#12 ネオ・ネイティブ・ジャパニーズのすすめ(中編)
前回の記事からつづいて、今回は、都市部から蛤浜に通う中でネイティブ・ジャパニーズの知恵にインスパイアされ、それぞれの分野の特技・興味を生かしながら次世代の豊かな生き方を目指している「ネオ・ネイティブ・ジャパニーズ」の一人・YUKI☆さんをご紹介します。
ITコンサルタント×猟師×里山づくり
東京在住のYUKI☆さんは、東北プロボノプロジェクト(プロボノとは:社会的・公共的な目的のために、職業上のスキルや経験を活かして取り組む社会貢献活動)をきっかけにかれこれ7年以上蛤浜に通い続け、関わり続けてくださっています。
本業はIT関係ですが、蛤浜を訪れたことがきっかけで狩猟の面白さに目覚め、狩猟免許を取り、今では蛤浜周辺だけでなく関東方面の山々でも狩猟をしているハンターでもあります。
年に数回、はまぐり堂に「浜の暮らし体験」のツアーを組んで東京の知り合いを連れてきてくださったり、関東や宮城の大学生とともに森の中の沢を整備する活動をしてくださったりと、浜に住んでこそいませんが、私たちにとって蛤浜の大切な一員です。
YUKI☆さんは、はまぐり堂の取り組みに関わる中で「自然の豊かさが、心の豊かさにつながる」ということを体感し、自分の生活するエリアでも、さまざまな自然の活動に取り組むようになりました。
森や沢を復活させる里山再生活動に参加したり、空き家の古民家を改修し四季を通じて自然と触れ合える場づくりをしたりと、YUKI☆さんの精力的な取り組みは、共感する若者たちも巻き込みながらどんどん広がっています。
私たちの浜での取り組みは本当にささやかな取り組みなのですが、YUKI☆さんを通じて、「ネイティブ・ジャパニーズ」のエッセンス…自然の中で野生の感覚を取り戻すことや、自然を守り自然の一部として生きること、自然の恵みをいただく食卓・ものづくりを通じた人と人との関わりを大事にすることなど…が、より多くの地域へ、そしてより多くの人たちへと伝播していっています。浜から他のエリアの地方へ、都市部へ、素晴らしいリレーが続いていっていることには感謝しかありません。
YUKI☆さんをきっかけに関東圏や宮城県内からも若い人たちが蛤浜を訪れて交流を深めており、「沢をきれいにするのが楽しい」「沢整備は夢中でやっちゃうくらい好き」「初めて草取りをした、楽しい!」と、自然との関わりの中にある喜びに気づき、それを楽しみに浜に通う若者が増えてきています。
若い人たちがそれぞれが暮らしの中に、自然とともに豊かに生きる「ネイティブ・ジャパニーズ」の知恵を少しずつ取り入れはじめていることは、小さくても確かな未来への希望です。
YUKI☆さんの面白いところは、牡鹿半島や蛤浜に魅力を感じながらも、そこに移り住む「地方移住」を最終目標としていないところだと思います。
「都市に住みながら、いかに自然とともに生きる豊かな生き方を自分の生活に取り入れるかが、自分の目標。そしてさらに、ITや不動産の運用でしっかりと資金を作り、それを活用して全国各地を里山再生させ、自然と触れ合う場づくり・自然とともに生きる人づくりを広げていくのが自分のライフワークです」とYUKI☆さんは言います。
都市と地方を行き来しながら、自然とともに生きることの喜びを人と分かち合い、共感・共創の輪を広げているYUKI☆さん。私たちもその姿勢から、毎回たくさんの学びをいただいています。
先人たちの知恵を携えて次世代の生き方をつくってゆく「ネオ・ネイティブ・ジャパニーズ」の仲間として、これからもともに活動を広げていけたらと願っています。
(つづく)