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偶然を味方につけられるかを決めること

自分の人生は計画的に進めたい、と考えている方はけっこう多いんじゃないでしょうか?

ですが、タイトル通り、キャリアの8割は偶然、たまたま、巡り合わせで決まります。人生はまさかの連続なのです。だいたいまさかです。

これは僕が個人的に提唱していることではなく、スタンフォードの先生が20年くらい前に発表したものです。

その名も計画的偶発性理論と言います。

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計画的偶発性理論とは?**

1999年、スタンフォードのグランボルツ教授はこんなキャリア理論を発表しました。

綿密にキャリアを計画したってね、そもそもキャリアの8割は偶発的な要素によって決まるんだから仕方ないよという一見身も蓋もないような内容でした。

当時のグランボルツ先生の周りにいた人たちはどう思ったんでしょうね。それ言っちゃいますか先生!という感じだったのではないかと妄想しております。

面白いですよね。それはさておき。

でも実際、これはみなさんの実感にも近いんじゃないでしょうか。5年前に今の仕事をしていることや今の状況にあることを予測できていた人は割と少ないと思います。

なぜこんなことになるのかと言えば、僕らのキャリアは他者からの評価によって決まるものですし、僕らの考え方や働き方は偶然知り合った人やたまたま起こった出来事にけっこう影響されるからです。小さな偶然のできごとがまた小さな偶然を手繰り寄せるので、気づいたら思っていたのとかなり違う所にいたりするんですね。

そういうわけで、希望通りのキャリアを歩めるのは言ってしまえば運の良い人だけだということにもなります。今ある状況の8割は運だと思うことで救われる人もいるかも知れませんね。


キャリアデザインとキャリアドリフト

とはいえ、やっぱり自分の人生は自分の意思である程度決めたいのが人間の性ですよね。できることなら希望通りに歩んでいきたいし、少なくとも良いことに巡り会う確率を上げておきたいわけです。

ここで、大事な考え方のシフトチェンジが必要となってきます。ここからが計画的偶発性理論の本筋の主張なのですが、

それは、

キャリアは偶然に左右されるものだと割り切って、それでもなるべく良い偶然に出会えるよう努めようという考え方なんです。

実は、ひと昔前ならキャリアを考える時に偶然を考慮する必要はそんなになかったんです。今よりはるかに将来の見通しが立てやすかったからですね。

たとえば、終身雇用はふつうでしたし、誰でもいつかは結婚して死ぬまで夫婦添い遂げるもんだという前提で人生設計をしてよかったわけです。300年くらい前なら生まれた段階で、家柄によって仕事も結婚相手もだいたい決まっていたはずです。

そういう社会の中では、具体的・計画的にキャリアを考えて正解だったわけです。キャリアデザインをするという考え方ですね。このような、具体的・計画的なキャリアの考え方においては、何歳になったらなになにをするというキャリアプランを構築することが特徴となります。

ところが、現代ではそうも行きません。僕らは10年前とは全く違う暮らしをし違う価値観を生きていますし、10年後の日常を予想できません。数多ある未来予測本はほとんど外れることでしょう。ぽっと出のネット企業が新たな無料サービスを作った途端に業界ごと全滅するビジネスがたくさん出てきたりしてしまうので。

未来は大雑把にも予想できない、ではどう考えていけばいいのか?

キャリアドリフトという考え方が必要になってきます。変化を受け入れ、柔軟に対応できるようあえてキャリアを細かく決めないというやり方です。なにも決めない、というのではないのでご注意を。

キャリアの8割は偶然で決まりますが、自分で決められることというのももちろんあるんです。意思で左右できる部分ですね。

それらを見ていきましょう。

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自分の意思で決められる2つのこと**

先ほど述べたように、私は20年後こうなるために10年後はこうなっていて、5年後にはこうなっていて、と具体的に決めてもほぼ上手く行きません。キャリアプランを立ててもほぼほぼ失敗します。あなたの能力や努力にはあまり関係ない要素のせいでです。

そう言われると、じゃあなにを頑張っても仕方がないし、時代の波に流され弄ばれるしかないんだとやさぐれたくなる気もします。

しかし、『シン・ニホン』を書いた安宅さんの言葉ですが、

未来のことについて考えることにまったく意味がないかと言えば、そうではない。「我々はどういう世界をつくりたいのか」「どういう世界を目指すのか」という問いかけには意味があります。我々の「意志」を問うているからです。

