四国広域停電事故に関する四国電力の説明は不可解



先日、四国の広範囲に渡って生じた大規模停電事故についてだが、当初から奇妙ではあった。大雨の影響とかで故障などが生じたことも影響したのかもしれないが、何かと怪しい説明だった。





会見後のツイート





2018年の北海道の一斉停電の時にも、広域の輩が北本連系線(直流)の当時30万kWだったかの送電を遮断したか何かで、「周波数が~タービンブレードがぶれて~」とインチキ説明を言って、全ての電源を解列させたんだろ?


恐らく、全道一斉停電事故は「よくある普通の事故だった(=四国電力管内でも起こったよ)」とでも装いたいかのような、胡散臭い事故としか見えない、というのが当方の印象である。



四国電力の説明がこちら

https://www.yonden.co.jp/nw/press/2024/__icsFiles/afieldfile/2024/11/12/npr002_1.pdf


会社側の説明をよくお読みいただくとして、当方の理解で事故経過を簡単に書くと


①14時51分: 「本四連系線」(交流AC)が事故で自動停止
→ 120万kWの送電が停止

②残った連系線「阿南紀北直流幹線」(DC)が7万kWから約80万kWに送電(逆方向)増加→後で元の計画通り「7万kW」に戻した

③18時40分~20時: ACの復旧作業から送電スタートするも同期とれず

④20時22分: DCの周期調節機器「EFC」の停止を四国電力から関電に依頼

⑤EFC停止後、「EPPS」(AC途絶信号によりDCに自動で切り替える緊急装置)の作動によりDCが「7万kW→70万kW」に急激に増加

⑥その結果、相対的に四国エリア内の需給バランスが崩れ、UFR(周波数低下リレー)により四国エリアで約50万kWの自動負荷遮断=広域の停電に


この説明を聞いて、色んな知らない機器がいっぱいあるんだな、とは思ったが、いくつか疑問点があるので書くね。



・疑問1 : 広域連携の意味がないのでは?

本四連系線(2回線、作業停止で残1)が故障停止したのは分かるが、120万kWの途絶でその全フリに近くDC(阿南紀北幹線)に行くもんなの?

DCも2回線あり(うち作業停止中で残1)、ACとDCの2系統×2回線だが、今回の事故で見れば実質2回線しか生きておらず、途絶のリスクが高い作業計画だなとは思う。

で、DCの定格70万kWに対して、AC120万kWが送電切れた途端に過負荷で80万kWまで急増するのは普通の反応なのか?


需給で見れば、四国エリア需要量Sと関電側に送電(AC120万kW+DC7万kW)の発電量があったわけだろう?
関電管内の発電量をKとすると


AC事故前
  送電側: 四国電力エリア 供給量 S+(外部融通 120+7 )
  受電側: 関電エリア 供給量 K+ 四国から融通 127

から

AC事故後
  送電側: 四国電力エリア 供給量 S+(外部融通 7 ⇒ 80 )
  受電側: 関電エリア 供給量 K+ 四国から融通 80 +他40

ここで関電側は管内の出力増強とか四国以外のエリアから受電するなりして、不足分40万kWを補ったということですよね?


四国側からDC送電が定格用量を大幅超過してまで送電を維持する意味って何?

西日本60Hz圏の広域の予備力が10%程度だったとして、例えば関西、中部、中国、四国、九州の全体で5000万kWの供給量で予備率10%なら広域で500万kW分の余裕があり、四国と関電間のAC途絶でも他エリアから交流で送電を受ければ済むのでは?

上記説明だと、四国と関電の間の需給しか見ておらず、そんな硬直的なら広域調節なんて無理なのでは?
九電管内の太陽光発電分を配分したりできないだろ?


・疑問点2 :四国電力管内から送電量が過剰に増加する理由とは?

一時的にDCに需要量を超える発電分を流したとして、それを7に戻したのだから、四国管内での出力抑制(ACの120kW分)をしたわけでしょ?
電源はかなり余っていたはずだ、ということですよね?

それで、四国側から関電側への送電量が過剰に増加する理由とは?
直流送電なのだから、関電側で大規模な電源脱落のような緊急事態にでもならないと、普通の状態では送電できないのでは?

ACの送電ができなかった理由が、「同期できない」という話だったんだろ?
これが直流になると、周波数を合わせなくて(=EFCを切って)も「瞬時に勝手に過剰送電可能」となる理由とは?


・疑問点3 : 新たに電源投入する時に毎度「同期できない」のか?

もっと変な話だと思うのが、広域連携で接続するのに「交流送電が同期できないから送電不可能」という状態は起こるもんなの?

もしも機器による自動的な電源投入ができないなら、原発が一つ止まる(送電停止や地震やスクラムなどの)度に、「周波数が同期できず送電できませ~ん」ってなるのか?

広域内で大きな電源(発電所)が止まると、追加で動かした火力発電所とかを系統接続する時に毎回職人技みたいにオシロスコープとにらめっこでもやって、「ここだ!」とか言ってスイッチを押してるんか?

