【声色ききみみずきん】#11 福山雅治さんの声は、トップクラスのモテ声。色気と切なさの低音ボイス
2011年、声総研という団体が調査したモテ声ランキングで、堂々1位を獲得したのが福山雅治さん。
世の男子たちは、「高い声が出したい」とボイトレに通う子が増えているのだけれど、やはり女性からモテるのは、響きのある低音の声。これは昔も今も変わらない。
男の子たちは、どんどん中性化しているんだろうな。でもね、福山さんの声を、よ~く聴いてみてよ。若い男子が目指すべきは、そっちだと思うよ。
ダメ?
ラジオから聴こえてくる福山さんの声を聴いていると、首・胸・背中などにとても豊かな振動が感じられる。これは、骨導音と言って声帯で作られた音声が身体に共鳴し、ボディの部分が共鳴板のような役割をして振動するから。
私、福山さんに直接お会いしたことはないけれど、同じ空間に立って声を聴くと、きっとこちらの身体まで共鳴して骨がビンビン響くような振動が感じられるのではないだろうか。
そんな声は、受け取る側が「生理的」に気持ち良くなれる。音波マッサージを受けているのと同じ原理だから。
声を聴いているだけで身体が気持良くなれると、もっともっとその声が欲しくなる。つまり、モテるってこと。聴かずにはいられない声になったら、タレントは怖いものなしだ。
もちろん、人それぞれ身体の状態は違うから、個々の身体で必要とする音声は違う。私自身は、福山さんの声は重すぎて、どちらかというと苦手な方。それはたぶん、私の耳が、低音をキャッチし過ぎる傾向にあるからだと思う。
耳や身体の状態が変われば、好きになる声も変わるので、今の私の身体の状態だと、福山さんの声は重い。でも身体が変わると、違った受け取り方が出来るようになるのかもしれない。
福山さんは、大音響の中でライブを行う。もしかしたら… もしかしたらだけど、福山さんは、高音が聴き取りにくくなっているのかもしれない。あくまでも推測だけど、しゃべり声や、歌っている時の裏声を聴くと何となく、高音が聴き取りにくいのかなと感じる。
耳と発声は、つながっているからね。私たちは聴き取れている音しか、発声できないわけだし。
そして、福山さんの声のもうひとつの特徴は、若干鼻にかかった声。微妙な鼻声は、男女問わず、色気を感じさせる。
低音で、響きが豊かで、色気がある。それが、表に現れている福山さんの声の魅力だと思う。
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福山さんの声の響きは、歌うことによって磨かれてきたのだろう。それと同時に、20年以上も続いていたラジオパーソナリティーの仕事。これらの仕事が、福山さんの声を豊かに育てたのは間違いない。
さて、しゃべっている時の口の動かし方を観ると、表に現れていないその人の内面が、何となく推測されることもある。
福山さんは、口角の力を抜き、唇を若干前に出して話す。正直な人、嘘のつけない人だということが、見て取れる。あと、とても現実的な人なのかな。リアリストで気遣いもあって、素直な人だけど、心はあまり開いていない感じ。さばさばと、明るくお話はされているけれど、声の中に、頑なさ、強烈な孤独さも感じる。
でも、それは人前で表現し、大きい仕事を続けている人なら当然あるのだろうな。光が強く当たっている分、影になっている部分も濃く深い感じがするもの。でも、この陰影が、歌声に「切なさ」を与えているのだと思う。この切なさ、表現する人には、とても大事な要素だもの。
私、人前で表現する人は、悲しみや切なさをたくさん抱えていた方が良いんだって思う。過去のつらい経験が、全て滋養となって表現に陰影を与えるから。ある意味、不幸や悲しみは、表現する人にとってはギフト。それが、たたずまいにも表現にも陰影を与える。
私は以前から、結婚して父親になった福山さんの声の変化に、興味があった。福山さんは、2015年に結婚。そして本当に父になる。
結婚や子どもを持つことが全てではないけれど、心の深い影をほどいて、自分の子どもを目いっぱい愛した時の福山さんの声は、人間臭さが適度に加わって、穏やかで素敵になった。
年齢を重ねたということもあるけれど、肩の力が抜けてきて、柔らかく包容力のある声にどんどん変化しつつある。
50代から60代へ。
これからは、深みを増してますます軽やかになられるであろう福山さん。
次は、コメディーが観たいかも。