醸造アルコールって何?
■醸造アルコールって何?
次に質問の多いのが「醸造アルコール」です。
昔は、「醸造用アルコール」と言っていました。
この醸造用アルコールを添加したきっかけは、日本が満州国を作ったときににはじまります。
満州に移民した多くの日本人があまりの寒さにお酒が凍ってしまい飲めないと苦情がありました。
そこで、凍らないように濃縮した日本酒が研究されたそうです。
普通に煮詰めてしまうと、アルコールが飛んでしまうので、ベースになる日本酒に純粋アルコールに近いものや、糖類、旨味成分などを添加したものが開発されたそうです。
凍らないし、水で薄めると日本酒に近いお酒ができるわけです。
これが、戦時中の物資不足の時代に、本土でも貴重な米の節約のために使われるようになり、始まったようです。
醸造用アルコールの原料は様々で、穀類、サトウキビなど多様です。
共通しているのは、ウオッカなどに使う連続式蒸留機と呼ばれる蒸留器で、もとの風味が無くなるほど精製したものです。
これと似たもので、江戸時代は日本酒の火落ちを防ぐのと味をキリッとさせるために「柱焼酎」という技術があり、明治になって安全醸造が確立するまで続いていたそうです。
■今でも醸造用アルコールを添加している理由
安全醸造が確立し、米も潤沢にある現代でも醸造アルコールが使われる理由はいくつかあります。
一つは低価格の経済酒をつくるため、出来たお酒を水と醸造アルコールで薄めて糖類や調味料で味を整えてコストを抑えられるからです。
醸造したお酒を3倍まで水増しする三増酒というものがありましたが、現在では2倍までに制限され、それ以上は日本酒の表示が出来なくなっています。
しかし、コストを度外視した最高の大吟醸を競い合う、全国新酒鑑評会に出品されているお酒のほとんどが醸造用アルコールを添加しているのはなぜでしょう。
実は、醸造用アルコールを添加することで、もろみの香を日本酒に残しやすくなること、大吟醸などの場合は、味にキレや透明感が出てくるなど、キレイでフルーティなお酒を造るという面ではメリットがあるからなんです。
だから、品質志向の有名な地酒の蔵でも、お酒のコンセプトによってはあえて醸造アルコールを添加する蔵もたくさんあります。
特に淡麗辛口タイプのお酒を造るときは、醸造アルコールの添加はメリットがありますね。
ただし、醸造アルコールもピンきりで、高品質のお酒には当然高品質な醸造アルコールが使われることは言うまでもありません。
同じ酒蔵で同じ米を使った純米吟醸と吟醸(醸造アルコール添加)を選びましたので、興味のある方は飲み比べてみてください。
※4回シリーズです、前回の投稿の下にありますのでスクロールしてください。
https://jizakeya.co.jp/bin/search_n.cgi?code=shosin.dat&OP=shoshin
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