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新しい中学教科書(数学中1:学校図書、2025年度以降)

来年度は学習指導要領は改定されませんが、中学校教科書は改定されます。この記事では中1の数学教科書の変更点を紹介したいと思います。

まず出版社ですが、濱塾の地域では、中学校数学の教科書は学校図書で変わらないということが発表されています。

ちなみに、小学校算数の学校図書の表紙は、私が大好きな田中達也さんが担当しています。それを知ったときにはテンション上がりました!!

全体として

QRコード

他の教科書もそうだと思いますが、随所にQRコードが入っています。「解答」や「補充問題」などのこれまでは紙面の関係上載せられなかったものや、アニメーションなども盛り込んでおり、塾でも活用していこうと思います。

ページ数と素因数分解

$${158=2\times79}$$のようにページ数の隣に素因数分解が書かれており、おしゃれだなと感じました。

中1 数と式

正負の数

<最大公約数の利用>
素因数分解の単元で以下のような最大公約数の利用の内容が削除されていました。小学校でもやっているので中学校での扱いが軽くなるのではと予想されます。
特に(2)の関連で、「どちらも3個あまりました」という文言で問われることがいろいろなテキストで散見されていたので、ちょっと減るのかな?

あめが84個、ガムが120個あります。このとき、次の問に答えなさい。
(1) できるだけ多くの生徒に、あめとガムをそれぞれ同じ数ずつ、あまりがないように分けるとすると、何人の生徒に分けることができますか。
(2) あめとガムをそれぞれ3個のぞいて、(1)と同じように分けることができますか。

令和2年検定教科書 中1 p.58

文字式

ほぼ変更なしです。

方程式

<分数を含む方程式の誤り>
以下のような間違い探しの問題が削除されていました。
代わりにQRコードのパトロール隊という項目で、整数にもかけましょうということが書いてありましたが、私個人的には好きな問題なので、残念でした。

$${\dfrac{2}{3}x=\dfrac{1}{2}x-7}$$
両辺に6をかけると、
$${4x=3x-7}$$
$${x=-7}$$

令和2年検定教科書 中1 p.109

<SDGs関連>
SDGsとの関連問題があります。
1つは、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルの問題が入っていました。(令和6年検定教科書 中1 p.127)
また、令和2年にもあったフードマイレージの問題にSDGsの目標が入っていたりとSDGsの関連ということが強く意識されているのかなと感じます。

中1 関数

比例と反比例

<比例のグラフのページ配置>
比例のグラフをかく単元で、令和2年教科書では「比例のグラフをかく問い」と「比例のグラフの実際」の場所が見開きではなく、めくることで実際のグラフがわかるものでした。(pp.139-140)
ただ、令和6年教科書では見開きになっており、左の実際のグラフを見ながらかくことができるので、自分で考えて対応する点を取る生徒が減ってしまうのではないかと思いました。(pp.142-143)

<比例の表、式、グラフの関係図>
比例について、表、式、グラフの関係を表した図が追加されました。以前は一次関数のときしか無かった表、式、グラフの関係を表した図ですが、$${y=-2x}$$についての関係図が追加されていました。これはいいですね!(令和6年検定教科書 中1 p.145)

<反比例の導入>
反比例の導入が変わりました。以前は長方形の縦を$${x}$$cm、横を$${y}$$cmのときの面積を$${6}$$cm$${^2}$$として、図や表に表してから式を導入していましたが、ここが削除されて、負の数まで拡張した$${xy=6}$$の表を作成して、反比例の関係が負の数に広げるとどう変わるのかということに主軸が置かれています。
たしかに中学校の特徴は$${x,y}$$の変域が負の数まで拡張されていることなので、この導入がいいかなと思います。

<反比例のグラフのページ配置>
反比例のグラフをかく単元では、比例のグラフをかく単元の逆で、見開きではなくなりました。良いかなと思います。

<対応の表を書く場所>
$${y=-\dfrac{6}{x} }$$のグラフをかく問いで、令和2年版では対応の表をつくりと書いてあるにもかかわらず、実際には表を書く欄が無かったです。
令和6年版では表を書く場所がありました。良いですね。

<反比例の表、式、グラフの関係図>
比例と同様に、反比例($${y=\dfrac{6}{x}}$$)について、表、式、グラフの関係を表した図が追加されました。(令和6年検定教科書 中1 p.153)

