hamaguriko

ぼんやりと人を観察するのが好きです。 乳がんとわかってからの自身と周囲の人々の観察記録を書いています。 その他にもちまちま。

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ぼんやりと人を観察するのが好きです。 乳がんとわかってからの自身と周囲の人々の観察記録を書いています。 その他にもちまちま。

マガジン

  • 私の胸のエイリアン

    乳がん関係のおはなしをこちらにまとめました。 医学的なおはなしはほぼありません。乳がんに罹ってからの面白い先生のことや治療仲間のこと、どうでもいいようなことを書いています。

  • ブログかな

    雑記帳

最近の記事

2年目点検

あまりに悲しくてまだしっかりと記事にすることが出来ていないのだけど、手術からずっと担当してくださっていた敬愛するDr.ヤマネコがいなくなってしまってから初めての受診が本日9時から。 思えば2年前の9月30日の同じ時間に私はここで珈琲を飲んでいたっけ。 初めての乳がんの検査、初めての病院、初めての癌疑い。小さなスターバックスコーヒーの店内には都会みたいな距離でテーブルと椅子が置かれている。だけど朝の8時過ぎに店内でのんびり珈琲を飲んでいる人は私を含めてたったの3人。 Dr.

    • エイリアンの傷痕4

      一年3ヶ月目の受診(2024年1月) 失礼しますとドアをノックして診察室へ入る。 「こんにちは。どーう?」 こんにちはとDr.ヤマネコに挨拶し、こんにちは、きのこちゃん(医療クラーク)と目が合い彼女にも挨拶する。 「血液検査の紙持ってる? 貧血が出てるんだけど、その前は普通の値だったけど、どうしてかしら?」 コンピュータのモニターを見ながら 「どうしてかしら?」 と再び言うヤマネコ。 どうしてかしら?今までそんなことはなかったんですが、と答える。 「CRPも

      • 冬の日

        滅多に雪の降らない地域で、窓越しに白い牡丹雪が舞い落ちていくさまは別にセンチメンタルでも感慨深いのでもなく、それなのに窓辺に椅子をわざわざ持ってきて湯気の立つ飲み物も持ってきて、2008年当たりのアルバムを聴いたりしてるのだから、何か少し感じるものがあるのだろうな。 店先で点けたり消したりを繰り返して、アームの角度をあげたり下げたりもして、30分くらいも説明書を読んで、最後に木目調か白木か悩んで買ってきたデスクライトはなかなかよいが、もっと趣のある室内ランプを買いに行ったの

        • 80mm/h以上

          職場の駐車場から出ると西の空が光っていた。ひやっとする西風、雨が急に降り出す兆候。家まで10分強。いけるか? 西の空がぼんやりと光っていたのはわずか1分ほどだった。稲光はすぐに空いっぱいに広がり東も南も西も自分の上方もあちらこちらが光る。やばいなと思っていたら、左の視界ギリギリに稲妻が走る。ゴロゴロと雷鳴が鳴るまでの時間をカウントする。右の視界にも稲妻が走り、手に当たる落下物に痛みを感じた。バラバラと音を立てて降り始めた霰はヘルメットやバイクに当たり結構な音を立てる。夕方の

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        • 私の胸のエイリアン
          17本
        • ブログかな
          4本

        記事

          エイリアンの傷痕3

          生きているだけで概ね成功 「どうぞ〜久しぶり〜元気〜?」 ドアをノックして失礼しますと診察室へ入るとヤマネコとキノコちゃんは定位置の椅子に座りにこやかだ。 「お久しぶりです、元気です」 そう答えて苦手なクルクル回る椅子に座る。 「骨密度ね、いいですよ、合格!」 先程測定した骨密度の結果の用紙を左手に持ち、渡してくれた。 「傷の具合はどう?ドレニゾンテープ使った?」 「はい、すごく良かったです!すごく良かったんですが」 そうそうと頷きながら話を聞いていたヤマネ

          エイリアンの傷痕3

          龍の夢

          森 龍は少し離れた森の中をゆっくりと雲が流れるように左から右へと飛行している。 うす暗い森の中、焦茶色の影が大きく長い胴体を揺らしながら進む。 「あそこだ!」 森を指差して誰かに知らせる。夢の中で私は龍を探していた。 バスターミナルから長距離運行バスに乗ったつもりだった。ところが次の場面では夕方日が落ちて薄暗くなった丘陵地に私はたっている。 龍は自分が立っている場所から一度下がってまた上がったあたりの森の入り口を、長く立派な体の一部を木々の合間にゆらりと見せながら

          乳がん手術後の経過 備忘録(7月)

          乳がんが2022年9月に発覚し、全摘手術を10月に受け、11月の終わりごろからアロマターゼ阻害薬の服薬が始まった。 手術の傷も“どこに出しても恥ずかしくないほど綺麗”に順調に癒えていたかのようであったが、2023年1月の受診時に傷がケロイドになっていると主治医に言われた。 ピリピリする痛みは一旦治ったが梅雨の時期になるにつれ全体的に痛みが強くなってきた。横向きで寝ることは出来ず仰向けかうつ伏せ寝、それならできた。常に傷が気になる、術後のような不快さだ。「乳がん 手術跡 痛み

          乳がん手術後の経過 備忘録(7月)

          エイリアンの傷痕2

          傷痕の違和感 ちくちく ピリピリ 衣類が擦れる不快感 傷口周囲に感じるこの不快感をどう表現すれば同じような傷のない人にも伝わるのかと考えてみたけれど、そんなものわかりっこないのだというのが結論だ。どんなことも経験に優るものはない。 手術をしてくれたDr.ヤマネコはとても腕の良いお医者様で、術後の傷口は素晴らしいものだった。経過もよく「うん、いいね、傷口綺麗だね」とDr.ヤマネコも満足できる結果が出ていた。入院当時、毎日鏡に映して観察していた手術痕は素晴らしく綺麗だった。

