" the Atomic Energy Act 1954 "の機密は大統領が解除できないという暴論


トランプ大統領には「機密指定解除の権限がない」説を唱える連中(主に大手マスコミ、DOJ/FBI )の言い分に対し、当方の素人見解を反論として述べたが、もう少し追加しておきたい。


参考:




解除不可能説を唱える連中の法体系について、整合的な説明ができるものなのかどうか、是非ともお尋ねしたい。


DOEや国防総省DoDに存在するとされる機密指定解除権限を持つ「役人」は大統領の任命(上院同意人事)を受けるわけでもない、更に下級公務員と推測される役職なのだろう?

その下部役人による分類や機密指定解除の権限が「大統領権限(判断、命令)に優越する」という法学的な論理を誰か示したことがあるのだろうか?


大統領には解除不可能説を唱える連中が金科玉条のように主張する、DOEは議会制定の根拠法があるから解除は特殊で、まるでDOEが特別な法的特権を与えられているかのように言い、DOEとDoDの合意が必須=大統領の判断に優越する、という屁理屈を言うわけである。

根本的な間違いではないか、としか思えないので、その理由を書いておく。


1)

Department of Energy(DOE)は不可侵な独立領域を持つ行政機関ではない



エネルギー省 DOEの設置に関する条文は
 「42 U.S. Code § 7112」


The Congress therefore declares that the establishment of a Department of Energy is in the public interest and will promote the general welfare by assuring coordinated and effective administration of Federal energy policy and programs. It is the purpose of this chapter:
(1)
To establish a Department of Energy in the executive branch.

https://www.law.cornell.edu/uscode/text/42/7112

(以下略)

『行政部門にDOEを設立する』という設置法となっているでしょ?

議会制定法のAEA法が根拠法だと言っても、合衆国憲法に裏付けされた「大統領の行政権」を超越することはあり得ず、恐らく国民(議会)側からの要請によって設置が推進されたという話なのでは。


つまり、憲法附与の「大統領の有する行政権」の一部分をお借りして、DOEという行政機関を置きました、ということでは。
大統領の行政権は、DOE(議会制定法による根拠法を持つ)の行政権を包含しており、大統領の持つ行政権が及ばない「DOE独自の行政権(範囲)」が存在するわけではない。

なのに、解除不可能説を唱える連中は、あたかも「DOEの持つ不可侵領域(=機密指定解除の権限)」があるかのように装い、大統領には解除できないと言い張っているのである。

そのような考え方は根本的に間違いであり、上記§7112の条文から明らかな如く、合衆国憲法により附与された大統領の行政権の一部を間借りしてDOEを置かせてもらう、という考え方にしかならないだろう。


前回記事でも説明したが、DOE長官の指揮命令権限(長官からの権限委任)からは部分的に独立している行政権限として、
" Director of Office of Energy Information and Analysis "
に議会制定法による権限付与は部分的に存在するが、その権限とて「大統領の行政権」の範疇を越える行政権として存在できるわけではない。

何故ならDOE設置法の定義からして、" in the executive branch " とされており、Director of Office of Energy Information and Analysis がDOEの一部門である限り大統領の " the executive Power " を超越することなどできない。


2)
議会制定法なき「ワクチン接種を強制する大統領令」は違憲、の判決との関係は?


関連:


上記の記事中に挙げたtweetを再掲してみる。






たとえ「大統領の行政権」が広範な裁量権があるとしても、バイデンの出したコロナワクチン接種を強制する大統領令は違法で違憲なのである。


その理由として、連邦最高裁判例では
・州法の制定による
・州政府の警察権

とされている。従って、大統領の行政権は介入できない。

連邦政府(大統領)の行政権は、独立した権限が認められている州政府の行政権に原則として介入できないから、である。


Jacobson v. Massachusetts, 197 U.S. 11 (1905) の当時、州議会の制定法により天然痘の種痘が義務化されていたので、根拠法たる議会制定法があるからこそ州政府の警察権としての「接種義務」の行使は可能だった(=公共の福祉が優先され個人の自由や選択権を制限することが可能)、という理屈となろう。

だが、バイデンの出した大統領令は、議会制定法ではないし、各州政府に命令できるような大統領権限足りえない。

州議会が制定した法律―例えば「コロナワクチンの接種義務化を禁止する」法律―を連邦政府には覆せる行政権はなく、万が一「コロナワクチン接種を強制する」ならば、まず連邦議会による「ワクチン接種を強制する法律の制定」を行い、その連邦法と矛盾する各州の法律がある場合には連邦政府の制定法が優先される、という話になるだろうから、そのような手続を達成していればコロナワクチン接種を義務化できた可能性はあるかもしれない。


大統領の有する " the executive Power " がDOEの行政権限を包含するのに比べ、「コロナワクチン接種の強制」という大統領の行政権の行使に見える話は「行政権に包含されるかどうか」で全く別ということが分かるだろう。

州政府の行政権・警察権に大統領の行政権が介入(指揮命令)できるわけじゃないから、だ。つまり権限の範囲が及ばない領域(ワクチン接種の強制)に大統領の行政権を用いたことは、裁量権の濫用であって違憲である。


要するに、大統領に機密指定解除の権限がなく不可能という説を唱える連中は、「議会の制定法の有無」だけ見て「根拠法があるから大統領には覆せない」だのと間違った意見を主張しているのではないか。

平たく言えば
・executive branch の内部(=大統領の行政権の範囲内)に設置したDOEの権限

・州政府の持つ警察権(ワクチン接種の義務化を州議会が制定)
  =大統領の行政権の範囲外

という基本的な違いすら分かってない、考慮していない、ということなのでは?


本当に合衆国の法律に精通した連中のご意見なのだろうか?(笑)

どう見ても、トランプを貶めたい・有罪に追い込みたい、というだけの、インチキ法学の屁理屈と詭弁を弄しているだけにしか見えない。


DOJ 司法省の主張は、これら論点に関して最も信用できない。米国民に対するクーデターを実現したに等しい行為である。



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