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80年続く「日の丸みかん」の生産地を訪ねて。太陽と生きる人々に出会い、私が見つけたもの

約80年続く、愛媛県八幡浜市向灘(むかいなだ)地区のみかん農家「濵田農園」。「日の丸みかん」で有名な八幡浜市でみかん生産を始め、ジュースなどの加工品をお届けしています!

今回は、11月23~24日に行った「愛媛八幡浜みかんSTUDYツアー」をレポートします。みかん狩りやジュース/カクテル作り、ギフトボックスの発送など盛りだくさんの内容となった今回のツアー。全国から10名が参加し、濵田農園のみかんや八幡浜を楽しみました。

レポートしてくれるのは、神奈川県から参加してくれたウィルソン麻菜さん。濵田農園のブログ発信をお手伝いしてくれている彼女ですが、実は八幡浜を訪れるのも、みかん畑を見るのも初めて。今回、実際に体験して感じたことを、すてきな言葉でつづっていただきました。

1玉8000円のみかんが作られる段々畑

「今年の初競りで、桐箱入りの日の丸みかんがいくらで落札されたと思いますか?」

ツアー当日、みかん畑に向かう私たちに、濵田農園4代目の善純(よしずみ)さんが問いかけた。日の丸みかんとは、濵田農園も含む八幡浜のみかん農家が作る、みかんのトップブランドだ。落札価格は、その場にいた全員の想像を遥かに超える、過去最高額の100万円!

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そんな高級みかんを作っている濵田農園で、みかん狩り。期待を膨らませる参加者を乗せて、ミニバンは曲がりくねった山道を進んだ。農園に向かう上り坂は、車一台しか通れないため、鉢合ってしまった場合は片方がバックで戻らなければならないのだという。

「だから、バイクで農園まで通う人が多いんですよ」

バイクで先に上がっていった4代目を見送りながら、そんなことを教えてもらった。

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この段々畑は、山道ばかりの土地でどうにか農作物を作ろうと先人が手作業で岩を積み上げ作ったものだ。積み上げられた石垣を目の前にし、その大変さを想像してため息が出た。

「食べ放題ですから、お腹を壊す寸前まで食べてってくださいね!」

4代目の善純さんの言葉に、収穫ばさみを持つ手に力が入る。5代目の直人さんにみかんの採り方や食べ方を説明してもらい、私たちはみかんをめがけて畑に入った。

「太陽がいっぱい」を実感したみかん狩り

畑に入ってまず驚いたのは、その急斜面。濵田さん親子はスイスイと登っていくが、私は目当てのみかんの木に辿り着くまでに何度も滑りそうになった。5代目の直人さんによれば、みかん採りのスタッフには高齢の方も多いそう。こんな急斜面を行ったり来たりしながら毎日過ごしていたら、足腰が強くなりそうだ。

普段はスーパーで袋詰されたみかんを見ている私にとって、みかんが木になっているのは不思議な光景だった。意外とみかんが密集して実っている。

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パチン!と、はさみでみかんを採ると、なんとも言えない達成感。「ぜひ、その場で食べ比べてみて」という濵田さんの言葉に習って、その場で皮を剥いて食べてみる。

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口に入れたときに感じるのは、皮の薄さ。口の中に残るわけでもなく、すぐに果肉が飛び出してくる。先に酸味、後からじわりと甘みが広がって「おいしいみかんっていうのは、酸味と甘味のバランスが大事」という濵田さんの言葉を思い出した。

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4代目においしいみかんの見分け方を聞くと、目の前の2つを手に取って見せてくれた。

「まずは色が濃いオレンジ色であること。油胞(ゆほう)といわれる表面のツブツブが隙間なく詰まっていること。そして皮が少しボコボコとしていることやね」

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そう言われると、たしかに目の前に並んだ2つのみかんは違うような気がした。しかし、密集したみかんの中で、それを見分けながら収穫していくのは至難の業だ。

みかん狩りをしている間、空からはずっと眩しい太陽の光が降り注いでいた。11月の後半だというのに、顔は熱くなり、汗もかいてきた。この暑い中で栽培する濵田農園の皆さんに頭が下がるとともに、「なるほど。この太陽のおかげでおいしく育つのか」と実感した。

