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2022年・高卒ルーキー2軍打撃成績~全選手成績一覧~

2022年のファーム全日程終了時点での高卒ルーキー2軍成績一覧です。

昨年以前と比較した高卒ルーキー全体のまとめ

全体的な打席数減少

高卒ルーキーの個々の成績を評価する前に、全体的な今年の傾向について総括してみますと、例年と比べてかなり打席数が少なくなっていました。
今季2軍で200打席以上経験したのは池田(オリックス)のみで、次点が阪口(日本ハム)の191打席になります。
2021年では200打席以上の選手は9人いましたし、2020年は2軍の試合数が最大86試合という少なさの中でも10人いました。
各球団、高卒ルーキーには実戦経験を積ませるためにまとまった打席数を与えてきましたが、今年はそれができず異例の少なさとなっています。

原因として考えられるのが、コロナ禍によって育成計画が予定通り遂行できなかったことが考えられます。高卒ルーキー自身がコロナにならずとも、周りの選手に感染拡大した影響で試合自体が急に中止になることで、本来予定していた実戦経験の機会が大きく減少してしまったのでしょう。
来季は検査体制が緩和する方向で進んでいるようなので、今季ほどの急な試合中止は減少すると思われますが、今季の高卒ルーキーの育成には不便を感じる年になってしまいました。

100打席以上のOPS.600超え4名

高卒ルーキーが1年目の2軍成績で結果を残せたといえる目安は、OPS.600以上と想定しています。
これは過去の高卒でその後レギュラーを獲った選手の成績を踏まえてのことで、大抵の選手は1年目に2軍でOPS.600を超えています。
今季、100打席以上でそれに該当するのは池田(オリックス)・有薗(日本ハム)・滝澤(西武)・中川(阪神)の4名です。

池田 陵真(オリックス)

高卒ルーキー唯一の2軍200打席超えで、1人だけ突出して383打席も経験しました。
打率は.250を切っていますが、四球を沢山選べていることで出塁率が高く、本塁打など長打も多かったことでOPSが.600を超えました。
四球と長打が多いため、磨いていくことでスラッガータイプへと成長していく可能性があります。
守備では外野の両翼を守っていますが、どちらも指標はあまり良くなく、守備力の改善は2年目の課題になるでしょう。

有薗 直輝(日本ハム)

有薗も打率は.250を切っていてまだ粗さのある打撃になっていますが、長打力があって二塁打の本数が多いです。本塁打を量産できるようなスラッガーになる未来はまだ見えにくいですが、しっかり二塁打を量産できるような中距離型の打者として大成する可能性があります。
守備では今季サードで固定されていました。そのサードの守備力は1年目の選手としてはかなり安定していて、このままサードで固定して育成すれば守備面も期待できます。

滝澤 夏央(西武)

滝澤はファームだと118打席ですが、既に1軍で91打席も経験しているので合計だと200打席を超えます。この滝澤の1軍昇格はシーズン中に源田が怪我で登録抹消になってしまったことの影響で、高卒ルーキーの滝澤が1軍遊撃手に抜擢されました。
滝澤は1軍では打率.224 OPS.529の成績を残し、高卒ルーキーとして十分な結果と言えます。守備だと1軍でも2軍でも安定していて、チーム事情の急な抜擢にも関わらず十分な結果を残しました。
1年目からこれだけ結果を残せたので、来季以降は更に成長を期待できますし、早期に1軍でレギュラーを獲る可能性もあります。

中川 勇斗(阪神)

中川は108打席で全体的には少なめですが、高卒捕手の1年目は普通、試合に出るよりも守備練習など覚えることが多いので、この打席数はむしろ多い方です。
そしてその中で3割近い打率とOPS.800超えの結果を残しているのですから、現時点で相当将来が期待できる捕手と言えます。
守備面でも1年目としては安定してる方ですし、来季は球団が本腰入れて育成していく価値がある選手で、うまくいけば将来の正捕手にもなるでしょう。

