「できることが増える」とは何か?
もっとスキルを磨きたいけど、どうして良いか分からない…
今の自分の能力ではまだまだ足りない気がして焦る…
キャリアの相談を受ける中でよく頂くお悩みです。かくいう僕も、そんな風に焦っていた時期がありました。
これまでの記事では、ゴールの描き方やゴールを描く重要性を度々お伝えしてきましたが、今回はどうしたらできることを増やせるのか、そもそもできることとはなんなのか?このようなことについて考えてみたいと思います。
ゴールをありありと描けるかも実力によって変わる
いきなりちょっと酷な話かもしれませんが、そもそも描けるゴールにはその人の実力が反映されています。
どのくらいのゴールを臨場感を持って描けるか、選択肢としてどんなゴールが出せるかは今その人ができることにかかっているのです。
サッカー少年を例に考えてみましょう。
U−15の日本代表選手として活躍するA君と、友達と趣味程度でサッカーをしているレベルのB君が同じ夢を描くとします。どちらもサッカー日本代表選手としてプレイする夢を描いています。
この場合、どちらの夢の方がありありとしたイメージを伴ってゴールを描けているでしょうか?
おそらく、A君の方です。A君はB君よりかなり鮮明に日本代表としてプレイする自分の様子やその時までの練習、心理的な状態をイメージできているでしょう。
このように、その人が持つ実力によって描けるゴールの臨場感も変わってきます。実際のところ、できることによって選択肢として浮かんでくることもかなり変わってくるはずです。
ゴールは描くことも大事ですが同じくらいできることを増やしていくことも大切ということです。
できることが増えること=資格を取ること?
できることを増やそうという話をさせていただくと、「こんな資格を取ったら大丈夫ですか?」と聞いてくる方が少なからずいます。
たしかに、「資格を増やす=できることが増える」というのはわかりやすい構図です。資格を取得することで安心もできるはずです。
しかし、それでは視点がずれていることが多いです。勘違いしてしまいがちですが、スキルが増えることとできることが増えることは違います。
※念のため、誤解のないようにお伝えしておきますが資格取得を否定しているわけではありません。
例えば「僕、ロジカルシンキング使えます」とか「〇〇3級持ってます」という言葉を聞くと僕は違和感を覚えます。なんだかずれているというか、物足りないのです。
このなんだかずれている感じを直感的なイメージで表すなら、野球少年が「バッターとして活躍したいなと思って、最近は上腕二頭筋を鍛えることに集中しています」と言っているような感覚です。歯痒さが伝わるでしょうか。
たしかに専門性の高い仕事(弁護士や医者など)に就くには資格は必要ですが、そういったものでも資格さえ取ればいいわけではありません。
資格はある問題を解決するための必要条件にはなりえても十分条件にはなり得ないことを理解するべきです。
では、スキルや資格ではなく”できること”が増えるとは一体どういうことなんでしょうか?
できること(can)とは何か?
簡潔にいうと、できることとは”どういう問題(イシュー)になら答えられるか”ということです。
そもそもどうしてcanが求められるかといえば、解決しなければならない問題があるからです。先ほどの野球少年の話でいえば、腕力は単に必要な条件の一つであって、バッターとして活躍出来るかどうか、ということが問題なわけです。だから「上腕二頭筋を鍛えてます」では、なんだかずれている。
現実の仕事をもとに考えてみましょう。職場で目の前に突きつけられる課題は資格試験のように整然とした状態になっているでしょうか?
おそらくそうではないはずです。
”今こんな状態にあるんだけれど、どうにかこういう状態まで持っていってほしい”といったものではないでしょうか。
それに対して「もっとロジカルシンキングを鍛えてきます」だけでは不十分なのです。
僕たちが現実に向き合う問題というのは、単一のスキルだけを伸ばせばどうにかなるものではなく、自分が持ついろいろなスキルや経験の複合で解決していくものです。
なお"問題を解決できる”のであれば、たとえば自分が中心となっていろんな仲間の力も使いながらなら出来るというのでもOKです。何も一人で全てを完結させる必要はありません。
できることが増えるというのは、解決しなければならない問題というのがまずあって、それを解決する手立てがあり、その手立てを講じて実際に解決できるということなのです。
できることを増やすには
冒頭で、実力によってゴールをありありと描けるかが変わる、ということをお伝えしました。もちろん、出来ることが増えれば描ける夢の幅自体も広がります。
しかし、その後の話からなんだかできることを増やすのがすごく難しいことのように思えてしまったかもしれません。が、もちろんできることを増やす方法はあります。
canを増やすには、自分が今想像し得る中で一番現状の外側にゴールを置くことです。
現状の外のゴールというのは、現状を変化させなければ達成できず、達成方法もわからないけれど、達成できた自分の姿はありありとイメージできるゴールのことです。
長くてちょっとわかりにくいですね。具体例で考えてみます。一番はじめに出てきたサッカー少年のB君を思い出してください。
B君にはA君のように日本代表の自分をありありと想像するのは難しいかもしれません。ですが「地元のサッカークラブでエースを張る自分」なら鮮明にイメージできるかもしれません。公園でサッカーをしている現状の自分を変える必要があるので、彼にとってこのゴールは十分現状の外でもあります。
「今の自分の延長線上にはなく、どうやったら達成出来るのかも分からない。でも達成した時の姿はイメージ出来る」という難易度のゴールを描く。
それができれば「そうなるにはどうしたら良いのだろう?」「出来ている人の行動は自分と何が違うんだろう?」といった疑問が浮かんできます。言い換えれば、このような疑問が浮かんでくるくらいの難易度が良いゴール設定だとも言えます。
自分の中で繰り返される問いが変われば、一気に行動も変わっていきます。そうすれば、やがてできることも増えて行くというわけです。
ありたい姿にcanが連れていく、そしてcanに導かれた先でまた別なありたい姿が見えてくるはずです。
ざっくりまとめ
描くゴールにはcanが反映される。canとはどんな問題(イシュー、ミッション)なら解決できるかということ。canを増やすには現状の外にゴールを起き続けることが必要。
ライター紹介
このnoteは、浜岡範光さんが口頭で語った内容を大学生ライターのりょーやが編集し書き起こししてお届けしていきます。
浜岡さんのお伝えしたいことがみなさんにしっかり伝わるよう頑張ります!
僕自身のnoteではかなりラフに自分の考え事や創作を発信しておりますのでよければそちらもぜひ。
読者のみなさんからの質問等にはもちろん浜岡さんがお答えします。