【横浜DeNA】2023年コーチングスタッフ発表!
横浜DeNAは11/1に2023年のコーチングスタッフを発表しました。
2022年の陣容と比較すると、担当の異動や追加の動きはありますが、退任するコーチが0人で、新任のコーチが1人になっていて、全体的には殆ど同じメンバーになっています。
このコーチングスタッフの目的や意図について考察してみました。
相川コーチが三浦監督の参謀役へ
1軍の大きな動きだと、2022年までヘッドコーチを務めていた青山コーチを巡回コーチへ配置転換し、代わりに相川バッテリーコーチにチーフ作戦担当を兼任させています。
青山コーチはラミレス監督時代の2018年からヘッドコーチを務めていて、三浦監督に代わってからも留任していました。
実に5年間ヘッドを任されていたので、それだけチーム内での評価が高かったということだと思いますが、来季からは1軍とファームをどちらもサポートする巡回コーチにまわります。
これは降格人事というよりも、田代コーチのように長年の指導経験を活かしてチーム全体を支えてほしいということでしょう。
青山コーチに代わって三浦監督の新しい参謀役となったのが、相川コーチです。肩書はチーフ作戦担当ということで、ヘッドコーチよりは権限は少ないですが、その分は三浦監督がまとめるということでしょう。
三浦監督と相川コーチは年齢も近く、現役時代はバッテリーを組んだこともある関係ですし、意思疎通は十分しやすいはずです。
今季の1軍の捕手併用は成功していましたし、相川コーチが作戦担当になったことで捕手視点での運用に変わり、攻守で良い影響が出ることを期待したいですね。
石井琢コーチが打撃専任は田中浩コーチへの信頼の表れか
去年、1軍のコーチングスタッフ発表で1番注目を集めていたのが、石井琢野手総合コーチでしたが、来季からは野手総合ではなくチーフ打撃コーチに変わりました。
これは石井琢コーチが走攻守万遍なく見れるという立場から、打撃だけしか見れない立場に狭まってしまったのではないか、という見方もできますが、おそらくそういったことではないでしょう。
今季のDeNAは得点力が大きく落ちてしまい、打線の繋がりを欠いていました。来季に優勝を目指すためには打撃のテコ入れが不可欠で、それには石井琢コーチの指導が必要です。
野手総合コーチだと全体を見ないといけないため、どうしても打撃に特化することはできず、そのせいで逆に石井琢コーチの持ち味が発揮しづらかった可能性があります。
しかし石井琢コーチは元々打撃指導に定評がありますし、ここはチームのウィークポイントでもある打撃をしっかり指導できるよう配置転換したと考えられます。
とはいえ守備走塁は問題ないのかというと、おそらく石井琢コーチは直接的な指導はしないもののサポート役にはまわるでしょう。
メインの指導は田中浩康内野守備走塁コーチが行うことになり、これは今季の田中浩康コーチの指導実績が評価されたと考えられます。
実際、森敬斗が1軍で守備で活躍できるようになりましたし、1塁のソトの守備指標がかなり改善していて、これには田中浩康コーチの影響もありそうです。
来季は森敬斗がレギュラーとして起用される可能性が高いですし、今季以上に森の守備力は重要になります。
田中浩康コーチには是非、DeNAの内野守備をリーグ上位のレベルまで上げて欲しいですね。
ファームにコーディネーター職を新設
ファームで大きな動きというと、来季からコーディネーター職を新設しています。このコーディネーターはプロ野球では聞きなれない言葉で、実際どういったことをするのかよく分からない人もいるでしょう。
他球団で既にコーディネーター職を設置しているところでは、以下のような役割になっています。
ロッテでは2022年にこのコーディネーター職を新設し、吉井理人コーチを充てています。
内容的にはチーム全体をまとめてフロントとも連携して方針を決めるという、かなり重要な役割だと考えられますし、実際この役職を経験した吉井理人コーチが、2023年から1軍監督に就任します。
なので単なる新しい役職ではなく、監督クラスに重要な役職と言えるでしょう。
このコーディネーター職に充てられたのが、今季ファームの総合コーチを務めた万永コーチと、プロ経験は無いものの動作解析の専門家として知見のある八木さんになります。
それぞれで野手育成と投手育成を担当し、この2人がチームの若手育成において重要な役割を担っていると言えます。
DeNAは2021年のドラフトで小園健太を1位指名し、今年のドラフトでは松尾 汐恩を1位指名しています。
高卒トップ級のバッテリーを2年連続で指名していることになり、この2人の育成は非常に重要になってくるでしょう。
ロッテも佐々木朗希を育成するために、今季吉井コーチをコーディネーターとして割り当てたのだと思いますし、実際テレビ番組で吉井コーチが話していた時に、自分1人で佐々木朗希の面倒を見ると公言しています。
まさに、将来のチームの柱となるバッテリーを育成するための役職で、ここがしっかり機能して小園と松尾の育成が成功することを期待したいですね!
