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日常定期便 その2
ノロノロした状況に苛立ちを感じている。思っていたイメージとのギャップを感じている。そうかと思うと、やってきた。
もう電車に乗って移動している。もうすぐ最寄りの駅に着く。数駅前の乗り換えホームの前で、ふと我にかえる。
この季節はタオルが必要だと、出かける前に鞄に入れたタオルが活きている。タオルは、首筋にかかっている。
耳にはギターの音楽が鳴り響いている。少し前まではピアノだったのだけど、あまりにも優しく、力は入るどころか緩んでしまう。
もうそういう時間でない。1日の始まりに、すこし気合を入れていく必要がある。モードを変えるときには、有効だ。
ちょっと前には、バラードのような音楽しか聞かなかった。しんみりと1人の時間に浸るときに、そういうモードで聞く音楽。
ある時から、そうではないときにも、その時々の感じやモード、なりたい感じに合わせて、音楽を選ぶようになった。
音楽を聞く人にとっては当たり前のことをなのだろうが、わりと最近まで当たり前でなかった。と言っても、数年前くらいの話だ。
明らかに人が多い。少し早めの時間でこれなのだから、1時間後はどうなっているのかと、考えたくないことを考える。
風が吹く。木が揺れて、葉の音がする。肌に風が当たる。一瞬日差しを感じて、すぐまた影に入る。木陰という言葉が頭を過ぎる。
空はとてもいい天気だ。青い空に、雲もいくらばかりかある。そうこうしているうちに、目的地まで着いた。
今はもう席についている。まだあと2分ある。非常用の大きな換気装置があいていて、外の音が聞こえる。心地よい風が入ってくる。
今日も1日が始まっている。別にワクワクするわけではないが、気持ちに、気合は入る。ある時にふと入れようと思う。
(続く)