彼ら4人は今年の高卒ルーキーで結果を残した方ですが、彼ら以上に今年アピールできていたのが、松川(ロッテ)です。

松川 虎生(ロッテ)

松川は高卒1年目としてはかなり異例の開幕1軍スタートで、シーズンの殆どを1軍で過ごしました。
なので2軍ではわずか2打席のみで、2軍成績から将来を予測するというのが難しい選手になります。
松川の場合、ロッテの他の主力野手が佐藤都ぐらいしかしっかりと結果を残せていなかったので、そうしたチーム事情もあってずっと1軍でした。
1軍では200打席以上ですが、打率1割台・OPS.400台と打撃での結果を残すことはできませんでした。守備面でもまだまだ課題は多く、実力で1軍に上がったというよりかは、将来性を見込んだ育成の意味が強かったと言えます。
1年目からこうして1軍で起用することが、これからの松川にとって吉と出るか凶と出るかわかりませんが、素材としてはドラフト1位でピカ1の捕手なはずですし、これから大成して欲しい選手です。

この他の主な高卒ルーキーたちについても寸評をまとめました。

阪口 樂(日本ハム)

1年目の打席数は多かったものの、打撃はまだまだ課題があります。三振数がかなり多いので、まずは2軍の投手の球をしっかり見極めることからで、徐々にステップアップしていけば良いでしょう。ライトの守備が良いので、守備からアピールしていける選手かもしれません。

粟飯原 龍之介(DeNA)

粗さが目立つ打撃ですが、終盤にホームランを良いペースで打てていて、打てる遊撃手として期待できる1年目でした。とはいえ粗さが目立ち、守備でもショートがやや難しいので、途中からセカンド専のような起用になっていて、今後も守備を磨く必要はあるでしょう。
うまくいけば二遊間守れて打撃が良い選手としてアピールできるので、来季は攻守で確実性を上げれると良いですね。

前田 銀治(楽天)

高卒1年目の2軍とは言え、OPS.300台で終わったのは結構厳しい結果でした。現時点ではまだ打撃が全く通用していないのと同様なので、どうやってプロの球を見極めていくかを考えて、時間をかけて育成するべきでしょう。
ただ、守備ではセンター・ライトを守りそこそこ良い結果を残せているので、守備のいいセンターを目指しつつ打撃も磨いていくのが良さそうです。

田村 俊介(広島)

打撃成績はあまり良くないですが、その中で三振がやや少なめなのがアピールポイントと言えそうです。うまくいけばバットコントロールが一気に改善されて、来年に打撃成績が急上昇する可能性もあるでしょう。
田村は主に両翼を守っていますが、ライトの守備が割と良くて一塁も守っているので、ユーティリティで打てる選手になると、アピールポイントになりそうです。

星野 真生(中日)

OPS.300台で打撃面はまだまだ課題があり、時間をかけて育成していく必要があります。長打か足を活かしたいところですが、そのどちらもあまりアピールできなかったので、来季は自分の長所をアピールして欲しいですね。
守備では二塁・三塁を守っていますが、まだ安定しているとは言い辛く、こちらも磨いていく必要があります。

吉野 創士(楽天)

高卒ドラ1外野手として注目を集めていましたが、1年目の2軍成績は正直ドラ1の片鱗が見られませんでした。OPS.600を切っていて、長打や足といった部分もあまりアピールできず、守備はセンターで育成しようとしてますが、まだ守備範囲が狭く肩もアピールできていません。
元々の素材はこんなものではないはずなので、早く自分に合った打撃や守備を身に着けて、将来的に1軍でレギュラーを獲れるような選手になる必要があります。


この他の選手だと、まだ2軍での打席数自体が少なく、結果もはっきりと残せている状態ではないので、来季の台頭に期待ですね。
1年目の2軍成績が良いと、その後1軍で活躍する選手に育ちやすいという傾向がありますが、大事なのは1年目→2年目の伸びしろなので、今季あまり結果を残せなかった選手もまだまだチャンスがあります。



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