ドラクエ3とクロノ・トリガー

 ドラゴンクエスト3とはつまり世界旅行のゲームだった。生まれ育った街を出て、他の街を訪ねる。闘技場のある街があり、砂漠にピラミッドがあり、ジパングには卑弥呼がおりヤマタノオロチがいる。船を手に入れて航海に乗り出し、後には巨鳥ラーミアの背に乗り空を旅する。世界を旅し尽くしたと思ったら、まさか誰も知らない裏の世界を旅することとなる。
 人が古くから持つ世界を旅したいという気持ち、新しい地には常に新しい発見があり、船や飛行により行けるところが増えていく感動、それをドラクエ3 は見事に表現する。その後、数多くの世界をまわるRPGが作られたが、ドラクエ3のワクワク感を越えるのは難しい。

 それに対しクロノ・トリガーは無論、時空旅行のゲームだ。平和な現代を起点に、荒廃した未来、その原因となる999年後の厄災を防ぐため、中世、古代を行き来する。恐竜のいる時代、高度なロボットがいる時代、騎士が魔王と戦う時代、それぞれの時代で仲間と出会い、未来を救うために協力する。
 SFで何度も夢見られたタイムスリップによる旅をゲームで再現した。意外なことに、何千年もの時代を行き来するゲームはクロノ・トリガー以外あまり思いつかない。あまりにも偉大な完成されたゲームであるゆえ、新たな他の時空旅行ゲームのシナリオをつくるのが難しいのかもしれない。

 ドラクエ3とクロノ・トリガーの共通点として、温かい帰る家があるということがあげられる。ドラクエ3では世界の遠くに旅してもルーラでいつでも母の待つアリアハンの家に帰ることができる。クロノ・トリガーでも、何千年後の暗い未来を見ても、数千万年前の世界で恐竜に殺されかけても、母親と猫の待ついつも平和な現代の家にすぐ帰ってこれるのである。
 まだ見ぬ世界への旅と、帰るべき温かな家、この過酷さと安心を行き来すること。これが歴史的な2大名作RPGの共通点であり、これらを名作ゲームとした秘訣であると思う。

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