転職回顧録③足軽出陣
3人で回している、ワタクシの部署。とあるメーカー。片田舎の、小さな営業所。
定休日がないので。土・日・祝は3人とも出社。平日は2人出社、残りの1人が休日になる。
入社して1週間のワタクシたらうた。2人の先輩それぞれとの2人出社を経験し。
出るわ出るわ。相手の愚痴。吐き出し続けることマーライオンの如しって確か吉良上野介も言ってたわ(多分)。
ここは3人部署、最後の1人がなかなか定着せず。そこにやってきたのがワタクシたらうた。
それまで8年に渡り。先輩方はほぼ2人でこの部署を支えてきたようだ。
この「2人」っていうのがこれまた。2人って。
夫婦・恋人・親友同士など。『自分』と『相手』。2人しかいない関係は決定的に客観の視点が欠けてしまうような。
そして愛情や信頼関係で繋がった夫婦・恋人・親友に対し。『仕事』でしか繋がっていない『同僚』は。恐ろしく脆い。
お互いに、
・いなくなられるのは困る。
・自分だけが我慢している。
・自分の方が譲歩している。
・相手の言動は常識がない。
・何故、私と同じように考えられないのか?できないのか?など。
加えて。この部署のよくない要素は。仕事の成績を上げ査定を上げて高いボーナスが欲しかったら。
効率よく成績が上がる仕事を相手から『奪い』。
やってもやっても成績に反映されない時間・労力泥棒な仕事は相手に『押し付ける』。
これしかないようで。
どうやら。3人目が定着してこなかった理由も。この辺にありそうで。
狡猾なベテラン・ドベテランに。美味しい仕事は全て奪われ。
勉強の名のもとに評価にならない仕事ばかりをあてがわれ。一生懸命励めども。
この片田舎の営業所を管轄する、大きな支店にいる上位職は。そんなことは知らん。
「なんだこの新人、ちっとも成績上がっておらぬな?」となり。
どんどん詰められ。肩身が狭くなり。いずれ「辞めたい」と言った時には。
「重要な仕事もしてもらってないので、辞めてもらっても困りませぬ」ということに相成るようなのだ。
濁流のように。留まるところを知らずに吐き出される先輩の愚痴の中から。
とりあえず情報を収集し、これだけのことを察した。ワタクシたらうた。
人生最後の転職と決めてやって来た職場の、最初の一週間がこれ。さぞかし暗雲たる気持ちになったろうと思った方。
甘いわっ
当時のワタクシたらうた。絶賛転職成功フィーバー中でございまして。
「もう、あの人と定年まで一緒に働くのかと思うと耐えられない!あと15年もムリ!」
「え、定年までの間にあと15回も正月を迎えられるんですか!?それ、めちゃくちゃラッキーじゃないですか!!」
「これからごぜうさんもわかってくると思うけど、あの人は本当に陰険な人だから気を付けるんだよ!」
「陰険なんですかそいつは参りましたな。でも、インキンな人よりはよっぽどマシですよね!」などなど。
悪口に乗ってはいけないと思ったから、のだが。それにしても。我ながらなんというかわし方。よくその場で解雇・打ち首・獄門にならなかったな、我ながらあっぱれな狼藉ぶり。
こうしてベテラン・ドベテランの激しい合戦のさなかに投じられた足軽のワタクシたらうた。
この後壮絶な板挟み道を極めんと邁進して行くことになるのである。