どれを食べても美味しい音がある
スピッツ17作目となるオリジナルアルバム「ひみつスタジオ」が発売となった。
1994年にスピッツと出会ってからオリジナルアルバムを発売日に手に入れたのは実は初めてかもしれない。
出会った当時は中学生だったし、以前記事にも書いたけれどTKファミリーやシャ乱Qなど好きなアーティストが多かったので、おこづかいの範疇で厳選して買うアルバムは限られていた。
高校を卒業してバイトするようになってからは、CDを買うことやライブに行くことが楽しくてインディースバンドや海外のバンドなど発掘することが生きがいだった。
そのころスピッツとは第二幕の出会いをしていた。
アルバム「8823」だ。
スピッツのアルバムで初めて買ったのは「8823」となる。
たしか渋谷のタワレコで視聴して、中学生のときに出会ったスピッツとは違うアグレッシブなサウンドで当時私が求めていた「ロック」にドンピシャだった。
それからはプレイリストには常駐するものの、いまのようにファンクラブに入ったりライブにいったりする関係ではなかった。
そう、2021年に「ロック大陸漫遊記」のラジオを聴くまでは。
今回発売されたアルバムは3年半ぶりとのこと。
ということはスピッツと第三幕での出会いをしてから初めてのリリース。ようやく発売日を楽しみに待つファンらしい日々を過ごせたというわけだ。
発売日に(むかしなら店頭日に)CDショップへ駆け込むこともなく、発売日の当日はApplemusicを開いてダウンロードする。
会社までの通勤時間にさっそく聴くことができる。
そして家に帰ったら、予約していたCDが到着している。
なんとまぁ、時代の変化に嬉しい溜息をつきながら、いまnoteを書きはじめた。
ニューアルバム「ひみつスタジオ」はどの曲も心をくすぐられる。
なんとなくマサムネさんが作る曲たちは世の中に大事件が起きたあとのアルバムに名曲が詰め込まれるイメージがある。
1曲目「i-O(修理のうた)」は、ここ数年でいままで人々が体験したことのない事態に少なからず心が疲弊したことを描いているのではないだろうか。その心へ「修理」を施すというイメージからスタートするアルバムに思えて仕方ない。
2曲目「跳べ」はスピッツのメンバーがリモートでの打ち合わせから久しぶりにスタジオで録音した曲だという。まさにタイトルどおり、疾走感の強いロックナンバーだ。
3、4曲目は映画タイアップ2曲が並び、5~8曲目はスピッツらしいサウンドに化学変化を施した新しい音楽となっている。
9曲目は2021年に発表した曲。暗闇の底にいる世界中の人々に向けてその先に進もうと背中を後押しする「紫の夜の越えて」だ。
新しいスパイスを散りばめた楽曲を続けたあと、希望ソングをもってくる順番がとても心地いい。
そのあとは困難を乗り越えたあとに待っていた新しい生活へ向けた曲が続く。
10曲目「Sandie」。とても明るくてワクワクするポップなナンバー。
11曲目「ときめきpart1」。こちらも映画主題歌。PVも公開されている。
そして12曲目「讃歌」が個人的にアルバムでいちばん好きな曲だ。
これぞスピッツサウンドの真骨頂(カノン進行かな?)。マサムネさんの528Hz(個人的な計測)ボイス発動。
哀愁なメロと絶望から自分を奮い立たせて何か(私は自分自身と読み解いてます)と和解しながら進もうとしている歌詞。
音階が上がってゆくにつれてハイトーンになるマサムネさんの歌声。
ラストの「ラララ…」歌唱で涙が出てしまった。(HSPのせいかもしれない)
タイトルが「讃歌」だから心が揺さぶられないわけがない。
そしてアルバム最後の1曲「めぐりめぐって」。
なんとアルバムだとラストに配置されているのに、マサムネさんは「ライブで1曲目にやる曲を意識して作った」と言っていて!(驚きしかない)
BPMチェンジもあったり、個人的にはBメロの出だしがドキッとするコードだったりして、たしかにライブが楽しみで仕方ない曲。
通しで2回聴いて、気になった曲は数回繰り返して聴いた感想を率直に記してみました。
どれを食べても美味しい料理のようなアルバム。
決して胃もたれなどせず、心もお腹も満たされる優しい味。
スピッツはやっぱり進化し続けている。
新しく生み出したモノが最高というのは誰もが憧れる姿だろう。
(CD派の方は↓)
(各サブスク配信↓)
讃歌についてあれこれ調べていたのだけれど、スピッツ曲でのカノン進行のお手本は西城秀樹さんの「ブルースカイ・ブルー」という文献をみかけた。
聴いてみたのだけれど、これだ、私が好きな感じ。
なるほど、またひとつルーツを知ることができてとても嬉しい。