本当にそんなバカで無駄なことをやってるのか?
普通はコンピュータ制御で自動調節してるんじゃないのか?

「EFCの機械を停止しろ」と判断し命令したのは、どういう人間なの?


「EPPS」の機能なのか、ACの系統接続機器なのか分からないが、送電を再スタートさせる時には決まったマニュアルがあるのだろう?

それって、本四ACの送電が開始されない、って話の時、いきなり120万kWを全力投入したわけでもないのだろ?


同期できない理由は何か、って判断が難しいとして、送電開始の時に10万とか20万kWで様子見てやったりするもんじゃないのか?

仮にEPPSが機能してしまい、DCに流れ込んだとしても、70万kWの容量以下なのだから四国管内の供給力が一気に失われることはないのだろう?


それを、なんで70万kW以上の大量送電をやってるのか?
恐らく伊方原発が動いてるせいで、調節性が悪くなっており、四国エリアでは電力が余剰なので、なるべく関電エリアに売りたいのでは?

それで大量送電をやってるんだろ?
けど、DCの定格が70万しかないのに、それを大幅超過する送電を回線数が乏しい今の状況でやろうとするのはリスクが高まるだけだろうに。


それ以上にオカシイのは、機器類があらゆるアラートとか事故防止機能を備えているものを、アホな人間の勝手な判断によって停止措置をやらかすから大事故に繋がるんだろうよ。


福島第一原発事故の1号機だってそうだぞ?
復水器 ICを人間の勝手な判断で停止しやがったからこそ、真っ先にメルトダウンしたんじゃないか。

圧倒的大多数の場合で、愚かな人間の自己判断の方が間違い易いと思うぞ?



・疑問点4 :関電管内や60Hz圏の供給量と需要量の変化を出さないとDC70万kWの急増理由は分からない


関電エリア内で受電可能な電力量が瞬時に60~70万kWも増加した理由を言え。

普通は、受電側の「電源が急激な脱落」とかで大穴が開かないと、直流送電は流れて来ないのでは?
本四ACは順路が本州⇒四国で、今回のケースは逆向きなんでしょう?

そこを遮断されていれば、いくら四国側から送電しようと思っても、送電はできんわな。


エリア間の送電ルートを支配・管理している人間というのは、どういう奴らだ?

元栓を閉めたり開いたりできるのと同じく、流れを阻止することも、DC送電を一気に増やすこともできる人間とは?


地震や災害などで大規模電源(発電所)が解列したり、緊急停止することなんぞよくある日本で、瞬時に電源投入して融通しようとしても「周波数が合いません、同期できませ~ん」なんて言ってる暇があると思うか?


どんなマヌケだよww

ものの数秒で同期完了、系統接続完了とかじゃないと、おかしいに決まってるだろ。


たとえEPPSを切って(停止して)も、今回の事故が起こらなかったということにはならない。どの電力会社でも、電源を接続する際に毎回それと同じく「EFCとEPPSを系統から切断し解除しておく」という定型的マニュアルでもあると言うのか?


少なくとも、「電力の供給量が余っていた四国エリア」で大規模停電が起こり、受電側は何もないというのが変だと思わないのかね?


最もあり得るのは、北海道の全域ブラックアウトの時と同じく、広域の調節に原因があったものと思われるが?

人為的操作、つまり停電テロ事件の可能性ということだ。



追記(19日):

発見した資料を含め、ツイートしたので追加しておきます。


今回の初期の途絶事故は本四連系線(四国電力と中国電力間)の120万kWが突如脱落したことによる(その理由が何かは不明、強風でもなく大雨だったけど断線?地絡?鉄塔倒壊?)。

この本四連系線は、従来値の120万kWの定格設備容量から+25万kWで最大145万kWまで使っていいですよ、という拡張が行われた。

だが、直流幹線は拡張されてないので、1セット当たり設備容量は「70万kW」のままなのに、何故か120万kWの脱落直後瞬時に約「80万kW」が関電側に送電した(EPPSの動作による)とされた。
2セットが生きていれば、最大140万kWの容量があるから送電可能だと思うが、1セットのみしかなかったんだぜ?(他1セットは工事中で停止)


HVDCの投入は常に用量オーバーの緊急動作を許容している、ということ?
そんな設計をするもんなの?





また、同期する装置(EFC)を停止しろ、という話にしても、謎が多い。広域間で追加の電源(発電所)なりを投入する場合、いちいち
「中国電力に送電する前は必ず関電に連絡して「EFCとEPPS」の動作を完全停止させておく」
ということかね?

本当にそんな定型的マニュアルだとすると、相当マヌケだとしか思えないが?

毎回そうやってきたのに、「今回だけ」そうしなかった(人的ミス)ということならまだ話は分からないではないが、交流送電を再開しようとしても同期させることができない、なんて「職人芸頼み」のようなシステムを組むもんなんですか?




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