          エイリアンの傷痕2

          彼女の胸のエイリアン3

          栗鼠のように可愛らしい人 「それ、無印のパジャマですよね? お揃いです」 後ろから声をかけられた。 手術の翌日、傷が痛いし頭も痛いのに痛み止めを出してもらえず、ドレーンがぶらぶらして鬱陶しいし、ヨタヨタと5センチずつくらいしか進めない中、カフェにある自販機に水を買いに行く私に無邪気に満面の笑顔で話しかけてくるその人は、確かにお揃いのパジャマを着ていた。 どうやら同室の女性で、私よりも少し前に手術をしているらしい。 私は人の顔を覚えることがものすごく苦手だ。失顔症とい

          彼女の胸のエイリアン3

          彼女の胸のエイリアン2

          刺し子さん バスマティライスが美味しいカレー屋は当たり、私の勝手な法則。池のほとりのまだ新しい店内で新緑の木々の眩しい歩道をランニングする人を窓の下に見ながら、バターチキンカレーを頬張る。向かいの席に8か月前一緒に入院していた同世代の女性がいる。名前を刺し子さんとしよう。 退院後、まだ仕事を開始していなかった時期に一度お茶に行き、すぐにまた会おうと別れたが仕事が忙しい彼女と都合が合わずようやくランチの約束が出来たのが今日だった。 お互い手術後8か月が経過し今のところ再発

          彼女の胸のエイリアン2

          彼女の胸のエイリアン1

          同僚C 「はまぐり子さんと同じなんすよ」 職場の同僚が唐突に言う。まだ20代半ばの彼はとても良い青年で照れたような優しい笑い方をする子熊のような人だ。 子熊の『片道一時間なんすよ〜』と別の同僚と話している会話が聞こえ、どうやら母親の入院の話をしているらしかった。『お母さん、どうしたの』と聞いてみた答えがこれだった。 そうか、乳がんなのだな。 「俺が母親に病状を教えられた時、もう余命宣告された時で・・・なんでもトリプルネガティブとかいうやつらしくて。普通にシコリがある

          彼女の胸のエイリアン1

          エイリアンの傷跡

          (私の胸のエイリアンの続きの話) 術後半年経過 5回目の受診 受付を済ませて検査着に着替えたあと、血液検査、エコー検査、胸部レントゲン、腰部レントゲンの順で検査をした後、自分の名前が呼ばれた。 ドアをノックして診察室に入るとDr.ヤマネコとキノコちゃん(医療クラーク)は、変わらない様子でこちらを向いていた。 三ヶ月ぶりの受診なので少し緊張する。緊張のせいかキノコちゃんのこともDr.ヤマネコのこともあまり視界に入ってこず、苦手なくるくる回るタイプの椅子をすすめられ、座るのに

          エイリアンの傷跡

          乳がん手術後の経過 備忘録

          乳がんが9月に発覚し、全摘手術を10月に受け、11月の終わりごろからアロマターゼ阻害薬の服薬が始まった。 服薬の大きな副作用はなく、手術の傷もどこに出しても恥ずかしくないほど綺麗に順調に癒えていたかのようであったが、1月の受診時に傷がケロイドになっていると主治医に言われ、その後脇の下のピリピリ感がどんどん強くなり、「ケロイド」「乳がん 手術跡 痛み」そんなキーワードでネット検索する日が続いている。 アロマターゼ阻害薬の副作用のうち骨密度の低下がもっとも恐ろしく仕事に影響しかね

          乳がん手術後の経過 備忘録

          3色ボールpenish 3

          (私の胸のエイリアンの続きの話) 術後3回目の受診 ドアをノックして診察室に入るとDr.ヤマネコとキノコちゃん(医療クラーク)が、いつも通りこちらを向いている。 今日のヤマネコは水色のメディカルオペマスクをゆるくかけて、背もたれのあるクルクル回る椅子に座り左の肘をアームレストに乗せてゆったりと座っているが2週間前のように首を傾げてはいない。寝違いは治ったのだな。 私の椅子もくるくる回るタイプの椅子で、私は回る椅子とコロつきの椅子がとても苦手だ。いつも通り座るのに少し手間

          3色ボールpenish 3

          3色ボールpenish 番外編

          私のかかりつけ医の先生は。 彼はおじいちゃん先生で、働き者のアライグマのような、こじんまりとした感じの、何度も洗濯してくたびれたお気に入りのぬいぐるみのような人だ。コロナ禍ではいつもフェイスシールドをしていて以前よりさらに一層表情が読めなくなったが、メガネの奥の小さな目をシパシパとさせながら「はまぐり子さん、こんにちは、どうですか、おかわりないですか」と言った。 乳房切除は『おかわり』に当たるだろうかと一瞬考えたが、そうそうアロマターゼ阻害薬の服用開始を伝えなきゃと思って

          3色ボールpenish 番外編

          エレベーターの夢

          夕食を食べている時にふと昨晩見た夢を思い出して驚いた。 自分自身の〝心の健康のバロメーター〟にしているエレベーターの夢。 ストレスがかかっていることに気づかないタイプの人間は、胃潰瘍、円形脱毛症や口唇ヘルペスなど身体に異常がでるそうな。しかし私はストレスがかかるとエレベーターの夢をみる。そして「はっ?!」と自分自身に今現在ストレスがかかっているんだなと気づく。 (入院中に見たエレベーターの夢の話はこちら↓) 昨晩の夢はというと、エレベーターに加えて、エレベーターに乗り込む

          エレベーターの夢