ワープ!2020シーズン総括。
たいへんご無沙汰しております。
宮古島のフリーランス農家・はせがわまきです。
案の定、というかなんというか…
2020シーズンは農作業の本格スタートと同時に、11月からすっかり、更新が止まってしまいましたね。
5月末にはすべての片付けが終わりましたので、6月は冬の間に荒れ果てた自宅の片付けとのんびり休息、という感じでした。
ぼちぼち2021シーズンも始まるし、ここらで一度、総括をしましょうかということで。
あんまりおもしろくはないと思いますが、自分の忘備録として綴りまーす。
◇気候編
秋にかけて、台風の直撃もなく。
トマトたちの定植後は、今シーズン通して、ハウスの屋根を全開にすることもしなくてすみました。
大玉トマトの萎凋病の進行が心配でしたが、それ以外は概ね順調でした。
…そう、12月までは…
そして迎えた12月。
降水量は宮古島(下里)で平年よりかなり多く 424.0 ㎜(平年比 323%)を観測し、月降水量の多い方からの 12 月としての極値を更新した。
また、全てのアメダス観測所で平年を上回り、仲筋(多良間空港)以外で月降水量の多い方からの 12 月としての極値を更新した。平均気温は平年より高く、日照時間は平年よりかなり少なかった(平年比 35%)。
(令 和 3 年 1 月 1 2 日 宮古島地方気象台 発表「令和 2 年(2020 年)12 月の宮古島地方の天候」より)
簡単に言いますと、“雨ばっかり”。ぎゃー!
まあ例年、冬場は「雨季」のようなもので、曇りや雨で北風の強い日が多いです。
それでも、晴れれば20℃台後半まで気温も上がるので、人間にとっても野菜たちにとっても快適といえる日がしばしばあるんですよ。
いつもならね。
ところが、そんな“救済日”が、2020年12月においては、結果として1日2日しかなかった、そんな印象です。
年が明けて少し好転したものの、丸々1か月も試練の日々が続き。
さてさて、この悪天候が農作物たちにどのように影響したのかは、以下に続きます(できれば思い出したくない)。
◇トマト・ミニトマト編
先述の12月の悪天候を受け、また雨水のハウス地下からの浸水の影響もあり、あらゆる手を尽くしても、大玉トマトの萎凋病は止まらず、次第にハウス片面の全体に広がりつつありました。
このまま放置して株を維持し続けると、コストがかさむ一方だし、今はまだ被害の少ないミニトマトにも広がる可能性があり。
しばしの脳内協議の結果、12月末に大玉トマトすべて撤収、という悲しい結末を迎えてしまいました。
(大玉トマト編終了。早!)
∨ ∨ ∨ ∨ ∨ ∨ ∨ ∨ ∨
残るは徐々に萎凋病の影響を受けつつあるミニトマト、そして11月下旬にハウスの隙間に植えた、VFローマという品種の大玉トマト。
…え?どこ?笑
ローマさんは名前の印象どおり、イタリアントマト。
移住農家仲間のMさんに、余った苗をいただきました!
初めてのイタリアントマトは、麗夏とはまた全く違う独特な草姿。上へ上への成長はあまりなく、どっしりとした樹形に驚き!
ハウス内の日向、かつ痩せた乾きやすい土のところに、マルチもなしで植えたため、暑さで収量はそこまで伸びませんでしたが。
病気にも強くて比較的手間がかからない割に、真っ赤に熟させたその果実のおいしさ!
ちょっとピーマンみたいな形。
水分が少ないので、生食ではジューシーさが物足りない感じですけど、トマトソースにすると、ベーコンとか玉ねぎとか何も入れなくても、かなりコク出ました!
10株しかなく、お譲りするほどの量はとれなかったので、ほとんど我が家でおいしくいただきました~
これは機会があれば、家庭用にまた作りたい!
∨ ∨ ∨ ∨ ∨ ∨ ∨ ∨ ∨
そして、ミニトマト。
萎凋病の影響が心配されましたが、植えた場所が大玉に比べて地下からの浸水の影響が少なかったので、その後はなんとかシーズンが終わるまで、維持することができました!
12月は悪天候でどうしても味が乗らず…納得できる味が出せたのは、結局年明けになってしまいました。
やはり去年はビギナーズラックだったのか、ほとんど気を使わなくてもおいしかったんですが、今年はそうもいかず。
水分とカリウム、マグネシウム、微量要素。果菜用の安い液肥。そしてシープロテイン。いろいろ使って、実の味の変化や樹の様子をじっくり観察。
毎日とんでもない量の味見をしながら収穫していたので、農繁期なのに痩せぎすにならずにすみました。そして肌の調子もよかったなあ…
オファーのあった日本橋人形町のトラットリアのオーナーからも高評価をいただくことができて、とにかく一安心でしたが、課題もありました。
主に、コナジラミ対策。
案の定といえばそうですが、今年もシーズン後半はコナジラミとの戦いでした。
あらかじめ用意していた農薬も早々に底をつき。その後は、使用回数の制限のない「サフオイル乳剤」を5~7日おきに散布、それでも爆発的に増えてしてしまったときは、こちらも使用回数制限がない、「エコピタ液剤」を使用するなど、主に害虫の気門を封鎖させてやっつける、物理的作用の農薬を使用するしか、打つ手がありませんでした。
こういった種類の農薬は、安全性が高いので使用回数制限がないのですが、やはりデメリットもありまして。
まず、高い。希釈倍率も濃いし、値段も高い。
とにかく、高い。
そして、その臭い。
サフオイル乳剤は、食用油を乳化させたものですが、散布のタイミングによっては、油の酸化した臭いがしばらく実に残ってしまい…慣れるまでは、味見してもその臭いで、味がわからなくなってしまいました。
すべての実を固く絞った濡れタオルできれいに拭いてから出荷していたんですが、それでもぜんぜんダメで。言ってしまえば「臭くて味どころじゃない」って感じで。
散布タイミングに注意するようにしてからは、かなりマシになりましたが、気になる人は気になると思いますね。
エコピタ液剤のほうも、主成分はでんぷんなんですが、なんともいえない“合成のり”のような臭いで、散布した後のハウスに入るのもちょっとしんどかったです。
あとはベタつき。
特にエコピタ、しばらくずーっとべたべたしてる。
拭いても拭いてもベッタベタ。ベタベタさせる農薬なので仕方ないけどね…。
いくら「このベタベタはでんぷんなので安全です」って言われたって、口に入れるものだから、気になりますよね。
飲食店さんを中心に、とにかく味に評価をいただいている以上は、そこもこだわらないとダメでしょと思うわけで。
来シーズン以降の課題ですね。
あ、うむやす栽培履歴のほうも近々アップしたいと思ってます(希望)。
とんでもない農薬散布回数ですが、ひかないで欲しいです…
しかしながら、このキャロル7にはまだまだポテンシャルを感じたので、こちらは可能な限り、引き続き生産していきたいと思います。
だっておいしいんだもん。食べたいんだもん。
∨ ∨ ∨ ∨ ∨ ∨ ∨ ∨ ∨
長くなりましたので、今回はこの辺で!
次回、かぼちゃ編と合法ハーブ編(←)をお送りしたいと思いまーす。