紅麹問題で注目が集まるモナコリンK(ロバスタチン)摂取者のmRNAコロナワクチン接種やパキロビッド®のリスク
とうとう出たね……スタチンへの言及。
(一部引用)
「機能性表示食品である紅麹サプリの機能成分は『米紅麹ポリケチド』(モナコリンKなど)です。小林製薬のHPでは、モナコリンKは米国で承認されている高コレステロール血症治療薬ロバスタチンと同じ物質であることを認めています。加えて、同サプリの摂取目安量は2mg/日とされていますが、同薬の臨床用量2.5mg/日と極めて近いんです。医薬品的効果効能こそ標榜していませんが、これらのことから”医薬品原料”を製造するという意思のもとに商品設計されていると疑われても仕方がないでしょう」
この主たる機能をもたらす成分、モナコリンK(ロバスタチン)に関わる薬害の可能性を検討する必要があるのではないか、という話になってきた。
上記記事中に言及されている”臨床用量2.5mg/日と極めて近い”との指摘は、事実なのだろうか?
よく似た名称の薬剤として「ロスバスタチン錠」があり、これは偶然にも「2.5mg/日」の開始用量となっている為、誤認の可能性が窺われる。
ロバスタチンとロスバスタチンは全く別物であり、前者は1970年代から開発さてきた自然由来の化合物だが、後者は既存薬物の研究からメバロン酸類似骨格を有する完全に合成された化合物として誕生し、近年に認可を得たものである。
EU規制によれば、モナコリンKを含有する紅麹ブルブレウスの食品として、「血中LDLコレステロール値」に言及して表示する場合、
・10mg/日の紅麹由来モナコリンKを供給する食品のみ
・「発酵した赤色酵母米」由来のモナコリンKを10mg/日摂取する場合に有効な効果が得られる、旨を示す(情報提供)
と規定されている。
つまり、規定用量以下の使用(含有)量では「正常LDLコレステロール」の効果は得られるわけではない、という情報を提示した場合にのみ、言及して製品表示が認められる、ということである。
従って、上記記事中で言及されていた「ロバスタチン2.5mg/日という臨床用量」の解説部分は、間違いの可能性が高いと思われる。
EU基準的には、有効性が得られるモナコリンKの接種摂取量が10mg/日を満たす必要がある、と明確に情報提供することが基本である。今回騒動の本質が、製品の過剰摂取により有害作用を生じた可能性はあり得るが、健康被害をもたらす製品用量として特段に多かったわけではないと考えられる。
ここで一旦モナコリンKを離れて、mRNAワクチンの腎障害をもたらしうる例を再度見てみよう。問題となるのが、健康な若年層であっても生じていた「横紋筋融解症」である。急性腎障害の原因として、比較的有名である(クラッシュ症候群の話で知られるようになった)。
参考:
これら3本の論文では、コロナワクチン接種後の横紋筋融解症の発症(稀である)リスクについて、指摘されていたという事実である。
また、多くの文献レビューした結果、mRNAワクチン接種後に筋炎が多く見られた(7割を占める)という報告がある。
女性に多く発症し、筋力低下などの症状が出る。つまり、紅麹製品を摂取には無関係に、「mRNAコロナワクチン接種者」には同様の症状が出現する可能性は十分考えられる、ということだ。
軽度の横紋筋融解症や筋炎の存在は、腎障害と倦怠感や筋力低下などの障害をもたらしうる、ことを意味する。
また、論文中から以下に引用すると
” The majority (70%) of the documented cases was associated with the mRNA vaccines (BNT162b2 and mRNA-1273). This observation could, nevertheless, be explained by the fact that these vaccines were predominantly used in several countries, and thus, more patients were exposed to them and more adverse events are anticipated. In our review, there were also 3 patients with anti-HMGCR + myositis that were receiving statins ."