みかんブリやカクテルづくりで、愛媛づくしの夕食

たったの1時間、太陽の下でみかんを採っていただけですっかりバテてしまった。その後は近くの温泉で汗を流したり、海に沈む大きな夕日を眺めたり、思い思いの時間を過ごした。

今回、宿泊したのは泊まれるコワーキングスペース「コダテル」。濱田農園の長男である規史(のりふみ)さんが、「八幡浜で企てる人を増やす」という目的で運営している。

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夜ご飯のメニューは、愛媛や八幡浜づくし。メインは「みかんブリ」という、みかんの皮を餌として与えたブリで、水産業とみかん栽培の両方を活かした、八幡浜らしい食材だ。

みかんブリの刺身やしゃぶしゃぶを、こちらも八幡浜でしか作られていない「カワイシ醤油」でいただく。普段食べる醤油と比べて、少し甘い。

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この他にも愛媛県産の野菜やサザエ、「媛っこ(ひめっこ)地鶏」と呼ばれる愛媛の地鶏など、地元の食材いただいた。みかんだけでなく、多くの食材を通して愛媛県を堪能した。

さらに参加者が食事とともに楽しんだのは、濵田農園のみかんを使った「手絞りジュース」や「オリジナルカクテル」づくり。参加者は1人ずつ、その場で絞ったみかんジュースと、濵田農園で販売している数種類のみかんジュースを飲み比べた。

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みかんの種類や絞り方によって、同じ100%ジュースでも味が違うこと。1つのみかんから取れる果汁が意外と少ないこと。実際に絞って飲んでみたからこそわかる違いを、参加者同士で話し合った夜、ずいぶんみかんについて詳しくなったような気がした。

採れたてみかんを、大切な人に贈ろう!

翌朝は、少し早起きして朝食の食材を買いに「どーや市場」へ。西日本一の規模を誇ると言われている魚市場で、早朝に仕入れたばかりの魚を販売する場所だ。

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今回の目当ては太刀魚(タチウオ)。20軒以上ある店の前を行ったり来たりしながら、どれを買おうかと値段や鮮度を見ながら比べていく。大きな蛇のような、長い太刀魚を指差すと、店頭に立っていた女性がその場でさばいてくれた。持ち帰った太刀魚は、フライパンで塩焼きにして、お味噌汁と大盛りのごはんとシンプルで贅沢な朝ごはんになった。

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そして、ツアーの最後には、濵田農園の倉庫へ移動してギフトボックス作り。昨日、汗をかきながら収穫したみかんを、好きな場所へ送るのだ。

「実家へ送ろうか」「職場の人にあげたら喜ぶかな」

『わたしが収穫したみかんを送ります!』というメッセージカードに記入する参加者は、みんな誇らしげだ。私は、夫と娘宛に「次はみんなで来よう」とメッセージを書いた。

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最後に、収穫の合間をぬって倉庫に来てくれた4代目から挨拶があった。

「濵田農園は、これからも一生懸命おいしいみかんを作っていきます。みかんを食べるときに、ツアーで体験したことを思い出してもらえたら嬉しいです。ぜひまた来てください」

「じゃあ、畑に行かないと」と山へ入っていく、その後ろ姿はかっこよかった。年内には、今なっているみかんをすべて収穫し、畑からオレンジ色は消えるのだという。私が1時間で必死に採ったものとは比べ物にならない量を、今日も収穫しているのだろう。

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毎日、みかんを採ったり、漁に出て魚をさばいたり、神奈川で暮らす自分とはまったく違う生活をしている人たちがいる。愛媛の生活とはかけ離れているようで、実はつながっているのかもしれないな、と自分で採ったみかんを食べながら思う。

これまで、スーパーで買って何気なく食べていたみかん。今では明るいオレンジ色を見るたびに、八幡浜の眩しい太陽や、みかんづくりに人生をかける濵田さんたちの顔が浮かぶ。遠く離れていると思っていた八幡浜を身近に感じることができた2日間だった。

【ご案内】
濵田農園の紹介記事:https://note.mu/hamadafarm/n/nd6ba2f79a683
濵田農園オンラインストア:http://shop.kiwami-mikan.net/

編集:ローカルマガジン「おきてがみ

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