容はYoutubeでも公開しているので、そちらも参照ください。



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