ジャパンホテルリート(8985)に投資した結果……不可解な株価変動を知る&長年の苦行を味わう
まだ今年の営業日は大納会が残っていますが、概ね投資成績の傾向は出ているものと思います。
そこで、当方の投資で苦慮してきた銘柄について、取り上げてみました。
J-REIT の保有銘柄はいくつかありますが、泥沼の蟻地獄化と呼べるのがこれです。
8985 ジャパン・ホテル・リート
ホテル特化型のシンガポール系のメインスポンサーによるリートで、取得価額の総額は4477億円と最大級のホテル型リートです。格付機関による信用度も安定的です。
また長年の運営実績もあり、物件の含み益もそれなりに大きいと目されており、当方はコロナ騒動以前からの投資銘柄でしたので、長い付き合いです。
が、当然ながらコロナ禍では大打撃を蒙りました。けれども、再起に賭けて売却せず、ナンピンで持ち高を増やしましたから、傷口を広げたという見方もできるでしょう。
まずは、基本的な情報をあげておきますね。各12月末の株価、ドル円為替、円建て時価総額(億円)、ドル換算の時価総額、です。今年に投資口の追加発行が実施され(6月451641口、7月8359口という謎発行体制)、46万口が増加した為、総発行口数が約463.7万口から509.7万口に増加しています。
年 終値株価 時価総額 為替 ドル建(億ドル)
19 81200 3765.2 108.61 34.67
20 53000 2457.6 103.24 23.80
21 56200 2606.0 115.08 22.65
22 77500 3593.7 131.11 27.41
23 69200 3208.8 141.06 22.75
24 70000 3567.9 157.78 22.61
分配金も順調に増加・回復しており、公式の決算発表はこれからですが今期は2019年水準よりも営業利益が増加すると見込まれています。
メイン(約88%を保有する)が外資系スポンサーなのですから、円建換算よりもドル建て評価額の方が重要だと思うのですが、19年水準を越えたことは一度もありません。
コロナ禍だったから、という理由があるとしても、営業利益の回復に伴い時価評価額が見直されても良さそうだとは思うのですが、19年時点の時価総額の僅か65%、3分の2にも満たないわけですね。インフレ率を考えると実質損失額は更に膨らむでしょう。
円建てで見たって、評価額が下落しており、追加発行で取得物件が増加したにもかかわらず、取得価額の約8割しか価値がないと判断されたということです。
因みに運営側の公表している鑑定評価額は6238億円なので、これが含み益なのかどうか分かりかねますが、異様に低評価されているということは分かると思います。
何より不思議なのは、大金持ちが大勢いる海外勢が、どうして時価23億ドル未満の不動産価値を取得しようとはしないのか、ということがあります。今なら不動産価格が上昇してきたので、取得価格よりも高値で売れるチャンスはあるはずなのですが、「安く買って高く売る」というチャンスを誰も見向きもしないということでしょう。
むしろ、損失拡大に嫌気が差したのか分かりませんが、メインスポンサーが変更になると発表されたようですから、何か理由があるかもしれませんね。
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所有物件を高値で売却できるのであれば、こっそり投資口を買い漁り上場廃止するなりして、売り抜けた方が儲かるのではないでしょうか?
例えば今期売却物件として博多のホテルがありましたが、2012年に取得価額21.3億円(簿価23.5億円)で取得したホテルを46.1億円で売却できたようです。
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運営側の言う鑑定評価額6200億円超が必ずしも処分売りで実現できるか分かりませんが、少なく見積もっても5000億円以上で売却することは可能では?
だったら、買い取って差額の売却益を実現した方が早くないですか?
少なくとも、2019年価格の34.7億ドルよりも35%off の22.6億ドルですよ?インフレ率分を含めれば、相当な安値であり、まあ4割引きの感じでは。
発行口数はたったの509万口しかないので、日々の売買で買い進めることも十分可能ですね。
月間出来高はザックリ40万口程度はあるので
過半数の255万口なら1年以内で地道に買い進めることができるのでは。これが不可能な理由とは何でしょうか?
大株主が売らないから?
けれども、ホテルを売却すれば確実に売却益が入ってきて、株価も上がるというのが一般的な傾向なのでは?
例えば同業のいちごホテルリート(3463)という銘柄があります。
ここも23年に追加発行口数72515口が増加し、254974口から327489口と28.4%もの増加がありましたが、株価は大して下落することもなく取得物件数を増やることができました。
ジャパンホテルリートの追加発行口数は9.9%増加と、いちごホテルリートの約3分の1に過ぎなかったのですが、株価は大幅に下落(79000円付近から68000円割れ)しました。
希薄化が問題視されたとて、いちごホテルの希薄化に比べれば全然大したことないように思うのですが、市場評価は何故か違うようです。いちごホテルは下がらず、ジャパンホテルリートは激落ち、ということですね。
また、いちごホテルは物件売却益を計上し、分配金予想を大幅に上方修正して株価が大きく値上がりしましたね。
24年7月の106000円程度から、現在の156500円程度まで約48%もの上昇を記録しました。
おや?
