令和5年12月議会 個別質問 3-1.教科書採択の実施を受けた今後の対応について
浜中吾郎です。前回に引き続き、私が市原市議会で個別質問した内容について順次載せていきます!
令和5年第4回定例会の個別質問(令和5年12月14日実施)のうち「本年の教科書採択を受けた今後の対応について」より。
(以下、発言内容)
最後に『本年の教科書採択を受けた今後の対応について』伺います。本年8月に令和6年度使用教科書の採択が実施されました。公開された資料も拝見しましたが、大きく2点気になる箇所があります。1点目は、資料の基準です。これまで教育は定量化できない領域と捉える中で、その良し悪しは「見やすい」や「扱いやすい」といった抽象的な基準による部分もあったと推察しますが、例えば東京都教育委員会が出している使用教科書調査研究資料においては、国語や社会といった文系領域においても文章記述に加え、例えば国語だと「知識並びに技能の内容を取り上げている箇所数」、社会だと「県内の文化財や年中行事を取り上げている事例数」など可能な限り客観的な比較材料をつくる工夫がなされています。情報収集能力や統計などに代表される定量分析能力は今後ますます求められることを考慮すると、教科書採択においても定性的なものだけでなく定量的な表現を用いて基準作成をすることは有意義ではないでしょうか。
2点目は、教科書採択過程における採択候補の位置づけです。令和5年3月の文部科学省の「教科書採択における公正確保の徹底等について」の通知によると、『調査員等が作成する資料においてそれぞれの教科書について何らかの評定を付す場合であっても、採択権者が十分な審議を行うことが必要であり、必ず首位の教科書を採択・選定、又は上位の教科書の中から採択・選定することとするなど、当該評定に拘束力があるかのような取扱いを行うことにより、採択権者の責任が不明確になることがないよう留意すること。』とあります。しかし、本市における教科用図書選定委員会会議録を確認した所、2社ないし3社を『本市の採択候補として教育委員会に報告します』と記載があり、こうした過程があると投票の際に採択候補以外の図書を投票することに拘束力がかかる、いわば実質的な絞り込みの働きをしているのではと思料します。また、実際採択候補以外に投票されている事例はほぼ確認されていません。上記を踏まえ、今後の教科書採択においては定量的な指標を用いた資料作成が必要だと考えるがどうか、また教科書採択の過程において採択候補を報告することが実質的な絞り込みとなっていないか、2点について当局の見解を伺います。
(以下、教育振興部長答弁)
お答えいたします。はじめに、教科用図書採択に定量的な指標を用いることについてでございますが、本市の教科用図書採択においては、6月議会でも答弁させていただきましたとおり、各分野の専門性を持ち、教育現場で子どもたちの実態を熟知した教員が専門部会員として、本市の子どもたちに適合した教科用図書が採択されるよう、調査研究を行っております。その際に、専門部会は、教科用図書が本市の子どもたちにとって使いやすいか等の質的な面から選定資料を作成し、教育長及び教育委員が、採択の際の参考とするしくみとしております。教育委員会といたしましては、教科用図書採択に係る過程や基準がよりわかりやすく理解されるよう、他の採択地区の例を参考に、採択の方法について、調査研究を進めてまいります。
次に、採択候補を報告することが実質的な絞り込みとなっていないかという点でございますが、本市の教科用図書採択は、教育長と教育委員4名の計5票で投票を行い、過半数を得た教科書会社を採択する形式をとっております。そのため、採択候補となる教科書会社の教科用図書を教育長と教育委員へ事前に配布いたしますが、採択候補の教科等の種類が小学校の採択では14分野、中学校の採択では17分野と多岐にわたります。
そこで、教育長及び教育委員が投票をする際の参考にできるよう、専門部会と選定委員会での議論の上、2社ないし3社程度を候補として報告しておりますが、教育長及び教育委員は自らの意思に基づき責任をもって、すべての出版社の教科用図書から選べるしくみとしております。
(答弁を受けての浜中の意見)
時間の関係で議会では言えませんでしたが、採択候補以外を選択できるかどうかという点が問題です。教育長及び教育委員の資質が求められる部分と考えるので、こうした意見を踏まえて来年の教科書採択に向けて建設的に取り組んでほしい。