災害は誰の人生も緩やかに変えている
災害が人にもたらす影響は、目に見えるものよりもずっと広く、深い
東日本大震災から9年、あの地震は平凡な私の人生もしわじわと侵食している
発生当時、学校にいた私は新築の校舎に大きなヒビが入る瞬間を目の当たりにした。その光景は父に連れられた沿岸部よりも、泥地みたいに波打ったコンクリートよりも、数年後に学生ボランティアで訪れた震災遺構よりも、私の脳裏に色濃く残っていた。ということに、大人になってから気付いた。
家は内陸にあったので被害は軽く、電気は一週間、ガスは一か月で元に戻