ジャパンホテルリートは売却益を23億円出してるが、株価上昇への寄与は殆ど見られません(笑)。
いずれにせよ、普通の投資家なら35億ドル弱から12億ドルもの損失拡大となると、穏やかではいられないでしょう?
ドローダウンの水準が「損切りしろ」とかいうレベルをはるかに超えてるでしょう?
(ネット言説にありがちな、5%(10%?)の損失は投資失敗が明らかだから損切りして資金を他に振り向けろ、というでしょ?)
だったら、今期の追加発行なんぞせずに、いちごホテルみたいに物件をいくつか売って売却益を出し、少しでも12億ドルの損失を回収した方がよくない?
所有物件の含み益を現実利益として、利益確定を急ぐ方が有利だと思いませんか?
実際、株価が1.5倍にもなるのだぜ?(分配金が突然増加するという素晴らしい株価対策w)
なのに、どういうわけか長期投資だとか謳って、希薄化を推進させるべく5月高値の株価86000円から下落させ、傷口を広げようとする姿勢が一体全体何なのか不思議に思いませんか?
19年当時に35億ドル弱だったものが、24年末では僅か22.6億ドルしかなく、長期的観点って言っても「将来も円安が進む」かもしれないわけですよね?
だって、日本は高齢化が酷くて生産性が低く人口減少のマイナス成長だと貶され、構造的には早晩解決できるわけもなく、実際50%もの円安にされたわけですよ。
もし円換算の利益増加率よりも円安による損失拡大の方が早かったら、いずれ評価額が20億ドルを切るかもしれないでしょう?
今後も円安が進むと脅す連中ばかりが経済論説の殆どで、そういう専門家の見通しが正しいなら、どうして日本のホテルに長期的観点から所有物件を増やして株価を下げたいと思うのだろうか?
売却益の出た博多のホテルのように、今ならある程度利益が回収できるのに、ですよ?
それって、いずれ円高方向に戻るとか、株価が上昇する見込みが高いとか、そういう特別な理由(確信)でもないと普通の投資姿勢としては経済合理性に乏しいわけですよ。
どん底からようやく回復基調だった21年の時価総額を下回る評価なのが大幅に収益回復を果たした昨年から今年なのが現実なので、実物資産を売却する方が確実に株主(投資家)利益になるし、回収資金が多くなると考えるのが普通でしょうね。
実際、22年よりも数倍は利益が回復した23年と今年24年の株価が22年終値よりも大きく下回っていること自体、何の理由なのか想像できないでしょう?まあ株主にはそれぞれ事情があるでしょうから、とにかく現金化したいんだということで売り急ぐ人が大量に存在してもいいですけどね。
まあ、目先の着実な利益があるにもかかわらずそれが起こらないということは、株価の恣意的低下が想定され、株価上昇を阻止しているのが、結局圧倒的な資本力を背景にした市場支配力を有する連中による操作であろう、ということでしょうな。
株価操作側は空売りだとデータで判明し易いので現物の売り玉をぶつけてくるわけだが、その実弾が乏しくなると「追加発行しろ」ということを求めてくることが多くなるわけでしょう?
それをテコにして株価下落を誘うこともでき、弱小投資家(当方のようなw)勢に損失を与えることもできる、と。
唯一の救いは発行株数の上限がある(大量保有報告書も少しは役に立つ?)ことで、無限発行が可能なドル円為替のような底なし沼にはならないけれども、株価上昇を阻止させることは可能でしょうな。
因みにジャパンホテルリートは、普段は2万株前後で多くても3万株程度の出来高ですが、昨日は61000株超の大商いでした。本日も5万株とか行くでしょう。
23年12月の権利確定・権利落ち日の出来高は28000株程度でした。そんなに何がしたいのか分からないです。
何としても株価を上げさせない、という鉄の如き強い意思を感じますね(笑)。奴らはどうにかして「オレに1円たりとも利益を与えない」という、阻止行動がお好きなようです。
ああ、全然関係ないですが、15:25からの取引停止から売買注文が積み重なるやつ、これも昔の「見せ板」効果が今まで以上に悪化したような感じですね。
終了間際のAI か何かの高速取引が実行できる処理能力を持つ側が断然有利となり、最後の0.何秒での株価変動が滝のようで目では見えない(笑)。
最適化はAI と売買の自動化プログラムに人間では太刀打ちできない。
市場支配力を持つ巨大資本家勢による株価操縦にも対抗できる術はない。
そういう「こちらの手札(保有銘柄)」を全部見て操作してる連中が相手ですから、勝つことは容易ではないわけです。オレが書くと更なる攻撃に晒されるというのが過去の経験則でしたしね。