これは、まさしくその通りだと思います。

未来はわかりません。だから、目指すものにとらわれすぎる必要はありません。

しかし、目指すもののない歩みは彷徨っているのに過ぎません。

柔軟に対応するのと、諦めて流されるのは違います。人は意志によって、より良い偶然に出会う確率(運)を高めることができるんです。

キャリアの8割が偶然であっても、僕らには2割の決められることがあり、その2割が8割の偶然に影響を与えています。2割の決められることをしっかり考えられれば、僕らは運を高めることができると言っていいでしょう。

では、具体的に僕らはなにを自分で決められるのでしょうか?

2つあります。

1つ目は、「将来何をしたいか」ではなく「将来どうありたいか」ということ。

これを考える際にはちょっとしたコツがあります。

いきなり「自分が生涯かけてやりたいことは何だろう?」みたいに重く考えすぎないことです。

たとえば、25歳の方でしたら「30歳を迎えた時、どんな自分であれたら良い20代を過ごせたと言えるだろうか?」という風に考えてみます。

このような問いなら色々と浮かんでくるのではないかと思います。

2つ目は、今目の前にあることを何をもって自分にとって最高の結果とするかということ。

1つ目を受けて、では目の前のことに目を向けてみようかというのが2つ目ですね。


目標が過程の質を高める

キャリアのほとんどは偶然なので、目標や計画にはとらわれすぎないことが重要です。

前回お伝えした通り、そもそもキャリアというのはプロセスそのもの。あとで振り返ってから"あぁ、あれがあの時の自分に繋がってたんだな"とわかるだけなんです。

それと今回の話を組み合わせると、

キャリアは「遥か先にある何某(点)」ではなく「過程そのもの(線)」である。しかし、だからこそ「何を目指すか」が「過程の質」を左右する。

というわけです。

今目の前のことにどう臨むか決めておいてその姿勢を信じてみる。そして熱心に行動を続けて、あとで偶然チャンスが巡ってきたらここまで築いてきた地位などは捨てて乗っかるというのが僕の提案する考え方です。

やってみて違うと思ったらどんどん軌道修正すればいいんです。キャリアとは「轍」なので、チャレンジした分はリセットされず経験としてちゃんと残ります。大事なのはプロセス、経験です。

今目の前のことをやるかどうか決め、それを熱心にやるためのテクニックが先ほど上げた2つのことなんですね。

もう一度確認すると、

僕らが決められることは2つ。

①「将来何をしたいか」ではなく「将来どうありたいか」ということ。

②今目の前にあることを何をもって自分にとって最高の結果とするかということ。

です。この2つを矛盾なく考えることができれば、現在ともかく信じて進む方向と信じ続けておくためのモチベーションみたいなものが担保できます。

決めたら、一定期間は悩むことにわき目をふらず続けてみることが必要です。その先にチャンスが巡ってきた時に気づく力とそれをモノにする力が身についているはずです。


今回はこの二つをぜひ考えてみてください。


ざっくりまとめ

キャリアの8割は運。方向性は定めますが計画にとらわれ過ぎないようにしましょう。柔軟に変化に対応できるようになるためです。



次回はまた別な角度からキャリアについて語ります。充実したキャリアを歩むためのゴール設定について語るかと思いますのでお楽しみに!



ライター紹介

このnoteは、浜岡範光さんが口頭で語った内容を大学生ライターのりょーやが編集し書き起こししてお届けしていきます。チャンスをくださった浜岡さん、丸山修平さんには深く感謝しております。

浜岡さんのお伝えしたいことがみなさんにしっかり伝わるよう頑張ります!

僕自身のnoteではかなりラフに自分の考え事を発信しておりますのでよければそちらもぜひ。

読者のみなさんからの質問等にはもちろん浜岡さんがお答えします。



こちらの連載は、作家の卵で、今は大学生をやりながらライターをしているりょーやを応援するというプロジェクトでもあります。 みなさまからいただいたサポートは、彼が夢を叶えるために全額投資させて頂きます。 応援よろしくお願いします。