<利用の導入>
比例反比例の利用の順序が変わりました。利用の導入がランドルト環についてに変更されており数学的活動を意識してとのことかなと思います。

<みなす活動>
比例とみなす活動が追加されました。消毒用アルコールの減り具合ということで、今日を基準として、1日後〜5日後のデータをグラフにプロットすることで、$${y=-0.3x}$$と考えて、何日後になくなるのかを予想するという問題です。(令和6年検定教科書 中1 pp.158-159)
一次関数としても考えることができるので中2にもつながる内容ですね。塾で採用しているテキストにも取り入れられるでしょう。

<電子レンジと反比例>
電子レンジの出力と加熱時間の関係を考える問題が追加されました。(令和6年検定教科書 中1 p.160)
令和2年版では、コラムとして紹介されていました。(令和2年検定教科書 中1 p.163)

<比例の利用>
針金の長さと重さを考える問題、牛乳パックの枚数とつくることのできるトイレットペーパーの個数との関係を考える問題が削除されました。

中1 図形

平面図形

<点と直線の最短距離>
「砂浜のP地点で卵からかえったウミガメの赤ちゃんが、海に向かって歩いていきます。もっとも短い距離で海に着くには、どのようなコースを進めばよいですか。ただし、海岸線は直線とします。」(令和6年検定教科書 中1 p.179)という問題が入り、点と直線の距離についての内容が入りました。
点と直線と距離は塾で指導していても難しいところなので、ウミガメの赤ちゃんの歩く距離をいちばん短くするという、点に視点を意識できるのでこの問題はいいかなと思います。
また、点と直線の距離については以前は角の二等分線のあとに入っていましたが、この垂線のときに入れれば垂直も意識されやすいので良いですね。

<麻の葉の模様による移動の重点化>
麻の葉の模様による移動についての問題が会話を入れた数学的活動を意識したものに変更されました。(令和6年検定教科書 中1 p.195)

<外心、内心>
発展として外心、内心の作図や性質についての内容が追加されました。定期テストでも出てくるかも知れませんね。(令和6年検定教科書 中1 pp.201-202)

<最短コース>
2点A、Bが直線$${\ell}$$に対して同じ側にあり、直線$${\ell}$$上にある点Pについて、AP+PBが最短になる点Pを作図するという問題が削除されました。削除されましたが、定期テストは出るかも知れないので、これはテスト前はやろうかなと思います。(令和2年検定教科書 中1 p.193)

空間図形

<面と直線の垂直>
カメラの一脚のイラストを出して、正面からはなす角が90°だが、横からみるとなす角が90°ではないものから、これは垂直とはいえないということを考える問題が追加されました。いつもは鉛筆とかで同じことをやっていますが、このイラストがあればイメージしやすいですね。(令和6年検定教科書 中1 p.214)

<円錐の展開図と立体の形>
以下のウェブサイトのような円錐の展開図の扇型の中心角と、できる立体の形の関係を表した問題が追加されました。これはあまり見たこと無いので、新たにやってあげる必要がありますね。(令和6年検定教科書 中1 p.220)

<正多面体の双対性>
コラムに正多面体の双対性の項目が追加されました。数学な得意な生徒はこれと面、辺、頂点の関連について話したいと思いました。(令和6年検定教科書 中1 p.221)

<球の表面積の位置>
球の表面積の位置が後ろになりました。
これまでは、立体の表面積の最後にやっていましたが、立体の体積の後に変更して球の表面積と体積としてまとまりました。私は個人的には表面積すべてやってから体積のほうがいいかなと考えていますので、令和2年版のほうが好きです。

中1 データの活用

データの活用

<度数分布多角形の比較>
東京の現代と100年前の8月の最高気温の比較ということで、令和2年版では、度数分布多角形が与えられており、読み取りだけだったが、令和6年版ではヒストグラムが与えられてこのままでは重ねられないということから度数分布多角形をかくという数学的活動になりました。(令和6年検定教科書 中1 p.252)
度数分布多角形は重ねて比較できるというメリットがわかりやすいのでいいですね。

<人口ピラミッド>という項目の削除

巻末

<ディオファントスと方程式>
ディオファントスの墓石に刻まれているというディオファントス方程式の項目が追加されました。

<投票するには最低何票?>という項目の削除

<魔法陣>
魔法陣の問題が削除されました。定期テストではよく出るので、引き続き塾ではやっていこうかなと思います。

2021年3月から長泉町にある個別指導の学習塾「濱塾」を経営している高濱と申します。教育に関する情報を発信していきます。