BL小説「相席、お願いします!」
「相席、お願いします!」
サラリーマンの聖地なんて呼ばれる東京・新橋。飲食店には事欠かないけれど、結局気に入った店にしか寄らないことに気づいたのはごく最近だ。
昼どきを過ぎた午後二時。オフィスに必須な複合機を扱うメーカーに勤める俺、浮間匠海は新橋エリアの取引先企業に設置している複合機の機械メンテナンスを行う営業マンだ。つい先日、四十歳の壁を突破して、すっかり新橋の街にも馴染んだなと自覚したばかり。中肉中背なんて言葉は好きではないけれど、食べた分だけ贅肉がうっすらと層をなす