スタチン製剤の投与を受けていた患者もいた、と報告されており、ロバスタチンに限らないが、そうした患者背景も筋炎の発症リスクに関与する可能性は考えられる、という話である。
スパイクタンパクが筋炎の発症の機序に関与している可能性も報告されており、コロナワクチン接種者がスタチン摂取をしていたことにより筋炎や横紋筋融解症などの惹起を通じて、急性腎障害に至った可能性とて考慮せざるを得ない、ということだ。
スタチンの話が出たので、ついでに書いておく。
ファイザー社のコロナ治療薬として、特例承認を受けた商品名「パキロビッド」パック(ニルマトレルビル/リトナビルの複合剤)には、スタチン製剤との併用に注意が必要であることが示されている。
主に近年登場してきた合成系スタチン製剤への影響ということで、理由としてCYP3Aによる代謝に関係するリピトールやリポバス(いずれも商品名)の代謝が阻害を受ける可能性があり、結果的に血中濃度上昇を来すかも、ということである。
つまり、コロナ感染既往者とかパキロビッド服用者といった患者が、スタチン製剤を併用していると副作用などの問題が生じるリスクは高まる可能性がある、ということだ。
この注意を与える(服用乃至摂取の確認)義務があるのは、
・コロナワクチン接種をする側の医師(や厚労省)
・パキロビッドパックを投与する医師(や承認した厚労省)
である。
ある特定の薬剤を投与する場合、例えば「グレープフルーツの摂取」を制限するといった注意を与えるでしょう?
納豆は食べちゃダメ、とか。
そういうのと同様に、スタチン製剤と同等効果を持つ「食品(モナコリンK、ロバスタチン)」の摂取に対し注意喚起をするべき義務を負うのは、
コロナワクチンを投与(接種)した医師
や
コロナ治療薬を投与した医師
に決まっているのだ。
紅麹製品等の食品を提供する事業者側ではない。
納豆販売/製造者が販売前に「あなたはワーファリン服用者ですか?」などと警告を与えたりしてないでしょう?
まだ今回の騒動の原因物質や機序は解明できてないが、仮に、プべルル酸とかロバスタチンたるモナコリンKが関係しているとして、コロナワクチン接種の時やパキロビッドの投与の際に、スタチン製品やCYP系統の代謝を受ける可能性のある物質の代謝について、医師が明確な警告を与えていなかった場合には、注意義務違反は食品の事業者ではなく医師にある。
重要な点をもう一つ。パキロビッドの成分であるニルマトレルビル(とリトナビルの合剤)はコロナ治療薬としての効果がほぼ無視できる程度でしかない、という無駄な薬物だという論文の話である。
つい最近出たばかりの、天下のNEJM(笑)論文だそうですよ。
"
Nirmatrelvir for Vaccinated or Unvaccinated Adult Outpatient
"
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2309003#
" nirmatrelvir in combination with ritonavir "つまり、「パキロビッド」パックの効果を見てみたら、プラセボ群と有意差なしという話だな。
無駄金ということが実証されたに等しいわけである。
これが、緊急時の「特例承認」ということの意味だよ。何らの効果がないものを、高値で売り付け在庫処分をやってカネに換えた、ということだな。日本政府は騙されたのが悪い、と。
だが、洗脳効果とは恐ろしいもので、「意味がある」「有効である」という権威からのお墨付き(医学論文や権威機関の認可(承認)」があれば、それを鵜呑みにして信じてしまう、ということだ。
一例として、こちらの記述が分かり易すい。
ファーストチョイスにプラセボ同等物を挙げる時点で、ああ終わっとる医者なのかな、とか、効果がないと言われ続けてきたレムデシビルを未だに「投与している」とか言う話をするのも、どういう医者なのか、というのが概ね想像がつきますよね?
こちらも痛い例:
大して意味のない薬剤なのに、副作用のリスクだけは上がってしまうわけで、スタチン製剤の注意点として挙げられたCYP3A(それともチトクロームP450)代謝(や排泄)の影響が、ロバスタチンやプべルル酸ではどうなのかよく知らないわけでしょう?
要するに、紅麹サプリ摂取者に対し、コロナワクチンを接種したりパキロビッドパックを投与したりする医者は、何のリスクも考慮せず、未知のまま漫然と投与を繰り返してきたようなものではないか。
これは食品事業者の責任というより、医療側や特例承認を与え続けた厚労省(やPMDAや審議会)にこそあるのではないのか。
ちょっと追加。
一方で、スタチン系薬剤がCOVID-19のウイルスのスパイクタンパクとの結合親和性があることを利用して、コロナ治療薬として利用できるのではないか、という研究報告は多数あったようだ。
参考:
もしも、紅麹食品中のモナコリンKのようなスタチン摂取により「コロナ感染の防御をいくらかでも向上」させていたのなら、日本人のコロナ感染が当初から欧米先進国に比し少なく推移したことの一因だったかもしれない。
そういう有利な点があると、困るのは誰か?
コロナ治療薬やワクチンで大儲けできる競合企業なのではないか?
安価な紅麹製品で対抗されたら、高額な治療薬が売れなくなってしまうでしょう?
それを阻止したい、市場から排除したいと願う気持ちは、誰しも理解できるのでは?