柳田コーチを外野守備走塁へ
ファームの守備走塁は2021年から内野と外野を分けずに、1つの「守備走塁コーチ」として2人で担当してきました。
これが2023年からは一般的な「内野守備走塁コーチ」と「外野守備走塁コーチ」に分かれて、それぞれ1人ずつコーチが担当します。
その中で外野守備走塁コーチを任されるのが、柳田コーチです。
柳田コーチは現役時代は内野手登録で、外野手としての出場経験は殆どなく、この点が指導力に疑問を持たれていました。
ただ、2021年以降での外野手の守備走塁は悪くなったわけではなく、むしろ良くなっていると言えます。
具体的には、楠本・蝦名の守備力が改善して2022年には1軍のライトで併用できる形になっています。
この2人の活躍で打撃面ではオースティンの穴を埋めれなかったものの、守備面では大きなプラスにしています。
また、2022年の2軍は上記の蝦名と楠本が1軍メインで起用されたため、本来なら外野守備力が低下するところを、育成で獲得した村川と大橋の守備を安定化させています。
守備力に不安があった梶原についても、今季のセンターとライトの守備指標はプラスになっていますし、指名した選手たちの守備をまず改善できているのは大きいです。
更に野手転向したばかりの勝又をセンターで育成していて、現時点ではまだセンターをしっかり守れるほどの守備力はついてないものの、ライトはもう結構安定しています。
蝦名・楠本を1軍へ送りライトの守備指標を改善させ、さらに梶原と育成外野手3人の守備力を着実に上げることができていて、これには柳田コーチの指導の影響もあったでしょう。
こうした数値的なことだけでなく現場からの評判もとても良く、コメントが載った記事も出ています。
仁志ファーム監督からは「名コーチ」の域になっているとコメントが出ていますし、三原球団代表からは新しいことに取り組む姿勢を高く評価されています。
ここまで現場からの評価が高いなら、もはや現役時代の実績など関係なく、コーチとしての能力で評価できますし、球団としてもここまで熱心なコーチを手放すなど考えられないでしょう。
まさにこういう人が名コーチになれる素質を持っていると思いますし、柳田コーチが晴れて外野守備走塁コーチになったことで、来季はどのようにファームの若手が成長するか楽しみですね。
大村・藤田コーチを育成担当で野手強化
ファームの人事で育成担当のコーチを強化する動きもありました。
打撃コーチだった大村コーチを育成打撃コーチへ変更し、育成コーチだった藤田コーチを育成野手コーチに変更しています。
今年まで育成コーチは藤田さん1人でしたが、そこに新たに大村さんが打撃担当で加わる形ですね。
この配置は若手の育成強化であることが明白で、特に今年のドラフトでは上甲・鈴木蓮を育成で指名しています。
これによって育成野手は6人になり、彼らを含めて10代~20代前半の若手野手が増えています。
彼らに関してもしっかりと育て上げて、1軍へ送り込めるようにする必要がありますので、そこに技術指導として経験豊富な大村コーチと藤田コーチを担当させたということでしょう。
育成コーディネーターの新設、青山コーチを巡回コーチとして2軍も見れるようにしたこと、そして育成担当コーチの強化など、来季のファームコーチングスタッフは若手育成を非常に意識したものになっています。
メンバーはそこまで変化が無くても、ここまで若手育成を重視した配置になっているのは球団の育成への本気度の現れと言えますし、来季のファームは若手がどこまで成長してくるかが非常に注目どころです。
以上が2023年のコーチングスタッフについての自分なりの考察です。
個人的な感想としては、目的意識がかなりはっきりしていて、適材適所の配置だと思います。
何より2軍にコーディネーターが新設されたことでどういう効果が出るかがとても楽しみですし、期待しています。
こういう人事は現役時代の実績とか、固定観念に囚われがちな人が批判しやすいですが、人を変えれば良くなるというような簡単なものじゃないですし、むしろどうやって改善していくかを考えて取り組む方がずっと重要だと思います。
DeNAはコーチングスタッフについても能力を評価し、人を大事にする姿勢が出やすい球団だと思いますし、それが実を結ぶことを願っています。
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