創作「或る夫人の未来計画」
「もう私にも自由な人生が欲しいのよね」
平日の昼下がり。カップのサイズがSML表記になっているチェーンのコーヒーショップで、私は仕事をしていた。外回りの途中に、遅めのランチを取りながらパソコンを開きメールの返信をしている。
隣には自分の親と同じ世代とおぼしき60代のマダム三人組が座っていた。
狭い店内。人一人通るのが難しいくらいの隙間しかない隣のテーブルで、そんな抒情的というか、諦念をにじませた言葉が聞こえる。
「うちの人、もう早くあの世に言ってくれないかしら」
聞く気もない